ビーチクラフト マスケティア
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ビーチクラフト マスケティア(Beechcraft Musketeer)は、ビーチ・エアクラフト社が開発したレシプロ軽飛行機。
概要
[編集]セスナ 172やパイパー チェロキーに対抗する軽飛行機として、1961年10月23日に初飛行した。機体は4座席の片持ち式低翼単葉機で、降着装置は固定式。本機は登場早々に人気を博し、さらなる改良を重ねたことで、1965年からはエンジン出力などの違いによってマスケティア・カスタム(Musketeer Custom)、マスケティア・スポーツ(Musketeer Sport)、マスケティア・スーパー(Musketeer Super)の3種が製造されるようになった。マスケティア・カスタムとマスケティア・スポーツはオプションで曲技飛行キットを取り付けることも可能だった。さらに、1969年にはマスケティア・スーパーの降着装置を引き込み式にしたマスケティア・スーパーR(Musketeer Super R)が登場した。
1971年になるとマスケティアの名称は使われなくなり、マスケティア・スーパーの製造も終了した。残ったカスタム、スポーツ、スーパーRはそれぞれサンダウナー(Sundowner)、スポーツ(Sport)、シエラ(Sierra)と改称された。さらに、1974年からは搭載するエンジンの馬力からそれぞれサンダウナー180、スポーツ150、シエラ200と改称された。スポーツの生産は1978年に終了したが、他の2種は1980年代半ばまで生産が続き、各型合わせて4,366機が生産された。
軍用機としても採用されており、カナダ空軍がマスケティア・カスタムをCT-134の名称で練習機として運用した。
派生型
[編集]- マスケティア
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- モデル 23 マスケティア
- 最初の生産型。エンジンはライカミング製O-320-D2B(160馬力)を搭載。
- モデル A23 マスケティア II
- エンジンをコンチネンタル製 IO-346-A(165馬力)に変更。
- マスケティア・カスタム/サンダウナー
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- モデル A23A マスケティア・カスタム III
- モデル A23の最大離陸重量を増加。
- モデル B23 マスケティア・カスタム III
- 曲技飛行機型。エンジンはライカミング製O-360-A2G(180馬力)を搭載。カナダ空軍での呼称はCT-134 マスケティア。
- モデル C23 サンダウナー/サンダウナー180
- モデル B23の改良型。エンジンはライカミング製O-360-A4G/A2G/A4J/A4K(180馬力)のいずれかを搭載。カナダ空軍での呼称はCT-134A マスケティア II。
- マスケティア・スポーツ/スポーツ
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- モデル 19 マスケティア・スポーツ III
- 複座の低価格練習機型。キャビンの窓が減らされているが、オプションで4座とすることもできた。エンジンはライカミング製O-320-E2B/E2C/E3D(150馬力)のいずれかを搭載。
- モデル 19A マスケティア・スポーツ III
- モデル 19の曲技飛行専用型。
- モデル B19 スポーツ/スポーツ150
- モデル 19Aの改良型。
- マスケティア・スーパー/シエラ
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- モデル 23-24 マスケティア・スーパー III
- モデル A23Aの基本構造を元に、エンジンをライカミング製IO-360-A2B/A2D/A1B/A1D(200馬力)のいずれかに変更。後者2つのエンジンの場合は定速プロペラを装備する。座席は4~6座席。
- モデル A24 マスケティア・スーパー III
- モデル 23-24の改良型。
- モデル A24R マスケティア・スーパーR/シエラ
- モデル A24の降着装置を引き込み式に変更。エンジンはライカミング製IO-360-A1B/A1D(200馬力)のいずれかを搭載。
- モデル B24R シエラ200
- エンジンはライカミング製IO-360-A1B6(200馬力)を搭載し、新型のプロペラを採用。
- モデル C24R シエラ200
- モデル B24Rの機体フレームをより滑らかにした。
諸元(サンダウナーC23)
[編集]- 全長:7.84 m
- 全幅:9.98 m
- 全高:2.51 m
- 翼面積:13.56 m2
- 空虚重量:646 kg
- 最大離陸重量:1,111 kg
- エンジン:アブコ・ライカミング IO-360-A4J 水平4気筒ピストンエンジン(180馬力) × 1
- 最大速度:243 km/h=M0.20(海面高度)
- 巡航速度:230 km/h(高度5,000 ft)
- 実用上昇限度:4,160 m
- 航続距離:1,384 km
- 乗客:3名
- 乗員:1名