フェラーリ・F154
フェラーリ・F154 | |
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フェラーリ・488GTBのF154 CB エンジン | |
製造期間 | 2013年– |
タイプ | 90° V8, V6(アルファロメオ向け) |
排気量 | 2.9L, 3.8L, 3.9L, 4.0L |
内径x行程 | 86.5 mm, 88.0 mm x 80.8 mm, 82.0 mm, 83.0 mm |
フェラーリ・F154 は、フェラーリによって設計、製造されているガソリン直噴 V8 ツインターボ エンジンである。
概要
[編集]F154 V8 エンジンは、フェラーリ/マセラティのF136 自然吸気 V8の後継機として2013年に登場した。フェラーリの公道用エンジンとしては、1987年のフェラーリ・F40に搭載された2.9L F120A V8以来のターボ過給エンジンである[1]。
シリンダーブロック及びヘッドはアルミニウム製で、シリンダーブロックのバンク角は 90°。過給システムにはIHIが供給する二つの並列ツインスクロール水冷ターボチャージャーと空冷インタークーラーが採用される[1]。バルブトレインは、各バンクごと二本のカムシャフトによってローラー フィンガー フォロアを介し各シリンダーごと四本のバルブを駆動し、タイミングチェーンはフライホイール側にある。フェラーリの全バリエーションには、ガソリン直接噴射と吸気側と排気側の両方に連続可変バルブタイミングを備えている。
フェラーリのバリエーションには、フラットプレーン クランクシャフトとドライサンプ潤滑が採用されており、エキゾーストマニホールドはヘッダーパイプの長さを等長にするために、複数の鋳鋼パーツを溶接し製造されている。ターボチャージャーのハウジングも同様の3ピース構造を採用されている[1]。
マセラティのバリエーションにはクロスプレーン クランクシャフトとウエットサンプ潤滑が採用されており、タービンハウジングとエキゾーストマニホールドを一体化されている。クアトロポルテのエンジンには、最大トルクが650 N·m (479 lbf·ft)/2,000~4,000 rpmから710 N·m (524 lbf·ft)/2,250~3,500 rpmまで高めるオーバーブースト機能がある[2]。
アルファロメオのジュリア クアドリフォリオおよびステルヴィオ クアドリフォリオに搭載されている派生モデルの690T V6エンジンは、ステランティスのテルモリ エンジン工場で製造されている。これにはツインスクロール ターボではなくシングル スクロール ターボが採用されている。燃料効率を向上させるために、高速道路などの低負荷時に右バンクを休止するシリンダー休止機能が備わっており、2020年以降はポート直噴も追加し、インジェクターの数が12本に倍増した。
適用
[編集]フェラーリ
[編集]型式 | 排気量 ボア x ストローク |
年式 | 搭載車両 | 最大出力 | 最大トルク |
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F154 BB[3][1] | 3,855 cc (235 cu in) 86.5x82.0 mm 481.88 cc (29 cu in)/各気筒 |
2014–2017 | フェラーリ・カリフォルニアT | 560 PS (412 kW; 552 hp) /7,500 rpm[4] | 755 N⋅m (557 lbf⋅ft) /4,750 rpm[4] |
F154 BD[5][6] | 2017–2020 | フェラーリ・GTC4ルッソT | 610 PS (449 kW; 602 hp) /7,500 rpm | 760 N⋅m (561 lbf⋅ft) /3,000 rpm[7] | |
F154 BE [6] | 2018–2020 | フェラーリ・ポルトフィーノ | 600 PS (441 kW; 592 hp) at 7500 rpm | 760 N⋅m (561 lbf⋅ft) at 3000 rpm[7] | |
F154 BH[8] | 2020– | フェラーリ・ローマ フェラーリ・ポルトフィーノ M |
620 PS (456 kW; 612 hp) /5,750-7,500 rpm | 760 N⋅m (561 lbf⋅ft) /3,000-5,750 rpm | |
F154 CB[9][6] | 3,902 cc (238 cu in) 86.5x83.0 mm 487.75 cc (30 cu in)/各気筒 [10] |
2015–2019 | フェラーリ・488 GTB フェラーリ・488スパイダー |
670 PS (493 kW; 661 hp) /8,000 rpm[7] | 760 N⋅m (561 lbf⋅ft) /3,000 rpm[7] |
F154 CD[5] | 2018–2020 | フェラーリ・488ピスタ フェラーリ・488ピスタ スパイダー |
720 PS (530 kW; 710 hp) /8,000 rpm | 770 N⋅m (568 lbf⋅ft) /3,000 rpm | |
F154 CG[11] | 2019– | フェラーリ・F8トリブート フェラーリ・F8スパイダー |
720 PS (530 kW; 710 hp) /8,000 rpm | 770 N⋅m (568 lbf⋅ft) /3,250 rpm | |
F154 FA[12] | 3,989.87 cc (243 cu in) 88x82.0 mm 498.7 cc (30 cu in) /各気筒 |
2020– | フェラーリ・SF90ストラダーレ フェラーリ・SF90スパイダー |
780 PS (574 kW; 769 hp) /7,500 rpm + 220 PS (162 kW; 217 hp) from モーター = total 1,000 PS (735 kW; 986 hp) | 800 N⋅m (590 lbf⋅ft) /6,000 rpm |
マセラティ
[編集]型式 | 排気量 ボア x ストローク |
年式 | 搭載車両 | 最大出力 | 最大トルク |
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F154 AM[13] | 3,798.6 cc (232 cu in) 86.5x80.8 mm 474.825 cc (29 cu in) /各気筒 |
2013–2020 | マセラティ・クアトロポルテGTS | 530 PS (390 kW; 523 hp) /6,800 rpm[2] | 650 N⋅m (479 lbf⋅ft) /2,000-4,000 rpm 710 N⋅m (524 lbf⋅ft) オーバーブースト時 2,250-3,500 rpm[2] |
2020– | マセラティ・クアトロポルテ トロフェオ | 580 PS (427 kW; 572 hp) /6,250 rpm | 730 N⋅m (538 lbf⋅ft) /2,250-5,000 rpm | ||
2020– | マセラティ・ギブリ トロフェオ | 580 PS (427 kW; 572 hp) /6,250 rpm | 730 N⋅m (538 lbf⋅ft) /2,250-5,000 rpm | ||
