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ヘプタクロル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヘプタクロル
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識別情報
CAS登録番号 76-44-8 チェック
PubChem 3589
ChemSpider 3463 チェック
UNII 7GLS9ACN3L チェック
KEGG C14185 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL194400 チェック
特性
化学式 C10H5Cl7
モル質量 373.32 g/mol
外観 白から褐色の固体
匂い 樟脳のような
密度 1.58 g/cm3
融点

95 ~ 96℃

沸点

135 ~ 145℃ (at 1-1.5 mmHg)

への溶解度 0.0006% (20°C)[1]
蒸気圧 0.0003 mmHg (25°C)[1]
危険性
許容曝露限界 TWA 0.5 mg/m3 [皮膚][1]
最低致死濃度 LCLo 150 mg/m3 (ネコ, 4時間)
200 mg/m3 (哺乳類, 4時間)[2]
半数致死量 LD50 116 mg/kg (経口, モルモット)
40 mg/kg (経口, ラット)
100 mg/kg (経口, ラット)
68 mg/kg (経口, マウス)
100 mg/kg (経口, ハムスター)[2]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヘプタクロル (heptachlor) は殺虫剤の一種である。

特性

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接触毒および食毒として作用する。外見は白色の粉末で、純度の低いものは黄褐色を呈する。類縁化合物としてクロルデン (chlordane) が挙げられる。日本では1957年農薬として登録されたが、1972年に取り消されている。

特に土壌病害虫やシロアリに対して、またマラリアを媒介するハマダラカ属のカへの対策、そして植物防疫剤(農薬)として使用された。

ヒトに対しては肝臓への障害と中枢神経の過剰刺激を引き起こす。発癌性も疑われている。ヘプタクロルは非常に安定した構造を持つため、自然の環境下では何十年間も分解されずに残る。土壌中の半減期は2年以下である。

経緯

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1962年レイチェル・カーソンの著書『沈黙の春』がその安全性に疑義を唱えた[3]アメリカ合衆国環境保護庁はヘプタクロル製品の販売を禁止し、実質的にあらゆる用途から閉め出した。

2001年に採択されたストックホルム条約において、12種類の残留性有機汚染物質の製造・販売・使用の禁止が決定されたが、そのなかにはヘプタクロルも含まれている[4]

参考文献

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Carson, Rachel 著、青木築一 訳(英語)『沈黙の春』新潮文庫、1974年(原著1962年)。ISBN 0395683297 

脚注

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  1. ^ a b c d NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0311
  2. ^ a b Heptachlor”. Immediately Dangerous to Life or Health Concentrations (IDLH). National Institute for Occupational Safety and Health (NIOSH) (4 December 2014). 27 March 2015閲覧。
  3. ^ Carson 1962.
  4. ^ POPs条約”. 経済産業省. 2024年10月31日閲覧。

外部リンク

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