数論 におけるヘーグナー数 (英 : Heegner number)(コンウェイ とガイによる命名)とは、虚二次体
Q
[
−
d
]
{\displaystyle \mathbb {Q} [{\sqrt {-d}}]}
の類数 が
1
{\displaystyle 1}
となる平方因子を持たない正の整数
d
{\displaystyle d}
のことである。言い換えれば、その整数環 は一意な分解 を持つ[ 1] 。
このような数は類数問題 の特別なケースから定まるとともに、数論におけるいくつかの注目すべき結果の根底にある。
(ベイカー・)スターク・ヘーグナーの定理 によれば、ヘーグナー数は正確に9つ存在する。
1
,
2
,
3
,
7
,
11
,
19
,
43
,
67
,
163
{\displaystyle 1,2,3,7,11,19,43,67,163}
オンライン整数列大辞典 の数列 A003173
この結果はガウス によって予想され、1952年にクルト・ヘーグナー (英語版 ) によって軽微な誤りを含む証明がなされた。 アラン・ベイカー とハロルド・スターク (英語版 ) は1966年に結果を独立して証明し、スタークはさらにヘーグナーの証明の誤りは軽微であることを示した[ 2] 。
n = 1, ..., 40 に対して素数を与えるオイラーの素数生成多項式 (英語版 )
n
2
−
n
+
41
{\displaystyle n^{2}-n+41}
は、ヘーグナー数 163 = 4・41 − 1 と対応している。
オイラーの式において
n
{\displaystyle n}
が 1, ..., 40 の値をとるとすると、
n
{\displaystyle n}
が 1, ..., 39 の値をとる以下の式と等価である。
n
2
+
n
+
41
{\displaystyle n^{2}+n+41}
ラビノヴィッチ (英語版 ) [ 3] は
n
2
+
n
+
p
{\displaystyle n^{2}+n+p\,}
について、判別式
1
−
4
p
{\displaystyle 1-4p}
が負のヘーグナー数の場合、またそのときに限り、
n
=
0
,
…
,
p
−
2
{\displaystyle n=0,\dots ,p-2}
に対して素数を与えることを証明した。
(なお
p
−
1
{\displaystyle p-1}
を代入すると
p
2
{\displaystyle p^{2}}
となるため、
p
−
2
{\displaystyle p-2}
が n の最大値となる。)
4
p
−
1
=
1
,
2
,
3
{\displaystyle 4p-1=1,2,3}
を満たす p が存在しないため、機能するヘーグナー数は
7
,
11
,
19
,
43
,
67
,
163
{\displaystyle 7,11,19,43,67,163}
であり、これらはオイラーの形の素数生成式における
p
=
2
,
3
,
5
,
11
,
17
,
41
{\displaystyle p=2,3,5,11,17,41}
にそれぞれ対応する。特にこれらの p は、リヨネ (英語版 ) によってオイラーの幸運数 (英語版 ) と呼ばれている[ 4] 。
ラマヌジャンの定数 とは超越数 [ 5]
e
π
163
{\displaystyle e^{\pi {\sqrt {163}}}}
のことであり、整数に非常に近い (英語版 ) という点でほとんど整数 である。
e
π
163
=
262
537
412
640
768
743.999
999
999
999
25
…
{\displaystyle e^{\pi {\sqrt {163}}}=262\,537\,412\,640\,768\,743.999\,999\,999\,999\,25\ldots }
[ 6]
≈
640
320
3
+
744.
