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ヒメヤマコウモリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒメヤマコウモリ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: コウモリ目(翼手目) Chiroptera
亜目 : 陽翼手亜目 Yangochiroptera
上科 : ヒナコウモリ上科 Vespertilionoidea
: ヒナコウモリ科 Vespertilionidae
: ヤマコウモリ属 Nyctalus
: ヒメヤマコウモリ N. leisleri
学名
Nyctalus leisleri
(Kuhl 1817)
分布域
Natural History of the Mammalia of India and Ceylonより

ヒメヤマコウモリ(Lesser noctule)は、ヒナコウモリ科に属する食虫性コウモリである。英語ではLeisler's batまたはIrish bat[2][3]というが、ドイツの博物学者ヨハン・フィリップ・アキリーズ・ライスラーに因んだ名前である。

記載

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中型のコウモリで、ユーラシアコヤマコウモリよりも若干小さい。体長は48-68 mm、翼長は260-330 mmである。前足の長さは38-47 mmで、体重は11-20 gである。顔、耳、翼の色は暗い。毛皮は茶色で、体長に渡り同じ色のユーラシアコヤマコウモリとは異なり、端の方が色が薄い。腕の下側は毛が多いため、"hairy-armed bat"という異名がある。耳は丸くて短く、耳珠はキノコ型である。翼は細長い[4]

分布

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ヨーロッパから西アジアにかけて、東はウラル山脈及びヒマラヤ山脈までで見られる。また、北西アフリカ、カナリア諸島マデイラ諸島でも見られる。アゾレス諸島のものは、しばしばNyctalus azoreumという別種であると考えられる。

通常、森林針葉樹林、落葉樹林のどちらでも)で見られるが、公園や都市部にも適応し、しばしばビル街にも巣を作る。生息域の大部分では珍しい種であるが、アイルランドでは一般的であり、島で最も大きく、また3番目に数の多いコウモリの種である。アイルランド内には普遍的に存在しているため、この島はこの種の国際的な拠点とも見做されている[5]ブリテン島では、イングランド及びウェールズにいくつかのコロニーが知られており、時にスコットランドにも迷い込むことがある。生存に対する脅威としては、大型の昆虫の減少、森林や洞のある木の喪失、ビルの建材に木材保存剤として用いられる毒性化合物等がある。

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日没後すぐに活動を開始し、甲虫類等の飛んでいる虫を食べる。しばしば木の高さから、少し沈みながらまっすぐに素早く飛ぶ。街灯の近くで、そこに集まる昆虫を捕まえることもある。夕暮れや明け方頃に最も活動的になり、採餌のために10km移動することもある。

生殖

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通常、20-50匹の個体からなる小さなコロニーで繁殖するが、アイルランドでは、より大きなコロニーを作り、大きいものでは1000匹にもなる[6]。コロニーは、洞のある木かビルにできる。巣箱が使われることもある。メスは1匹か2匹の子供を産むが、生息域の東側では、双子を産むことがより一般的である。

反響定位

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反響定位に用いられる周波数は、25-54 kHzである。29 kHzで最もエネルギーが大きくなり、平均8.5ミリ秒続く[7][8]

その他

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北アイルランドアルスター銀行が発行する2020年の20ポンド紙幣に描かれている[9]

出典

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  1. ^ Juste, J.; Paunović, M. (2016). Nyctalus leisleri. IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T14919A22016159. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-2.RLTS.T14919A22016159.en. https://www.iucnredlist.org/species/14919/22016159 19 November 2021閲覧。. 
  2. ^ The Irish Examiner (2 July 2018). “High temperatures send bats swooping in”. 2022年1月29日閲覧。
  3. ^ Shiel et al (1999). “Seasonal changes in the foraging behaviour of Leisler's bats (Nyctalus leisleri) in Ireland as revealed by radio‐telemetry”. 2022年1月29日閲覧。
  4. ^ Nyctalus leisleri - Science for Nature Foundation
  5. ^ The Irish Independent. “Ireland a Leisler's Bat stronghold”. 2022年1月29日閲覧。
  6. ^ Bat Conservation Trust. “Leisler's bat”. 2022年1月29日閲覧。
  7. ^ Parsons, S. and Jones, G. (2000) 'Acoustic identification of twelve species of echolocating bat by discriminant function analysis and artificial neural networks.' J Exp Biol., 203: 2641-2656.
  8. ^ Obrist, M.K., Boesch, R. and Flückiger, P.F. (2004) 'Variability in echolocation call design of 26 Swiss bat species: Consequences, limits and options for automated field identification with a synergic pattern recognition approach.' Mammalia., 68 (4): 307-32.
  9. ^ “New Ulster Bank £20 bank note has 'skeleton and bat' security features”. Belfasttelegraph. https://www.belfasttelegraph.co.uk/business/northern-ireland/new-ulster-bank-20-bank-note-has-skeleton-and-bat-security-features-39632163.html 

関連文献

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  • Frank Greenaway & A. M. Hudson (1990) A Field Guide to British Bats, Bruce Coleman Books, Uxbridge
  • Wilfried Schober & Eckard Grimmberger (1993) Hamlyn Guide: Bats of Britain and Europe, Hamlyn, London.
  • R. E. Stebbings & Francesca Griffith (1986) Distribution and Status of Bats in Europe, Institute of Terrestrial Ecology, Huntingdon.
  • S. Zera & P. Myers (2004) Nyctalus leisleri, Animal Diversity Web. Accessed 5 December 2006.

外部リンク

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