ピアノ協奏曲第1番 (チゾーム)
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ピアノ協奏曲第1番『ピーブロック』は、エリック・チゾーム作曲によるピアノ協奏曲。演奏時間は約33分[1]。
概要
[編集]初稿は1932年に完成、1937年12月に改定が行われ、これは1938年にエジンバラで作曲者の独奏、イアン・ホワイトの指揮で初演された。さらに公開演奏は1940年1月20日にグラスゴーの聖アンドリュー・ホールで作曲者の独奏、エールマー・ブエスト[注 1]の指揮で行われた。[1]。
ピーブロック(Pìobaireachd )は「パイプ音楽」の意であり、特にクラシック音楽のバグパイプもしくは「大きな音楽 ceòl mór」を指す。ceòl mórは変奏曲形式で演奏される音楽であり、ソロを担うバグパイプ奏者には高度な技術が要求される。チゾームはceòl mórに関心を寄せており、旋律や形式を借用しながら多数の曲を作曲した[1]。
楽曲構成
[編集]- 第1楽章 モルト・モデラート(トランクウィロ)
- Maol Donnに基づく。Maol Donnは「マクリモンの愛しいもの MacCrimmon's Sweetheart」として知られており、愛する牛の死を嘆くパイプ音楽である。楽章はバスーンの奏する低音に乗り、オーボエがバグパイプを模した旋律を吹いて開始する[1]。
- 第2楽章 アレグロ・スケルツァンド
- Fàilte Uilleim Dhuibh Mhic Coinnichに基づくスコットランド舞曲風楽章[1]。
- 第3楽章 アダージョ
- Cumha Dhomhnuil Bhain Mhic Cruimeinに基づく。元になったパイプ音楽は1746年にマルコム・マクリモン(Malcom MacCrimmon)が弟のドナルド・バン(Donald Bàn)の死を悼んで書いたもの。ピアノは「遠くから、非人間的に」響くよう演奏される[1]。
- 第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ
- スコットランドの舞踏音楽であるリールの形式で始まる。バルトークのピアノ協奏曲第3番を思わせるような静寂に包まれた中間部を経て、再びリールに戻る[1]。