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パンプキンスパイスラテ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ホイップクリームがのったスターバックスのパンプキンスパイスラテ

パンプキンスパイスラテ (英語: Pumpkin Spice Latte) は主に秋季に提供されるパンプキンスパイスを用いたコーヒー飲料である。らしい季節感があるとされるシナモンナツメグクローブなどからなるミックススパイスであるパンプキンスパイス、スチームミルクエスプレッソ砂糖などを使い、上にホイップクリームパンプキンスパイスをのせることが多い。名称に「パンプキン」が入っているが、カボチャは入っていることもあれば入っていないこともある。2003年の秋にスターバックスが初めてから、スターバックスチェーンの定番飲料となった[1]。人気のあるフレーバーで、秋季になるとさまざまなバリエーションの製品が売られるようになっている[2]。略してPSLと呼ばれることもある。

来歴

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スターバックスが販売しているグランデサイズのアイスパンプキンスパイスラテ

冬期限定ドリンクであるペパーミントラテエッグノッグラテが成功したことを受け、スターバックスは2003年1月にパンプキンスパイスラテの開発を開始した[3]。スターバックスのアメリカ大陸エスプレッソ部門のディレクターであるピーター・デュークスは「カボチャフレーバーには特別なところがあるというのに開発者が気付いたんです。とくにその時にはカボチャ関係のものは何もありませんでしたし[3]」と述べている。スターバックス社はカボチャとスパイスのさまざまな比率を試したが、結局カボチャなしのレシピを採用することに決めた[3]

2003年秋にヴァンクーヴァーワシントンD.C.で最終的なレシピを使ったドリンクが試験販売され、スターバックス社の予想を上回る売り上げがあった[4][5]。デュークスは「最初は追いつきませんでした。(中略)店舗への在庫出荷を早めないといけませんでした[3]」と述べている。

販売開始後、パンプキンスパイスラテはスターバックスで一番人気の季節限定飲料となり、2013年の秋頃には少なくとも8千万ドル分程度の売り上げをこの飲み物から得ており、これはエッグノッグラテやペパーミントモカといった製品をしのぐものである[6][7]。2013年にスターバックス社はパンプキンスパイスラテの販売開始にあわせてゲーム的な要素のあるキャンペーンを導入し、顧客が公式発売前に近くのスターバックス店舗でコードを使って注文をすることにより、パンプキンスパイスラテを予定より早く「解除」できるようにした[5]。同年にスターバックス社はPSLという頭字語商標を申請し、2015年に認可・登録された[8]。2003年の販売開始から2015年までに推定2億杯程度のパンプキンスパイスラテが売られたと考えられている[3]

2015年8月、スターバックスは人工着色料をやめてカボチャを含む形にレシピを変更した。原材料には砂糖コンデンススキムミルク、カボチャピュレ、着色料、保存料を含む「パンプキンパイフレーバーシロップ」が含まれているという[9]食品科学者のカンサ・シェルクは、この変化はほとんど感知できず、「原材料一覧に本物のカボチャが入っているのを見たいという人をなだめるため[10]」だけのものだと述べている。『フォーブス』の推定によると、パンプキンスパイスラテは2015年にスターバックスに1億ドル程度の収入をもたらした[11]

スターバックスのパンプキンスパイスラテはアイスコーヒーフラペチーノとして頼むこともでき、2017年秋にはパンプキンスパイスチャイラテというチャイのバージョンも売られるようになった[12][13]

CNBCによると、パンプキンスパイスラテは2019年時点でスターバックスで一番人気のある季節限定ドリンクであり、この年までに世界で4億2千4百万杯を売り上げている[14]

2022年にはパンプキンスパイスラテ (PSL) の販売開始とともに、労働運動活動家たちが #PumpkinSpiceLabor というハッシュタグを用いて、スターバックス社が労働組合に加入しているバリスタを冷遇し、組合潰し行為を行っていることに対する抗議活動を行った[15]

影響

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デボラ・ドンストン=ミラーは「特定の期間にしか買えない製品には、時とともにインパクトが増加する固有のマーケティングが可能[16]」だと書いている。パンプキンスパイスラテをきっかけにパンプキンスパイス製品ブームが始まり、他の会社もパンプキンスパイスを使った製品を作るようになった[17][18]。データセンシャル・メニュー・トレンズによると、「2008年から2012年までの間に、全体での期間限定メニューは143%増加したが、このうちカボチャにインスパイアされたレストランの期間限定メニューは234%も増加して[19]」いた。こうした製品の中にはカボチャフレーバーのM&MダンキンドーナツのカボチャフレーバーコーヒーKパック、カボチャ味ウイスキーなどの他、カボチャスパイスのローション、シャンプーキャンドルなども含まれる[6]

