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対比列伝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プルターク英雄伝から転送)
対比列伝
ギリシア語: Βίοι Παράλληλοι
1565年にフランスで出版された対比列伝に描かれたプルタルコス
1565年にフランスで出版された対比列伝に描かれたプルタルコス
訳題 英雄伝
作者 プルタルコス
言語 ギリシア語
ジャンル 伝記
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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対比列伝』(たいひれつでん、ラテン語: Vitae Parallelaeギリシア語: Βίοι Παράλληλοι)は、ローマ帝国のギリシャ人の著述家プルタルコスが著した古代ギリシアローマの著名な人物の伝記である。日本語訳名は『英雄伝』、『プルターク英雄伝』(プルタークはプルタルコスの英語名)で多く呼ばれる。

概要

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・・・ひとつには私は歴史を書くのでなく伝記を書くのであり、・・・画家が肖像画を描く場合、性格が示される顔や目の表情などをとらえ、他の部分はほとんど考慮しないように、私も大事業や戦闘は他人にまかせて、心の特徴に立ち入り、それによってそれぞれの伝記を記述しようと思う。

プルタルコス、『対比列伝』アレクサンドロス、1(井上一訳)[1]

『対比列伝』は、人となりや言動の似た二人の人物を古代ギリシアとローマから一人ずつ選び、対比させてゆく伝記22編と、セットだが対比でない単独伝記4編からなる。

一例で、アリステイデスマルクス・ポルキウス・カトは、ともに名家の出ではないのに実力で名声を得た点[2]アギスティベリウス・グラックスクレオメネスガイウス・グラックスはともに志半ばで倒れた悲劇の改革者という共通点・類似点をあげている。[3]

著作は文学・文化的価値のみならず史料としても評価が高く、古代ギリシア・ローマ史研究の第一級の史料として扱われている[要出典](ただし、プルタルコス自身は歴史書として書いたのではなく、伝記として書いたと明記している)。だが完全な形で残っているというわけではなく、最初に書かれたと言われるエパメイノンダススキピオ・アフリカヌスの伝記は全て散佚している。[3]

イギリス・ルネサンス演劇(16-17世紀イングランド)を担ったシェイクスピアは、主に本書によりローマ史劇たる『ジュリアス・シーザー』、『アントニーとクレオパトラ』、『コリオレイナス』などを執筆した。

収録人物

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この並び順で各ギリシア人とローマ人は対応し、それにしたがって対比が付されている。なお、名前の後ろに※が付いている人物は対比がない。なお、人物名の音韻古代ギリシア語および古代ラテン語に沿って、河野与一翻訳の「プルターク英雄伝」のタイトルに準じたものとしている。

ギリシア人 ローマ人
テーセウス ロームルス
リュクールゴス ヌマ
ソローン プーブリコラ
テミストクレース カミッルス
ペリクレース ファビウス・マクシムス
アルキビアデース マルキウス・コリオラヌース
ティーモレオーン アエミリウス・パウルス
ペロピダース マルケッルス
アリステイデース 大カトー
フィロポイメーン フラーミニーヌス
ピュッロス マリウス
リュサンドロース スッラ
キモーン ルークッルス
ニーキアス クラッスス
エウメネース セルトーリウス
アゲーシラオース ポンペーイウス
アレクサンドロス カエサル
フォーキオーン 小カトー
アーギスクレオメネース ティベリウス・グラックスガイウス・グラックス
デモステネス キケロー
デーメートリオス アントーニウス
ディオーン ブルートゥス
アラートス英語版アルタクセルクセース ガルバオトー

日本語訳

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1470年に出版された対比列伝

ギリシャ語で書かれているが、古代から様々な言語に翻訳されている。下記の「戦前期の重訳」も含め多くの出版がある。

  • プルターク英雄伝』(河野与一訳、岩波文庫 全12巻、初版は1952-56年)- 全訳文庫版
  • 『プルタルコス 英雄伝』村川堅太郎編、筑摩書房世界古典文学全集23〉、1966年。ISBN 4-480-20323-0 
    • 『プルタルコス英雄伝』(村川堅太郎編、新版・ちくま学芸文庫 上中下、1996年)- 入手し易い原典訳(各・部分訳)
  • プルタルコス『英雄伝』京都大学学術出版会西洋古典叢書 全6巻〉(柳沼重剛・城江良和訳[4]、2007年 - 2021年)- 全訳新版
  • 『新訳アレクサンドロス大王伝 『プルタルコス英雄伝』より』(森谷公俊訳・註、河出書房新社、2017年)

戦前期の重訳・抄訳版

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脚注

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  1. ^ 村川, p. 179.
  2. ^ 『対比列伝』アリステイデスとカトの対比、1
  3. ^ a b プルタルコス『プルタルコス英雄伝 (上)』 の巻末解説。ちくま学芸文庫、1996年
  4. ^ 前半3巻は柳沼訳、後半3巻は城江訳