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プレシオサウルス類

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プレシオサウルス類
Plesiosauroidea
生息年代: 後期三畳紀 - 後期白亜紀, 210–66 Ma
地質時代
後期三畳紀 - 後期白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
階級なし : 双弓類 Diapsida
階級なし : 鰭竜類 Sauropterygia
: 首長竜目 Plesiosauria
亜目 : プレシオサウルス亜目 Plesiosauroidea
学名
Plesiosauroidea
Gray1825
和名
プレシオサウルス類
下位分類群

プレシオサウルス類(プレシオサウルスるい、プレシオサウルス亜目学名Plesiosauroidea )は肉食性の海生爬虫類絶滅群。胴体長に対する比率が爬虫類の中で最大となるヘビのような長い首を持っていた。プレシオサウルス類はジュラ紀から白亜紀まで生息していた。その発見後、一部のプレシオサウルス類は「カメの甲羅に突き通されたヘビ」のような姿をしていると言及されてきたが[1]、彼らに甲羅はない。

プレシオサウルス類は前期ジュラ紀(前期シネムーリアン)に現れ、白亜紀末の大絶滅まで繁栄した。最近になってより新しいタクサが皆プリオサウルス類であったことが判明し、確認された中で最古のプレシオサウルス類はグループ名の元となっているプレシオサウルスそれ自身である[2]中生代双弓類という点では同時代に生きた恐竜と同じだが、彼らは恐竜ではない。胃石がしばしばプレシオサウルス類と共に発見される[3]

歴史と発見

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Plesiosaurus dolichodeirus の発見について書かれたメアリー・アニングによる自筆書簡

プレシオサウルス類の最初の全身骨格は19世紀初めのイングランドでメアリー・アニングによって発見され、科学界によって記載された最初の脊椎動物化石の一つとなった。スコットランドの地質学者ヒュー・ミラーによって1844年にスコットランド西部の Great Estuarine 層群(当時は Great Estuarine 統とされていた)からいくつかのプレシオサウルス類化石が発見されている[4]。他にも多くの化石が発見され、ほぼ完全な物もあり、新たな発見が頻繁に成された。最も保存状態のよい標本の一つは2002年にイングランド・サマセットの海岸で釣り人によって発見された。発見者にちなんでコラード標本 (Collard specimen) と呼ばれるこの標本は、2007年にトーントン博物館 (Taunton Museum) で展示された。他にも、比較して少し不完全な骨格が同じく2002年にアマチュア古生物学者によってイングランド・ヨークシャーのファイリ (Filey) の崖から発見されている。保存された骨格はスカーブラのロータンダ博物館 (Rotunda Museum) で展示されている。

"Plesiosauroidea" という分類名は1825年にジョン・エドワード・グレイによって命名された。これはこのグループを代表するプレシオサウルス ( Plesiosaurus ) の属名から作られた分類名であり、その属名はギリシャ語πλησίος(plesios:近い・すぐ近く)とσαῦρος(sauros:トカゲ)から「トカゲに近い」を意味する。

記載

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プレシオサウルス類は幅広い胴体と短いを持つ。祖先から受け継いだ2対の付属肢を保持しており、それらは大きなに変化している。

歯のエナメル質に含まれるリン酸塩中の酸素安定同位体比 (18O/16O) を同緯度同時期の魚類化石中の酸素安定同位体比(外温性であるため海水温を反映していると考えられる)と比較することにより、プレシオサウルス類を含む数群の海棲爬虫類は哺乳類に似た恒温性の代謝を持っていたことが示唆されている。彼らは低温の生息環境で生存するために内温性の熱を発生させることができた[5]

進化

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短い首と長い頭部を持ったプレシオサウルス類である DolichorhynchopsワシントンD.C.国立自然史博物館

プレシオサウルス類は初めピストサウルス類英語版のような形態から進化した。プレシオサウルス類にはいくつかのが含まれ、それらは共通の一般的特徴を有しつつ様々な細部の特徴によって区別される。それらの科には、プレシオサウルス科前期ジュラ紀のみに生息しており特殊化していない)、クリプトクリドゥス科英語版(中程度の長さをした首を持ちいくぶんずんぐりした体つきをし、クリプトクリドゥスに代表される)、エラスモサウルス科(非常に長く柔軟な首と小さな頭部を持つ)、キモリアサウルス科英語版(白亜紀産で余りよくわかっていない)などがある。伝統的な分類では全てのプレシオサウルス類は小さな頭部と長い首を持つことになっているが、近年の分類では、白亜紀の短い首と大きな頭部を持つポリコティルス科英語版はプリオサウルス類ではなくプレシオサウルス類に含まれている。プレシオサウルス類内で異なるタクサ間の大きさの変異は著しく、トリナクロメルムの全長は 3 m と推定されている一方でマウイサウルスは 20 m にまで成長した。

首長竜の中には小型の頭部と長い頚部をもつ『長頚型』のものと大型の頭部と短い頚部をもつ『短頚型』の2つの型があり、旧来の分類では前者の型を持つものが「プレシオサウルス類」、後者の型が「プリオサウルス類」として、首長竜進化の初期から分化した2大系統として亜目や上科の分類階級を与えられていた[6]。しかし、近年の研究によって長頚型から短頚型が進化したり短頚型から長頚型が現れたりしたことが明らかとなり、これらの『型』が系統を直接現しているのではないことが判明している[7]

系統関係

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Muraenosaurus(クリプトクリドゥス科)
Styxosaurus(エラスモサウルス科)

以下の分岐図は Benson & Druckenmiller (2014) に従う[8]

