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ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヘキサシアニドコバルト(III)酸 カリウム
識別情報
CAS登録番号 13963-58-1 チェック
特性
化学式 K3[Co(CN)6]
モル質量 332.335
外観 黄色固体
への溶解度 水に極めて易溶[1]
関連する物質
その他の陽イオン ヘキサシアニド鉄(III)酸カリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは、化学式K3[Co(CN)6]の無機化合物である。

製法

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ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは塩化コバルトシアン化カリウムの反応により得られ、反応中にCo(II)がCo(III)に酸化される[2]。:

CoCl2 + 5 KCN → K3[Co(CN)5] + 2 KCl

酸素が存在する場合、

2 K3[Co(CN)5] + O2 → K6[(CN)5CoOOCo(CN)5]
K6[(CN)5CoOOCo(CN)5] + 2 KCN → 2 K3[Co(CN)6] + K2O2

不活性気体中で、

2 K3[Co(CN)5] + 2 KCN + 2 H2O —煮沸→ 2 K3[Co(CN)6] + H2 + 2 KOH

物理的性質

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ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは水に非常に溶け、エタノールには不溶でありまた反磁気を呈する。

化学的特性

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酸との反応

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ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムの水溶液は光照射下で次第に分解する[3]

K3[Co(CN)6] + H2O → K3[Co(CN)5OH] + HCN

ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは、濃硫酸と反応して一酸化炭素を放出する :

2 K3[Co(CN)6] + 11 H2SO4(濃) + 13 H2O → 3 K2SO4 + 6 (NH4)2SO4 + 2 CoSO4 + 11 CO↑ + CO2

また稀硫酸と作用しシアン化水素を放出する:

2 K3[Co(CN)6] + 6 H2SO4(稀) + 2 H2O → 3 K2SO4 + 2 CoSO4 + NH4HSO4 + 11 HCN↑ + CO2

過量の硝酸と反応し、ヘキサシアニドコバルト(III)酸を生成する:

K3[Co(CN)6] + 3 HNO3Δ→ H3[Co(CN)6] + 3 KNO3

硝酸との反応は、条件を変更した場合、以下のように進行する:

3 K3[Co(CN)6](濃) + 9 HNO3 + H2O —Δ→ KH2Co3(CN)11·H2O(紅色) + 8 KNO3 + 6 HCN + HOCN + NO2

塩溶液との反応

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ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは、幾つかの金属の塩溶液と反応して沈澱を生成する:[3]

2 K3[Co(CN)6] + 3 ZnSO4 → Zn3[Co(CN)6]2↓(白色) + 3 K2SO4
2 K3[Co(CN)6] + 3 FeSO4 → Fe3[Co(CN)6]2↓(黄色) + 3 K2SO4
2 K3[Co(CN)6] + 3 CuSO4 → Cu3[Co(CN)6]2↓ + 3 K2SO4
K3[Co(CN)6] + 3 AgNO3 → Ag3[Co(CN)6]↓ + 3 KNO3

参照

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参考資料

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  1. ^ 《无机化学丛书》. 第九卷 锰分族 铁系 铂系. 谢高阳 等. 科学出版社. P262. 钴(III)的阴离子络合物. ISBN 978-7-03-030545-9
  2. ^ Paul S. Poskozim. The preparation of Potassium Hexacyanocobaltate(III). J. Chem. Educ., 1969, 46 (6): 384. DOI: 10.1021/ed046p384
  3. ^ a b 《无机化学反应方程式手册》.曹忠良 王珍云 编.湖南科学技术出版社.第十三章 铁系元素. P368. 【K3[Co(CN)6]】