フリードバーグ・ナンバリング
フリードバーグ・ナンバリング(英: Friedberg numbering)は帰納的関数や帰納的可算集合の単射なナンバリング(枚挙)をいう。
このようなナンバリングの存在は1958年にリチャード・フリードバーグによって0'-優先法を用いて示された(Friedberg, 1958)。マルティン・クンマーは優先法を用いない構成法を与えた(Kummer, 1990)。
性質
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Padding lemma により アクセプタブル・ナンバリングは単射ではない。もっといえば任意の帰納的関数は可算無限個の指標を持つ。したがってフリードバーグ・ナンバリングはアクセプタブルでない。
Smn定理の成立するナンバリングはアクセプタブルである。したがってフリードバーグ・ナンバリングに対してはSmn定理が成立しない。クリーネの再帰定理も同様。このことを見るためにフリードバーグ・ナンバリング に対して再帰定理が成立すると仮定しよう。そこで なる全域帰納的関数を考える。すると再帰定理より なる自然数 が存在するはずである。ところが対応 は単射であるから でなければならない。すなわち が成り立つ。これは不合理。
アクセプタブル・ナンバリングに対してはライスの定理が成立する。例えば2つの自然数が同じ関数の指標であるかは決定不能である。ところがフリードバーグ・ナンバリングは単射なので、2つの自然数が同じ関数の指標であるかは決定可能である。したがってフリードバーグ・ナンバリングに対してはライスの定理が成立しない。
ナンバリング(の同値類)の全体は還元可能性によって上半束の構造を持つ。これをロジャース半束(英: Rogers' semilattice)という。いま をフリードバーグ・ナンバリングとする。また を に還元可能なナンバリング、 をその還元関数とする。すなわち である。そこで なる帰納的関数を考える。 は全単射であること、また は全射であることより、 は全射でなければならない。ゆえに は全域的である。 であるから、 は に還元可能である。 したがって は還元可能性に関して極小である。
標準的なナンバリングからフリードバーグの方法で得られるフリードバーグ・ナンバリングのほかに、還元可能性の意味で同値でない別のナンバリングが存在する(Pour-El, 1964)。したがってロジャース半束は束ではない。というのも、このことと上の結果とを考え合わせると、比較不能な2つの極小元が存在することになり、それらの交わり(下限)は存在しないからである。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- Nigel Cutland (1980), Computability: An Introduction to Recursive Function Theory, Cambridge University Press. ISBN 9780521294652.
- Richard M. Friedberg (1958), Three Theorems on Recursive Enumeration. I. Decomposition. II. Maximal Set. III. Enumeration Without Duplication, Journal of Symbolic Logic 23:3, pp. 309–316.
- Martin Kummer (1990), An easy priority-free proof of a theorem of Friedberg, Theoretical Computer Science 74(2), pp. 249-251.
- Marian B. Pour-El (1964), Gödel Numberings Versus Friedberg Numberings, Proceedings of the American Mathematical Society 15(2), pp. 252-256.
- Nikolaj K. Vereščagin and A. Shen (2003), Computable Functions, American Mathematical Soc.