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ヘアロフ・トロレ (海防戦艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「ヘアロフ・トロレ」(1902年、コペンハーゲン)[1]
「ヘアロフ・トロレ」の図面

ヘアロフ・トロレ (Herluf Trolle) はデンマーク海軍海防戦艦ヘアロフ・トロレ級。艦名は16世紀のデンマークの提督にちなむ[2]

コペンハーゲン海軍工廠で建造[3]。1897年7月20日起工[3]。1899年9月2日進水[3]。1901年6月7日竣工[3]。建造費は4217000クローネであった[4]

常備排水量3505トン、満載排水量3650トン、全長86.47メートル、水線間長82.86メートル、幅15.07メートル、吃水5.0メートル[3]

主砲は24cm砲2門で、「ヘアロフ・トロレ」のものはカネー40口径M/96型であった[3]。射程は9.7キロメートルで、後に11.5キロメートルに伸びている[5]。発射速度は毎分1から1.5発であった[5]。副砲はボフォース43口径15cm砲4門[6]。射程は8.5キロメートルで、後に10.3キロメートルに伸びている[7]。発射速度は毎分6発、後に7発[7]。他に、ホチキス44口径57mm速射砲10門とマキシム37mm機砲8門を搭載した[7]。また、45cm水中魚雷発射管を艦首に1門と両舷に1門ずつ搭載した[8]。1907年までに37mm砲2門が撤去された[9]。1910年に両主砲天蓋上に44口径57mm砲が1門が搭載され、1916年には44口径57mm高角砲に換装された[10]。この高角砲以外の57mm砲は6門が1917年から1918年にかけて55口径75mm砲に換装され、他は撤去された[11]

機関はブアマイスタ&ウェーイン社製直立3気筒3段膨張式蒸気往復動機関2基、コペンハーゲン海軍工廠製ソーニクロフト式水管缶6基で、出力4400指示馬力[12]。2軸推進で速力15.6ノット[3]。航続距離は9ノットで2400浬であった[12]

「ヘアロフ・トロレ」の水線装甲帯、砲塔、ケイスメイト外壁の装甲鈑はニッケル・クロム鋼の複合鋼板であった[13]。水線装甲帯は厚さ175ミリメートルから200ミリメートルで、下部では厚さは半減していた[13]。前方は艦首より5.5メートルの位置までで、そこに両装甲帯を繋ぐ厚さ190ミリメートルの装甲鈑があった[13]。主砲塔は前175ミリメートル、横160ミリメートル、後ろ150ミリメートルで、バーベットは175ミリメートル[3]。ケイスメイト側面は140ミリメートルであった[3]。上甲板はニッケル鋼で、厚さは57ミリメートル[13]。司令塔の装甲が175ミリメートルで、煙突基部が150ミリメートルであった[12]

1902年、エドワード7世戴冠記念観艦式に参加予定であったが、エドワード7世が虫垂炎になったことから観艦式は延期となった[4]。同年、カールスクルーナを訪問[14]。1906年、ホーコン7世戴冠式参加のため、クレスチャン王太子の乗る王室ヨット「ダネブロー」を護衛してトロンハイムへ向かう[14]。同年、「オルファト・フィシャ」などと共にキールを訪問[14]。1911年、アムステルダムを訪問[14]。1914年、「ピーザ・スクラム」とともにニューカッスル[要曖昧さ回避]を訪問[15]。1922年、予備艦となる[16]。1932年4月30日に除籍され、ピーダスン&アルベク社に売却されて解体された[17]

脚注

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  1. ^ 『海防戦艦』66ページ
  2. ^ 『海防戦艦』65ページ
  3. ^ a b c d e f g h i 『海防戦艦』83ページ
  4. ^ a b 『海防戦艦』73ページ
  5. ^ a b 『海防戦艦』67ページ
  6. ^ 『海防戦艦』68-69ページ
  7. ^ a b c 『海防戦艦』69ページ
  8. ^ 『海防戦艦』69-70ページ
  9. ^ 『海防戦艦』78ページ
  10. ^ 『海防戦艦』78-79ページ
  11. ^ 『海防戦艦』79ページ
  12. ^ a b c 『海防戦艦』71ページ
  13. ^ a b c d 『海防戦艦』70ページ
  14. ^ a b c d 『海防戦艦』74ページ
  15. ^ 『海防戦艦』75ページ
  16. ^ 『海防戦艦』76ページ
  17. ^ 『海防戦艦』82ページ

参考文献

[編集]
  • 橋本若路『海防戦艦 設計・建造・運用 1872~1938』イカロス出版、2022年、ISBN 978-4-8022-1172-7