2018– | マセラティ・レヴァンテGTS (US仕様) | 558 PS (410 kW; 550 hp) /6,250 rpm | 730 N⋅m (538 lbf⋅ft) /2,250-5,000 rpm | ||
2018– | マセラティ・レヴァンテGTS (EU仕様) | 530 PS (390 kW; 523 hp) /6,250 rpm | 730 N⋅m (538 lbf⋅ft) /2,250-5,000 rpm | ||
F154 AQ [要出典] | 2018– | マセラティ・レヴァンテ トロフェオ (US仕様) | 598 PS (440 kW; 590 hp) /6,250 rpm | 730 N⋅m (538 lbf⋅ft) /2,250-5,000 rpm[14] | |
2018– | マセラティ・レヴァンテ トロフェオ (EU仕様) | 580 PS (427 kW; 572 hp) /6,750 rpm | 730 N⋅m (538 lbf⋅ft) /2,250-5,000 rpm |
アルファロメオ V6
[編集]型式 | 排気量 ボア x ストローク |
年式 | 搭載車両 | 最大出力 | 最大トルク |
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690T | 2,891.26 cc (176 cu in) 86.5x82.0 mm 481.877 cc (29 cu in) /各気筒 |
2016– | アルファロメオ・ジュリア クアドリフォリオ | 510 PS (375 kW; 503 hp) /6,500 rpm | 600 N⋅m (443 lbf⋅ft) /2,500-5,000 rpm |
2021– | アルファロメオ・ジュリア GTA / GTAm | 540 PS (3,97 kW; 533 hp) | 600 N⋅m (443 lbf⋅ft) /2,500-5,500 rpm |
受賞
[編集]F154B および F154C エンジンは、インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー コンテストで合計14の賞を受賞しており、その中には 2016年から 2019年にかけて4年連続の総合タイトルと、さらに四つのベスト パフォーマンス エンジン タイトルも含まれている。このパワープラントは、デビューと同時に 2016年のベストニューエンジン賞も受賞した。 2016年から2018年にかけて、このエンジンは3~4Lクラスの第1位に分類されました。 これまでの排気量に基づくカテゴリではなく、新しい出力ベースのカテゴリが採用されたことを受け、2019年には F154 が 550~650 PS と 650 PS 以上の両方の賞を受賞しました。
2018年、F154Cエンジンは、1999年のインターナショナル エンジン オブ ザ イヤーの発表以来、最も重要なエンジンとしてベスト オブ ザ ベストの栄冠に輝いた。
脚注
[編集]- ^ a b c d Slavnich, Dean (June 2014). “California boosting” (electronic article). Engine Technology International: 4–7 2 February 2015閲覧。.
- ^ a b c Baroni (25 January 2013). “Maserati Quattroporte 2013: test drive, motore e caratteristiche” (イタリア語). autoblog.it. 2 February 2015閲覧。
- ^ “Application for Certification, Part 1, 2015 Model Year”. epa.gov. p. 17. 25 November 2014閲覧。
- ^ a b Korzeniewski (12 February 2014). “Ferrari California T is a topless turbo turismo”. autoblog.com. 2 February 2015閲覧。
- ^ a b “Giving an F(154) with the new Ferrari F8 Tributo”. Autoweek (Crain Communications). (17 September 2019) 13 March 2020閲覧。
- ^ a b c “V8 Ferrari: il miglior motore al mondo” (イタリア語). AutoTecnica (Editoriale C&C). (3 December 2018) 13 March 2020閲覧。
- ^ a b c d Padeanu (3 February 2015). “Ferrari 488 GTB revealed with twin-turbo V8 engine”. worldcarfans.com. 3 February 2015閲覧。
- ^ “Application for Certification, Part 1, 2021 Model Year”. epa.gov. p. 11 (19 August 2015). 16 September 2020閲覧。
- ^ Slavnich, Dean (June 2015). “Taking charge” (electronic article). Engine Technology International: 4–7 26 May 2015閲覧。.
- ^ “The Ferrari 488GTB: record-breaking, beyond-the-limits performance”. 488gtb.ferrari.com. 8 March 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。5 March 2015閲覧。
- ^ “Montaggio motore V8 Ferrari F8 Tributo” (イタリア語). AutoMoto. (7 September 2019) 13 March 2020閲覧。
- ^ “Swiss Certificate of Conformity 1FA213, FERRARI SF 90 Stradale”. typenscheine.ch. Motoriker Services. 18 June 2021閲覧。
- ^ “ENGLISH TRANSLATION OF THE "ACCORDO ESECUTIVO DI FORNITURA" ENTERED INTO BY AND BETWEEN FERRARI S.P.A. AND MASERATI S.P.A. ON DECEMBER 10, 2014”. SEC. 12 February 2016閲覧。
- ^ “2019 Maserati Levante Trofeo: The Ferrari of SUVs . . . For Now”. Car and Driver. 30 March 2018閲覧。