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プロピレングリコールジニトラート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プロピレングリコールジニトラート
識別情報
CAS登録番号 6423-43-4 チェック
PubChem 22933
ChemSpider 21472 チェック
UNII 4BY6T6Y8D1 チェック
ChEMBL CHEMBL206527 チェック
特性
化学式 C3H6N2O6
モル質量 166.09 g mol−1
外観 無色液体[1]
匂い 不快臭[1]
密度 1.232 g/cm3 (20℃)[2]
融点

−27.7 °C, 245 K, -18 °F ([2])

沸点

121 °C, 394 K, 250 °F ((沸点以下で分解))

への溶解度 0.1% (20℃)[1]
蒸気圧 0.07 mmHg (22℃)[1]
危険性
許容曝露限界 none[1]
半数致死量 LD50 930 mg kg−1 (IP, rat)[3]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

プロピレングリコールジニトラート(Propylene glycol dinitrate、PGDN)は、有機化合物の一種で、プロピレングリコールの二硝酸エステルである。1,2-プロパンジオールジニトラートあるいは二硝酸プロピレングリコールなどともいう。構造はニトログリセリンと似ているが、ニトロ基が1つ少ない。特徴的な不快臭を持つ[4]無色の液体であり、沸点より低い121℃で分解する。可燃性および爆発性があり、衝撃に敏感で、燃焼して水蒸気一酸化炭素窒素を発生する。

C3H6(ONO2)2 → 3 CO + 3 H2O + N2

PGDNの主な用途は推進剤である。2-ニトロジフェニルアミンおよびセバシン酸ジブチルとともにオットー燃料IIの主成分であり、魚雷の推進剤に利用される[3][5]

PGDNやニトログリセリンなどといった多価アルコール硝酸エステルは、医学分野においては狭心症の治療薬として、19世紀半ばからは爆発物として利用されてきた。

PGDNは血圧に影響を与える他、呼吸器毒性があり、肝臓および腎臓を傷害したり、変視症やメトグロビン尿症を引き起こし、頭痛や協調運動障害を引き起こす可能性がある。皮膚から吸収されることもある。その主な毒性メカニズムはメトヘモグロビン血症であり、永続的な神経損傷を引き起こす可能性もある。

職業曝露については、アメリカ国立労働安全衛生研究所が8時間労働で経皮吸収の場合の推奨暴露限界を0.05 ppm(0.3 mg/m3)に設定している[1]

参考文献

[編集]
  1. ^ a b c d e f Propylene glycol dinitrate”. NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards. Centers for Disease Control and Prevnetion. 2013年11月15日閲覧。
  2. ^ a b Record of Propylenglycoldinitrat 労働安全衛生研究所(IFA)英語版発行のGESTIS物質データベース, accessed on 2. Dec. 2009
  3. ^ a b Forman, S (1988). “A review of propylene glycol dinitrate toxicology and epidemiology”. Toxicology Letters 43 (1–3): 51–65. doi:10.1016/0378-4274(88)90020-3. PMID 3051528. 
  4. ^ TOXICOLOGICAL PROFILE FOR OTTO FUEL II AND ITS COMPONENTS”. 2009年12月6日閲覧。
  5. ^ Horvath, Edward P.; Ilka, Richard A.; Boyd, James; Markham, Thomas (1981). “Evaluation of the neurophysiologic effects of 1,2-propylene glycol dinitrate by quantitative ataxia and oculomotor function tests”. American Journal of Industrial Medicine 2 (4): 365–78. doi:10.1002/ajim.4700020407. PMID 6980592.