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モノフルオロ酢酸ナトリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モノフルオロ酢酸ナトリウム
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結晶中に配置された複数のフルオロ酢酸ナトリウム分子。
  炭素
  水素, H
  酸素
  フッ素, F
識別情報
CAS登録番号 62-74-8 チェック
PubChem 16212360
ChemSpider 5893 チェック
UNII 166WTM3843 チェック
EC番号 200-548-2
国連/北米番号 2629
KEGG C18588 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL369611 チェック
RTECS番号 AH9100000
バイルシュタイン 3915223
Gmelin参照 470376
特性
化学式 C2H2FNaO2
モル質量 100.02 g mol−1
外観 無色または白色の粉末または結晶
匂い 無臭[1]
融点

200 °C, 473 K, 392 °F

沸点

分解

への溶解度 溶ける
危険性
GHSピクトグラム 急性毒性(高毒性)水生環境への有害性
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H300, H310, H330, H400
Pフレーズ P260, P262, P264, P270, P271, P273, P280, P284, P301+310, P302+350, P304+340, P310, P320, P321
主な危険性 有毒、可燃性
引火点 ?
許容曝露限界 TWA 0.05 mg/m3 [skin][1]
半数致死量 LD50 1.7 mg/kg (rat, oral)
0.34 mg/kg (rabbit, oral)
0.1 mg/kg (rat, oral)
0.3 mg/kg (guinea pig, oral)
0.1 mg/kg (mouse, oral)[2]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
モノフロオロ酢酸ナトリウムの3次元モデル

モノフルオロ酢酸ナトリウム(モノフルオロさくさんナトリウム、英文名称 sodium fluoroacetate)は、モノフルオロ酢酸ナトリウム。吸湿性のある白色の粉末。日本法における特定毒物。

用途・毒性

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ニュージーランドにおける1080毒餌使用時の警告看板

別名、1080(TEN EIGHTY)。日本では1950年3月10日に野ねずみに対する殺鼠剤として農薬登録を受け、田畑や山林で毒餌として、また倉庫では水溶液の状態で用いられる。

ニュージーランドではフクロギツネ(ポッサム)の駆除に、北米ではコヨーテの駆除にも用いられている。世界的には他に少なくともオーストラリア・メキシコ・イスラエルでの使用例が認められ[3]、大規模に行う場合は毒餌の空中散布も行われている。オーストラリアでは、これを危険視する声もある[4]

誤飲食防止のため深紅色の着色及び日本薬局方トウガラシチンキまたはトウガラシ末の着味が義務づけられている。毒性はLD50は0.22mg/kg(ラット経口)、2-10mg(ヒト経口)[5]と非常に強く、過興奮・嘔吐・筋痙攣・呼吸抑制・心不全などの症状が現れる。毒性の作用機序は、主にクエン酸回路の阻害による。

日本では毒物及び劇物取締法によりモノフルオロ酢酸モノフルオロ酢酸アミドなどとともに特定毒物に指定されており、法令で認可を受けなければモノフルオロ酢酸ナトリウムを含んだ製剤を製造・使用・所持することができない。

歴史

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ドイツの化学者が第二次世界大戦中に発見し、毒性を確認したとされる。またアメリカでも同時期に発見された[6]

自然界における存在

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モノフルオロ酢酸塩を含有するガスストロビウム。特に葉や種子に蓄積している。

オーストラリア、ブラジル、アフリカなどではモノフルオロ酢酸ナトリウムなどのモノフルオロ酢酸塩を含む植物が、少なくとも40種発見されている[7][8][9][10]。オーストラリアに生育するガスストロビウム(マメ科低木・「毒マメ」として知られる)などが典型的な例である。また、チャの葉から微量ながら検出された例も存在する[11]

脚注

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  1. ^ a b NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0564
  2. ^ Sodium fluoroacetate”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所英語版(NIOSH). 2024年12月19日閲覧。
  3. ^ Green W (July 2004). “The use of 1080 for pest control” (pdf). The Animal Health Board and The Department of Conservation. 2008年12月16日閲覧。
  4. ^ Speechley, Jane (2007年11月15日). “1080 is not a humane poison: International journal publishes RSPCA paper”. RSPCA. 2007年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年12月17日閲覧。
  5. ^ Beasley, Michael (2002年8月). “Guidelines for the safe use of sodium fluoroacetate (1080)” (PDF). New Zealand Occupational Safety & Health Service. 2007年12月17日閲覧。
  6. ^ Kalmbach ER (1945). “Ten-Eighty, a War-Produced Rodenticide”. Science 102 (2644): 232–3. doi:10.1126/science.102.2644.232. PMID 17778513. 
  7. ^ Marais JCS (1943). “The isolation of the toxic principle “K cymonate” from “Gifblaar”, Dichapetalum cymosum”. Onderstepoort Jour. Vet. Sci. Animal Ind. 18: 203. 
  8. ^ Marais JCS (1944). “Monofluoroacetic acid, the toxic principle of “gifblaar” Dichapetalum cymosum”. Onderstepoort Jour. Vet. Sci. Animal Ind. 20: 67. 
  9. ^ Renner (1904). “Chemical and Physiological Examination of the Fruit of Chailletia Toxicaria”. Jour African Soc.: 109. 
  10. ^ Power FB, Tutin F (1906). “C hemical and Physiological Examination of the Fruit of Chailletia Toxicaria”. J. Am. Chem. Soc. 28: 1170. doi:10.1021/ja01975a007. 
  11. ^ Vartiainen T, Kauranen P (1984). “The determination of traces of fluoroacetic acid by extractive alkylation, pentafluorobenzylation and capillary gas chromatography-mass spectrometry”. Anal Chim Acta 157 (1): 91–7. doi:10.1016/S0003-2670(00)83609-0. 

関連項目

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