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ピアノソナタ第49番 (ハイドン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハイドンの肖像画(トーマス・ハーディ作、1791年)

ピアノソナタ第49番 変ホ長調 作品66 Hob. XVI:49 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲したピアノソナタランドン版では第59番となっている。

概要

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本作品は1789年から1790年の間に作曲され、1791年に出版された[1][2]。この曲には、マリア・アンナ・イェルリシェックへの献辞が書かれているが、実際はマリア・アンナ・ゲンツィンガー英語版のために書かれたと判明している。ゲンツィンガー夫人はハイドンの友人で、相当な音楽の教養があったことが分かっている[1]

これ以前の作品では、チェンバロで演奏されることも想定して作曲されていたが、本作品には、初めて「フォルテピアノのためのソナタ」と明記された。スクエア・ピアノを用いて作曲されたと考えられている[3]

また、この曲はソナタアルバムの第2巻に掲載されているため、よく知られた作品となっている。

曲の構成

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全3楽章、演奏時間は約22分半[2]。どの楽章も規模が比較的大きい[1]

  • 第1楽章 アレグロ
    変ホ長調、4分の3拍子ソナタ形式
    全体にユーモアと優美さがある。軽快な動機と滑らかな動機が交互に現れ[3]、重音や手の交差など様々な技巧が用いられている[4]。再現部の前にはカデンツァのような楽句が挿入されている[2][4]
    
 \relative c' {
  \new PianoStaff <<
   \new Staff { \key es \major \time 3/4 \partial 4 \set Score.tempoHideNote = ##t \tempo "Allegro" 4=132
    g16 (bes) aes (c) bes8-! r r4 g'16 (es) d (f) es8-! r r es (g bes) bes4 (aes8) g f es d8.( f16) as8 r
     }
   \new Dynamics {
    s1 s2. s4\fz
   }
   \new Staff { \key es \major \time 3/4 \partial 4\clef bass
    r4 <g,, es>8 r <g' es> r r4 <g, es>8 r <g' es> r r4 <es' c>4. <d bes>8 <c aes> <bes g> <as f>4 r
   }
  >>
 }
  • 第2楽章 アダージョ・エ・カンタービレ
    変ロ長調、4分の3拍子、複合三部形式
    この楽章は、後から付け足されたことが分かっている[1]。ハイドンの緩徐楽章の中でも規模が大きく、美しい曲想である[2]。第3部では第1部が変奏され、再現されている[1][2]
    
 \relative c'' {
  \new PianoStaff <<
   \new Staff { \key bes \major \time 3/4 \set Score.tempoHideNote = ##t \tempo "Adagio e cantabile" 4=66
    d \grace {es16 (d c} d8.) (es16) c8. (a16) bes8 \grace {c16 (bes a} bes16.) d32 f8-! r r4 f,8 (bes) g (es') c (g') bes,4. a8 bes16 b c cis
   }
   \new Dynamics {
    s1 s2. s4\fz s4\fz
   }
   \new Staff { \key bes \major \time 3/4 \clef bass
    << {f,2 es4 d4.} \\ {bes2.~ bes4.} >>
    r8 r4
    << {bes2 c4 d (c)} \\ {d, es2 f2} >>
    r4
     }
     >>
    }
  • 第3楽章 テンポ・ディ・メヌエット
    変ホ長調、4分の3拍子、ロンド形式
    メヌエットとしては規模が大きい[1]。8分音符と3連符が絡み、軽快な曲想である[4]
    
 \relative c' {
  \new PianoStaff <<
   \new Staff { \key es \major \time 3/4 \tempo "Tempo di Minuet" \partial 4
    bes' (es8-!) r es-! r \grace {f16 (es d} es8.) (f16) d8-! r d-! r \times 2/3 {d f aes} \times 2/3 {c bes aes} \times 2/3 {g f es}  \times 2/3 {d aes' d,} es8-! r es-! r \grace {f16 (es d} es8.) (f16)
     }
   \new Staff { \key es \major \time 3/4 \clef bass \partial 4
    r4 \clef treble es,8 (g) es (g) es (g) _\markup {simile} es\! aes es aes es aes es aes es aes es aes es g es g es g
     }
     >>
    }

参考文献

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  1. ^ a b c d e f クラヴィアソナタの部屋第3室”. 2017年10月7日閲覧。
  2. ^ a b c d e ハイドン  : Haydn, Franz Joseph ソナタ 第59番(ウィーン原典版番号)変ホ長調 Sonate für Klavier Nr.59 Es-Dur Hob.XVI:49 op.66”. 2017年10月7日閲覧。
  3. ^ a b 芹澤尚子. “J. ハイドンのクラヴィーア音楽 ──フォルテピアノとの関わりを中心に──”. 2017年10月7日閲覧。
  4. ^ a b c ピアノレパートリーガイド ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:49 Sonata in E-flat Major, Hob.XVI: 49”. 2017年10月7日閲覧。

外部リンク

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