{\displaystyle \approx 640\,320^{3}+744.}
この数は、1859年に数学者シャルル・エルミート によって発見された[ 7] 。サイエンティフィック・アメリカン 誌の1975年エイプリルフール の記事[ 8] 「数学的ゲーム」のコラムニストであるマーティン・ガードナー は、「その数は実際に整数であり、インドの天才数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャン が予測していた」という話をでっち上げたことから、この名前がついた。
この偶然性は、 虚数乗法 とj-不変量 のq- 展開 によって説明できる。
簡単に言えば、ヘーグナー数 d に対して
j
(
(
1
+
−
d
)
/
2
)
{\displaystyle j((1+{\sqrt {-d}})/2)}
は整数であり、
e
π
d
≈
−
j
(
(
1
+
−
d
)
/
2
)
+
744
{\displaystyle e^{\pi {\sqrt {d}}}\approx -j((1+{\sqrt {-d}})/2)+744}
が q -展開によって示される。
もし
τ
{\displaystyle \tau }
が二次無理数とすると、j- 不変量は次数
|
Cl
(
Q
(
τ
)
)
|
{\displaystyle |{\mbox{Cl}}(\mathbf {Q} (\tau ))|}
の代数的整数 であり、
Q
(
τ
)
{\displaystyle \mathbf {Q} (\tau )}
の類数 と
Q
(
τ
)
{\displaystyle \mathbf {Q} (\tau )}
が満たす最小(モニック整数)多項式は、「ヒルベルト類多項式 (Hilbert class polynomial)」と呼ばれる。 したがって、虚数の2次拡大体
Q
(
τ
)
{\displaystyle \mathbf {Q} (\tau )}
の類数が 1 であれば(つまり d はヘーグナー数)、 j- 不変量は整数となる。
フーリエ級数 展開を
q
=
exp
(
2
π
i
τ
)
{\displaystyle q=\exp(2\pi i\tau )}
のローラン級数 として表した j の q -展開 は、最初の3項は以下のとおりである:
j
(
τ
)
=
1
q
+
744
+
196
884
q
+
⋯
{\displaystyle j(\tau )={\frac {1}{q}}+744+196\,884q+\cdots }
ローラン級数の係数
c
n
{\displaystyle c_{n}}
は漸近的に
ln
(
c
n
)
∼
4
π
n
+
O
(
ln
(
n
)
)
{\displaystyle \ln(c_{n})\sim 4\pi {\sqrt {n}}+O(\ln(n))}
のように増大し、また低次の係数の増大が
200
000
n
{\displaystyle 200\,000^{n}}
よりも遅いため、
q
≪
1
/
200
000
{\displaystyle q\ll 1/200\,000}
において、 j は最初の2つの項で非常によく近似される。
τ
=
(
1
+
−
163
)
/
2
{\displaystyle \tau =(1+{\sqrt {-163}})/2}
とすると
q
=
−
exp
(
−
π
163
)
{\displaystyle q=-\exp(-\pi {\sqrt {163}})}
つまり
1
q
=
−
exp
(
π
163
)
{\displaystyle {\frac {1}{q}}=-\exp(\pi {\sqrt {163}})}
となる。ここで
j
(
(
1
+
−
163
)
/
2
)
=
(
−
640
320
)
3
{\displaystyle j((1+{\sqrt {-163}})/2)=(-640\,320)^{3}}
とすると、以下の式が得られる。
(
−
640
320
)
3
=
−
e
π
163
+
744
+
O
(
e
−
π
163
)
.
{\displaystyle (-640\,320)^{3}=-e^{\pi {\sqrt {163}}}+744+O\left(e^{-\pi {\sqrt {163}}}\right).}
これはすなわち
e
π
163
=
640
320
3
+
744
+
O
(
e
−
π
163
)
{\displaystyle e^{\pi {\sqrt {163}}}=640\,320^{3}+744+O\left(e^{-\pi {\sqrt {163}}}\right)}
であり、誤差の線形項は
−
196
884
/
e
π
163
≈
−
196
884
/
(
640
320
3
+
744
)
≈
−
0.000
000
000
000
75
{\displaystyle -196\,884/e^{\pi {\sqrt {163}}}\approx -196\,884/(640\,320^{3}+744)\approx -0.000\,000\,000\,000\,75}
となるため、
e
π
163
{\displaystyle e^{\pi {\sqrt {163}}}}
が上記の範囲でほぼ整数である理由となる。
1987年、チュドノフスキー兄弟 (英語版 ) は以下の式を発見した。
1
π
=
12
640
320
3
/
2
∑
k
=
0
∞
(
6
k
)
!
(
163
⋅
3
344
418
k
+
13
591
409
)
(
3
k
)
!
(
k
!
