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フランチャイズタグ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

NFLにおいて、フランチャイズタグは、トランジションタグと並び、チームにとって極めて重要ではあるが、複数年契約締結に至らない一人の選手を引き留める手段である。

概要

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各チームは無制限のフリーエージェントになる予定のただ一人のプレーヤーに、フランチャイズタグを適用することができる。このタグをつけることにより、プレイヤーを1年間チームに引き留めることができる。その間、複数年契約の交渉をすることが一般的であるが、まとまらずに翌年他のチームに移籍する場合もある。

各チームには、1回のオフシーズンにつき、1つのフランチャイズタグ(独占的または非独占的のいずれか)あるいはトランジションタグを適用する権利がある。トランジションタグは、チームがフランチャイズタグを使用していない場合にのみ使用することができる。ただし、2011年に署名された団体交渉協定 (CBA)の第10条では、2020年のNFLシーズンに限りフランチャイズタグとトランジションタグの両方を使用できると規定されている[1]

タグを使用すると、各チームはチームにとって価値のある「フランチャイズプレーヤー」を引き留めることができる。交渉を経ず、以下のように規定されるサラリーをタグをつけた選手に提示する。指定された選手がタグのオファーに署名しないか、あるいはそのシーズンの10週目までに代わりの契約を交渉できない場合、または交渉したくない場合、選手はシーズンの残りの期間、他チームとの契約に署名することも交渉もできない。

フランチャイズタグは、ゼネラルマネージャーとオーナーに、給与コストを管理し、長期契約に関連する財務リスクを減らすための戦略的な方法を模索する猶予を与える。当然のことながら、多くのタグ指定選手は、フランチャイズタグの使用を批判してきた。これは、選手にとってより有利な契約を交渉する機会を制限しているためである。

タグの種類

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NFLは、1993年にフランチャイズタグを導入した[2]。フランチャイズタグには、独占的タグ非独占的タグの2種類がある。一般的には非独占的タグが用いられる。

2019年の例では、6人が非独占的フランチャイズ・タグを与えられ、独占的フランチャイズ・タグおよびトランジション・タグはどの選手にも与えられなかった。

独占的タグ

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独占的タグをつけた選手には、タグが適用されるその年の4月の時点で、その選手と同じポジションの年俸トップ5人の平均以上の金額、またはその選手の前シーズンの年俸の120%のうち、高い方の契約を提示しなければならない。また、独占的タグをつけられた選手は、他のチームと交渉することはできず、その選手の所属するチームは、タグをつけた選手のすべての交渉権を持っている。

非独占的タグ

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非独占的タグを付けた選手に提示される金額も、独占的タグと同じように計算される。相違点は、非独占的タグをつけられた選手は、他のNFLチームと交渉することができ、もし選手が他チームのオファーに署名した場合、現チームはそのオファーの条件と同じ条件を提示すれば、引き留める権利を持つ。引き留めない場合、現チームは、補償として新チームから1巡目のドラフト順位を2つ受け取ることができる。すなわち、新チームはトレードなどにより1巡目のドラフト順位を2つ用意しなくてはならない。

トランジションタグ 

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チームはトランジションタグを1名指定することができる。指定した選手には、前シーズンの同ポジションの上位10位のサラリーの平均と、その選手の前年度のサラリーの 120%のいずれか大きい方を提示する必要がある。別のクラブがその選手に何らかの契約を提示した場合、7日以内に同程度以上の契約を提示してプレーヤーを保持する拒否権を与えられる。拒否権を行使しない場合、補償はない。

連続したフランチャイズタグの使用

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シーズンを連続してフランチャイズ タグをつけることもできる。ただし、選手が2年連続でタグ付けされるには、チームはその選手の前シーズンの給与の120%を支払わなければならない。 3年連続でタグ付けされた場合、チームはプレーヤーに前シーズンの給与の144%、または最高額のポジション(QBの可能性が高い)のトップ5の給与の平均のいずれか高い方を支払わなければならない。

フランチャイズタグに対する選手の評価

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フランチャイズタグがあることで、チームの要となる選手を引き留め、かつチームの財政負担も少なくすることができるので、オーナーやGMからすれば大きな恩恵がある。

だが選手にとっては、デメリットが大きく評判は良くない。タグをつけて1年あるいは数年間選手を引き留める間、現チームとの契約の交渉が優先される。その間に負傷をし、選手自身の価値が下がるというリスクも選手からは批判されている。

脚注

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  1. ^ NFL CBA Quirks That Could Have a Big Effect on the 2020 Offseason” (英語). ESPN.com (2019年2月26日). 2020年2月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月28日閲覧。
  2. ^ Ochab, Charles (March 2007). “Don't Franchise Me! The NFL's Emerging Dilemma”. The Illinois Business Law Journal. https://publish.illinois.edu/illinoisblj/2007/03/12/don-t-franchise-me-the-nfl-s-emerging-dilemma/.