パンプキンスパイスは秋、とくにハロウィンの時期のドリンクとしてよく飲まれるようになっている[20]。ハロウィンの時期にたくさん使われるカボチャの食品ロスを減らすため、残ったカボチャを使う自家製パンプキンスパイスラテのレシピも頒布されている[21][22]

脚注

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  1. ^ "More Than 200 Million Sold: Fans Celebrate the Return of the Original Pumpkin Spice Latte at Starbucks". www.businesswire.com (英語). 3 September 2013. 2021年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月4日閲覧
  2. ^ Franks, Sarah (21 August 2019). "Starbucks launches Pumpkin Spice Latte earlier than ever". dayton-daily-news. 2021年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月27日閲覧
  3. ^ a b c d e Chou, Jessica (28 October 2013). "History of the Pumpkin Spice Latte". The Daily Meal. 2021年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月6日閲覧
  4. ^ "PSL turns 20: The story behind Starbucks Pumpkin Spice Latte". Starbucks. 23 August 2023. 2024年10月25日閲覧
  5. ^ a b Fieisher, Lisa (30 August 2013). "Pumpkin Spice Latte, the Drink That Almost Wasn't". Wall Street Journal. 2014年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月6日閲覧
  6. ^ a b Maynard, Micheline (22 September 2013). "How Starbucks Turned Pumpkin Spice Into A Marketing Bonanza". Forbes. 2021年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月6日閲覧
  7. ^ "More than 200 Million Sold: Fans Celebrate the Return of the Original Pumpkin Spice Latte at Starbucks". starbucks.com (Press release). 2 September 2013. 2021年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月27日閲覧
  8. ^ "PSL - Starbucks Corporation Trademark Registration". USPTO.report (英語). United States Patent and Trademark Office. 2024年9月20日閲覧
  9. ^ Dukes, Peter (17 August 2015). "Big News for the Beloved Pumpkin Spice Latte". My Starbucks Idea. Starbucks Corporation. 2015年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月17日閲覧 Via Leah Durain (8 September 2015). "Starbucks debuts new Pumpkin Spice Latte ingredients list". 12 News. 2015年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  10. ^ Shelke, Kantha (2 February 2016). "Pumpkin Spice 101". Institute of Food Technologists. 2021年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月27日閲覧
  11. ^ O'Connor, Clare (10 November 2015). "The Pumpkin Spice Economy: How Starbucks Lattes Fueled A $500 Million Craze". Forbes. 2019年9月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月9日閲覧
  12. ^ "Pumpkin Spice Chai Tea Latte". Starbucks Coffee Company. 2017年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月28日閲覧
  13. ^ "New Drinks at Starbucks: Fall 2017". What's New at Starbucks This Fall. Starbucks. 2017年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月28日閲覧
  14. ^ Lucas, Amelia (26 August 2019). "Starbucks is introducing its first new pumpkin coffee beverage since the pumpkin spice latte". CNBC. 2021年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月9日閲覧
  15. ^ Carbonaro, Giulia (6 September 2022). "Starbucks' Union War as Activists Launch 'Pumpkin Spice Labor' Movement". Newsweek (英語). 2024年10月29日閲覧
  16. ^ Donston-Miller, Debra (26 December 2013). "The Branding Magic Behind Pumpkin Spice Lattes". Forbes. 2014年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月6日閲覧
  17. ^ D'Costa, Krystal (20 September 2017). "The Rise of Pumpkin Spice". Scientific American. 2018年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月12日閲覧
  18. ^ Popomaronis, Tom (8 September 2017). "The World Has An Obsession With Pumpkin Spice (And Businesses Know It)". Forbes. 2020年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月12日閲覧
  19. ^ Grant, Kelli B. (8 September 2013). "Starbucks Latte Dries Early Pumpkin Foods Craze". CNBC. 2014年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月6日閲覧
  20. ^ Kim, Juliana (25 August 2024). "It's somehow pumpkin spice season already. Why fall vibes are here earlier than ever". NPR. 2024年10月29日閲覧
  21. ^ "Pumpkin spiced latte, anyone? Five creative tips to reduce pumpkin waste this Halloween". Irish Independent (英語). 25 October 2024. 2024年10月29日閲覧
  22. ^ O’Donoghue, Denise (23 October 2024). "Life Hack: Five things you can do with your Halloween pumpkin to avoid wasting food". Irish Examiner (英語). 2024年10月29日閲覧

外部リンク

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