)
3
(
−
640
320
)
3
k
{\displaystyle {\frac {1}{\pi }}={\frac {12}{640\,320^{3/2}}}\sum _{k=0}^{\infty }{\frac {(6k)!(163\cdot 3\,344\,418k+13\,591\,409)}{(3k)!(k!)^{3}(-640\,320)^{3k}}}}
これは、
j
(
1
+
−
163
2
)
=
−
640
320
3
{\displaystyle j\left({\tfrac {1+{\sqrt {-163}}}{2}}\right)=-640\,320^{3}}
という事実を用いている。同様の式については、ラマヌジャン・佐藤級数 (英語版 ) を参照せよ。
大きい方から4つのヘーグナー数について、以下の近似が得られる[ 9] 。
e
π
19
≈
96
3
+
744
−
0.22
e
π
43
≈
960
3
+
744
−
0.000
22
e
π
67
≈
5
280
3
+
744
−
0.000
0013
e
π
163
≈
640
320
3
+
744
−
0.000
000
000
000
75
{\displaystyle {\begin{aligned}e^{\pi {\sqrt {19}}}&\approx 96^{3}+744-0.22\\e^{\pi {\sqrt {43}}}&\approx 960^{3}+744-0.000\,22\\e^{\pi {\sqrt {67}}}&\approx 5\,280^{3}+744-0.000\,0013\\e^{\pi {\sqrt {163}}}&\approx 640\,320^{3}+744-0.000\,000\,000\,000\,75\end{aligned}}}
あるいは、 [ 10]
e
π
19
≈
12
3
(
3
2
−
1
)
3
+
744
−
0.22
e
π
43
≈
12
3
(
9
2
−
1
)
3
+
744
−
0.000
22
e
π
67
≈
12
3
(
21
2
−
1
)
3
+
744
−
0.000
0013
e
π
163
≈
12
3
(
231
2
−
1
)
3
+
744
−
0.000
000
000
000
75
{\displaystyle {\begin{aligned}e^{\pi {\sqrt {19}}}&\approx 12^{3}(3^{2}-1)^{3}+744-0.22\\e^{\pi {\sqrt {43}}}&\approx 12^{3}(9^{2}-1)^{3}+744-0.000\,22\\e^{\pi {\sqrt {67}}}&\approx 12^{3}(21^{2}-1)^{3}+744-0.000\,0013\\e^{\pi {\sqrt {163}}}&\approx 12^{3}(231^{2}-1)^{3}+744-0.000\,000\,000\,000\,75\end{aligned}}}
ここで2乗の理由は、特定のアイゼンシュタイン級数 によるものである。
d
<
19
{\displaystyle d<19}
のヘーグナー数についてはほとんど整数となる近似を得られず、
d
=
19
{\displaystyle d=19}
さえ注目に値しない[ 11] 。整数の j- 不変量は細かく因数分解可能であるが、これは
12
3
(
n
2
−
1
)
3
=
(
2
2
⋅
3
⋅
(
n
−
1
)
⋅
(
n
+
1
)
)
3
{\displaystyle 12^{3}(n^{2}-1)^{3}=(2^{2}\cdot 3\cdot (n-1)\cdot (n+1))^{3}}
ということに従う。素因数は以下のとおりである。
j
(
(
1
+
−
19
)
/
2
)
=
96
3
=
(
2
5
⋅
3
)
3
j
(
(
1
+
−
43
)
/
2
)
=
960
3
=
(
2
6
⋅
3
⋅
5
)
3
j
(
(
1
+
−
67
)
/
2
)
=
5
280
3
=
(
2
5
⋅
3
⋅
5
⋅
11
)
3
j
(
(
1
+
−
163
)
/
2
)
=
640
320
3
=
(
2
6
⋅
3
⋅
5
⋅
23
⋅
29
)
3
.
{\displaystyle {\begin{aligned}j((1+{\sqrt {-19}})/2)&=96^{3}=(2^{5}\cdot 3)^{3}\\j((1+{\sqrt {-43}})/2)&=960^{3}=(2^{6}\cdot 3\cdot 5)^{3}\\j((1+{\sqrt {-67}})/2)&=5\,280^{3}=(2^{5}\cdot 3\cdot 5\cdot 11)^{3}\\j((1+{\sqrt {-163}})/2)&=640\,320^{3}=(2^{6}\cdot 3\cdot 5\cdot 23\cdot 29)^{3}.\end{aligned}}}
これらの超越数 は、(単に次数 1 の代数的数 である)整数によるよい近似のほかに、次数 3 の代数的数によってもよく近似できる[ 12] 。
e
π
19
≈
x
24
−
24.000
31
;
x
3
−
2
x
−
2
=
0
e
π
43
≈
x
24
−
24.000
000
31
;
x
3
−
2
x
2
−
2
=
0
e
π
67
≈
x
24
−
24.000
000
001
9
;
x
3
−
2
