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フィリップ・ジェイムズ・ハミルトン・グリァスン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

フィリップ・ジェイムズ・ハミルトン・グリァスン(ハミルトン・グリアソンとも[1]Philip James Hamilton-Grierson, 1851年3月9日 - 1927年4月25日[2])は、イギリス出身の法律家人類学者

生涯・研究

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スコットランドに生まれる。1867年にオックスフォード大学を卒業し、スコットランド各地の法曹界で活動し、治安判事訴訟弁護士を務める。各誌に寄稿する一方で法律書の編纂などを行い、1910年に受爵。

沈黙交易(The Silent Trade)、無言取引(Stummer Handel)、集積所商業(Le Commerce par depots)と呼ばれる慣習に注目し、著書『沈黙交易』を発表した。そのなかで、人類史における平和が、原初的市場の中立性、異人(客人)の保護=歓待の仕組みに深くかかわっていると述べた。研究においては、人類学の文献の他に、『法における目的』をはじめとするルドルフ・フォン・イェーリングの成果を援用している。

『沈黙交易』の中では、交易の変化について、以下のような類型を示唆した。

  1. 姿を見せぬ交易(インヴィジブル・トレード)
  2. 姿を見せる交易(ヴィジブル・トレード)
  3. 客人招請(ゲスト・フレンドシップ)
  4. 姿を見せる仲介者づきの交易(ミドルマン・トレード)
  5. 集積所(デポ)
  6. 中立的交易
  7. 武装市場(アームド・マーケット)
  8. 定市場(レギュラー・マーケット)

グリァスンは、市場の存在によって特定の場所に平和が保存され、それが市場への路や人物にも広がることで、友好や歓迎のサインや、異人を保護する数々の慣習を生んだとする。こうして、平和の範囲が進展すると論じた[3]

主要著作

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  • The Silent Trade(1903) 日本語訳『沈黙交易―異文化接触の原初的メカニズム序説』 中村勝訳、ハーベスト社、1997年。

参考文献・出典

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  • 中村勝 「市場史研究の人類学的方向—H・グリァスンに学ぶ—」(『沈黙交易』収録)
  1. ^ 栗本慎一郎『法・社会・習俗 法社会学序説』同文舘出版、1981年
  2. ^ フィリップ・ジェイムズ・ハミルトン・グリァスン - Find a Grave(英語)
  3. ^ グリァスン 『沈黙交易』 第3章

関連項目

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