Plesiosauroidea

Plesiosaurus

Eretmosaurus

Westphaliasaurus

Microcleididae

Plesiopterys

Cryptoclidia

Cryptoclididae

Xenopsaria

Elasmosauridae

Leptocleidia

Leptocleididae

Polycotylidae

行動

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2頭の Plesiosaurus dolichodeirus 復元図。1頭は魚を捕まえている。

系統的には従兄弟にあたるプリオサウルス類とは異なり、プレシオサウルス類は(ポリコティルス科を除く)おそらく緩慢に泳ぐ動物だった[9]。彼らは水面下をゆったりと巡航し、警戒していない魚や頭足類をすばやく咥え上げるための頭部移動にその長く柔軟な首を用いたのだろう。4枚の鰭で遊泳するように適応したことにより、獲物を捕らえるために胴体を急速に回転させられるような卓越した機動性を得た可能性がある。

多くのプレシオサウルス類の復元図に反して、しばしば描かれる頭部と首を水面上に持ち上げた「白鳥のような」姿勢を取ることは不可能だった[1][10]。仮にそのように首を上方に曲げることが可能であった(実際にはできない)としても、その姿勢では重力により胴体は前方に傾き、重い首のほとんどの部分は水面下のままとなっただろう。

2011年8月12日、アメリカの研究者が1987年にカンザス州の農場で発見された妊娠中のプレシオサウルス類化石を記載した[11]。そのプレシオサウルス類 ( Polycotylus latippinus ) により、これらの捕食性海生爬虫類が1頭の大きく成長した子供を出産することが確認された(これは典型的な他の海生爬虫類の繁殖が、大量で小型の幼生を産み落とすのとは逆である)。この研究以前、時としてプレシオサウルス類はウミガメがするように海から這い上がって卵を産むように描かれていたが、専門家は長らくプレシオサウルス類の解剖学的特徴は陸上での移動に適していないと考えていた。母親の全長は 4 m 超と計測され、胎児の全長は 1.5 m ほどだった[12]

出典

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  1. ^ a b Everhart, Mike (2005年10月14日). “A Snake Drawn Through the Shell of a Turtle”. Oceans of Kansas Paleontology. 2010年6月10日閲覧。
  2. ^ Ketchum, Hilary F.; Benson, Roger B. J. (2011). “A new pliosaurid (Sauropterygia, Plesiosauria) from the Oxford Clay Formation (Middle Jurassic, Callovian) of England: evidence for a gracile, longirostrine grade of Early-Middle Jurassic pliosaurids”. Special Papers in Palaeontology 86: 109–129. https://www.palass.org/publications/special-papers-palaeontology/archive/86/article_pp109-129. 
  3. ^ "Occurrence of Gastroliths in Mesozoic Taxa," in Sanders et al. (2001). Page 168.
  4. ^ Trewin, N. H., ed (2002). The Geology of Scotland. The Geological Society of London. pp. 339 
  5. ^ Bernard, A.; Lecuyer, C.; Vincent, P.; Amiot, R.; Bardet, N.; Buffetaut, E.; Cuny, G.; Fourel, F. et al. (2010-06-15). “Warm-blooded marine reptiles at the time of the dinosaurs”. Science (Sciencedaily.com) 328 (5984): 1379–1382. Bibcode2010Sci...328.1379B. doi:10.1126/science.1187443. PMID 20538946. https://www.sciencedaily.com/releases/2010/06/100614093341.htm 2011年8月15日閲覧。. 
  6. ^ E.H.コルバート 『脊椎動物の進化』上 築地書館 1978 ISBN 4-8067-1095-4 p206
  7. ^ 佐藤たまき首長竜」『化石』第85巻、日本古生物学会、2009年、70頁、doi:10.14825/kaseki.85.0_69ISSN 2424-2632 
  8. ^ Benson, R. B. J.; Druckenmiller, P. S. (2013). “Faunal turnover of marine tetrapods during the Jurassic-Cretaceous transition”. Biological Reviews 89 (1): 1–23. doi:10.1111/brv.12038. PMID 23581455. 
  9. ^ Massare, J. A. (1988). “Swimming capabilities of Mesozoic marine reptiles: Implications for method of predation”. Paleobiology 14 (2): 187–205. Bibcode1988Pbio...14..187M. doi:10.1017/s009483730001191x. 
  10. ^ Henderson, D. M. (2006). “Floating point: a computational study of buoyancy, equilibrium, and gastroliths in plesiosaurs”. Lethaia 39 (3): 227–244. doi:10.1080/00241160600799846. http://doc.rero.ch/record/16190/files/PAL_E3399.pdf. 
  11. ^ F. R. O’Keefe1,*, L. M. Chiappe2 (2011). “Viviparity and K-Selected Life History in a Mesozoic Marine Plesiosaur (Reptilia, Sauropterygia)”. Science (Sciencemag.org) 333 (6044): 870–873. Bibcode2011Sci...333..870O. doi:10.1126/science.1205689. PMID 21836013. https://www.science.org/doi/abs/10.1126/science.1205689 2011年8月15日閲覧。. 
  12. ^ Anthony King. “Ancient sea dragons had a caring side”. Cosmosmagazine.com. 2011年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月15日閲覧。

参考文献

[編集]
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  • Carpenter, K. 1997. "Comparative cranial anatomy of two North American Cretaceous plesiosaurs". Pp. 91–216, in Calloway J. M. and E. L. Nicholls, (eds.), Ancient Marine Reptiles, Academic Press, San Diego.
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外部リンク

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