ビトゥイーン・トゥー・ファイアーズ
『ビトゥイーン・トゥー・ファイアーズ』 | ||||
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ポール・ヤング の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | カリマーテ ラーク・スタジオ、ミラノ ロジック・スタジオ[1] | |||
ジャンル | ポップ・ロック、ブルー・アイド・ソウル、シンセポップ | |||
時間 | ||||
レーベル | CBSレコード/コロムビア・レコード | |||
プロデュース | ヒュー・パジャム、ポール・ヤング、イアン・キューリー | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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ポール・ヤング アルバム 年表 | ||||
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『ビトゥイーン・トゥー・ファイアーズ[注釈 1]』(Between Two Fires)は、イングランドの歌手ポール・ヤングが1986年に発表した、ソロ名義では3作目のスタジオ・アルバム。
背景
[編集]前2作と異なり、大部分の曲はヤング自身がソングライティングに貢献し、他のアーティストが過去にヒットさせた曲のカヴァーは収録されていない[10]。なお、ヤングが作詞・作曲に関わっていない「ワンダーランド」は、本作でバック・コーラスを務めたベッツィ・クックが提供し、「ウォー・ゲームス」は前作『シークレット・オヴ・アソシエーション』にも「エッジ・オブ・ラヴ」を提供したソングライター、アンドリュー・バーフィールドが提供した[10]。
ヤング自身は2022年のインタビューで、本作の方向性に関して「アメリカのラジオ局で受けるアルバムを作ろうとしたんだ。結局、アメリカはおろかヨーロッパでも受けなかったけどね。とはいえ、僕は今でも、"War Games"や"Wasting My Time"など強力な曲が収録されていると思う」と振り返っている[11]。
反響・評価
[編集]本作は前2作ほどの商業的成功は収められなかった。全英アルバムチャートでは最高4位を記録し、ヤングのアルバムとしては初めて全英1位獲得を逃して、トップ100入りも合計17週にとどまった[2]。全英シングルチャートでは「ワンダーランド」が24位、「サム・ピープル」が56位、「ホワイ・ダズ・ア・マン・ハヴ・トゥ・ビー・ストロング?」が63位に達し、前2作とは異なり、全英トップ10シングルを輩出することはできなかった[12]。また、前2作はスウェーデンやオランダでも1位を獲得したが、本作はスウェーデンで最高19位[3]、オランダで最高23位に終わった[4]。
アメリカのBillboard 200では最高77位に終わり、前作に続く全米トップ40入りは果たせなかった[9]。シングル「サム・ピープル」はBillboard Hot 100で65位に達し、本作からの唯一のアメリカにおけるシングル・ヒット曲となった[9]。
Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中2点を付け「楽曲の弱さと、あからさまに売れ線の音作りが災いした」と評している[13]。一方、マシュー・ラッドは2018年、『クラシック・ポップ』誌において「本作は大部分において、敢えてブルー・アイド・ソウル路線から脱却してみせたことは明白で、燃えるようなギターがフィーチャーされた明快な曲"In the Long Run"ではロック的な側面が示されている。メロディアスな"Prisoner of Conscience"や、セクシーな雰囲気の"A Certain Passion"も、そこまで大胆でないとはいえ、やはりご機嫌な曲である」と評している[14]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はポール・ヤングとイアン・キューリーの共作。
- サム・ピープル - "Some People" – 5:05
- ワンダーランド - "Wonderland" (Betsy Cook) – 5:02
- ウォー・ゲームス - "War Games" (Andrew Barfield) – 4:20
- イン・ザ・ロング・ラン - "In the Long Run" (Paul Young, Ian Kewley, Pino Palladino) – 4:22
- ウエスティング・タイム - "Wasting My Time" – 5:18
- プリズナー・オヴ・コンシャンス - "Prisoner of Conscience" (P. Young, I. Kewley, P. Palladino) – 4:22
- ホワイ・ダズ・ア・マン・ハヴ・トゥ・ビー・ストロング? - "Why Does a Man Have to Be Strong?" – 4:22
- サートゥン・パッション - "A Certain Passion" – 4:15
- ビトゥイーン・トゥー・ファイアーズ - "Between Two Fires" – 3:51
- ウエディング・デイ - "Wedding Day" – 5:31
CDボーナス・トラック
[編集]- ステップス・トゥ・ゴー - "Steps to Go" (P. Young, I. Kewley, P. Palladino) – 5:12
参加ミュージシャン
[編集]- ポール・ヤング - ボーカル
- イアン・キューリー - キーボード、ハモンドオルガン
- マット・アーヴィング - キーボード
- スティーヴ・ボルトン - ギター、シタール
- ピノ・パラディーノ - ベース
- デヴィッド・パーマー - ドラムス、プログラミング
- ダニー・カミングス - パーカッション
- トニー・ジャクソン、ヘイミッシュ・スチュアート、ベッツィ・クック - バッキング・ボーカル
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 日本盤LP (28・3P-784)、日本初回盤CD (32・8P-172)、1991年再発CD (ESCA-5439)の帯に準拠。
出典
[編集]- ^ CD英文ブックレット内クレジット
- ^ a b Paul Young | full Official Chart History | Official Charts Company - 「ALBUMS」をクリックすれば表示される。
- ^ a b swedishcharts.com - Paul Young - Between Two Fires
- ^ a b Paul Young - Between Two Fires - dutchcharts.nl
- ^ 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』オリジナルコンフィデンス、1990年、269頁。ISBN 4-87131-025-6。
- ^ Paul Young - Between Two Fires - hitparade.ch
- ^ charts.org.nz - Paul Young - Between Two Fires
- ^ Offizielle Deutsche Charts
- ^ a b c “Paul Young - Awards”. AllMusic. 2016年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月11日閲覧。
- ^ a b 日本初回盤CD (32・8P-172)ライナーノーツ(湯川れい子、1986年10月7日)
- ^ Wade, Ian (2022年8月9日). “Paul Young interview: "I was taking on the responsibility of being a pop star"”. Classic Pop. Anthem Publishing. 2022年12月11日閲覧。
- ^ Paul Young | full Official Chart History | Official Charts Company
- ^ Erlewine, Stephen. “Paul Young - Between Two Fires Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2022年12月11日閲覧。
- ^ Rudd, Matthew (2018年12月14日). “Lost & Found: Paul Young - Between Two Fires”. Classic Pop. Anthem Publishing. 2022年12月11日閲覧。