x
2
−
2
x
−
2
=
0
e
π
163
≈
x
24
−
24.000
000
000
000
0011
;
x
3
−
6
x
2
+
4
x
−
2
=
0
{\displaystyle {\begin{aligned}e^{\pi {\sqrt {19}}}&\approx x^{24}-24.000\,31;\ \ \qquad \qquad \qquad x^{3}-2x-2=0\\e^{\pi {\sqrt {43}}}&\approx x^{24}-24.000\,000\,31;\qquad \qquad \quad x^{3}-2x^{2}-2=0\\e^{\pi {\sqrt {67}}}&\approx x^{24}-24.000\,000\,001\,9;\qquad \qquad x^{3}-2x^{2}-2x-2=0\\e^{\pi {\sqrt {163}}}&\approx x^{24}-24.000\,000\,000\,000\,0011;\quad x^{3}-6x^{2}+4x-2=0\end{aligned}}}
3次式の根 は、24番目の根を含むモジュラー関数であるデデキントのイータ関数 η (τ )の商によって正確に与えられ、これが近似における数値 24 の理由となる。また、次数4の代数的数によっても近似できる[ 13] 。
e
π
19
≈
3
5
(
3
−
2
(
1
−
96
/
24
+
1
3
⋅
19
)
)
−
2
−
12.000
06
…
e
π
43
≈
3
5
(
9
−
2
(
1
−
960
/
24
+
7
3
⋅
43
)
)
−
2
−
12.000
000
061
…
e
π
67
≈
3
5
(
21
−
2
(
1
−
5
280
/
24
+
31
3
⋅
67
)
)
−
2
−
12.000
000
000
36
…
e
π
163
≈
3
5
(
231
−
2
(
1
−
640
320
/
24
+
2
413
3
⋅
163
)
)
−
2
−
12.000
000
000
000
000
21
…
{\displaystyle {\begin{aligned}e^{\pi {\sqrt {19}}}&\approx 3^{5}\left(3-{\sqrt {2(1-96/24+1{\sqrt {3\cdot 19}})}}\right)^{-2}-12.000\,06\dots \\e^{\pi {\sqrt {43}}}&\approx 3^{5}\left(9-{\sqrt {2(1-960/24+7{\sqrt {3\cdot 43}})}}\right)^{-2}-12.000\,000\,061\dots \\e^{\pi {\sqrt {67}}}&\approx 3^{5}\left(21-{\sqrt {2(1-5\,280/24+31{\sqrt {3\cdot 67}})}}\right)^{-2}-12.000\,000\,000\,36\dots \\e^{\pi {\sqrt {163}}}&\approx 3^{5}\left(231-{\sqrt {2(1-640\,320/24+2\,413{\sqrt {3\cdot 163}})}}\right)^{-2}-12.000\,000\,000\,000\,000\,21\dots \end{aligned}}}
括弧内の式を
x
{\displaystyle x}
とおくと(例:
x
=
3
−
2
(
1
−
96
/
24
+
1
3
⋅
19
)
{\displaystyle x=3-{\sqrt {2(1-96/24+1{\sqrt {3\cdot 19}})}}}
)、
x
{\displaystyle x}
はそれぞれ四次方程式 を満たす。
x
4
−
4
⋅
3
x
3
+
2
3
(
96
+
3
)
x
2
−
2
3
⋅
3
(
96
−
6
)
x
−
3
=
0
x
4
−
4
⋅
9
x
3
+
2
3
(
960
+
3
)
x
2
−
2
3
⋅
9
(
960
−
6
)
x
−
3
=
0
x
4
−
4
⋅
21
x
3
+
2
3
(
5
280
+
3
)
x
2
−
2
3
⋅
21
(
5
280
−
6
)
x
−
3
=
0
x
4
−
4
⋅
231
x
3
+
2
3
(
640
320
+
3
)
x
2
−
2
3
⋅
231
(
640
320
−
6
)
x
−
3
=
0
{\displaystyle {\begin{aligned}&x^{4}-4\cdot 3x^{3}+{\tfrac {2}{3}}(96+3)x^{2}\qquad \quad -{\tfrac {2}{3}}\cdot 3(96-6)x-3=0\\&x^{4}-4\cdot 9x^{3}+{\tfrac {2}{3}}(960+3)x^{2}\ \ \quad \quad -{\tfrac {2}{3}}\cdot 9(960-6)x-3=0\\&x^{4}-4\cdot 21x^{3}+{\tfrac {2}{3}}(5\,280+3)x^{2}\quad \ \;-{\tfrac {2}{3}}\cdot 21(5\,280-6)x-3=0\\&x^{4}-4\cdot 231x^{3}+{\tfrac {2}{3}}(640\,320+3)x^{2}-{\tfrac {2}{3}}\cdot 231(640\,320-6)x-3=0\\\end{aligned}}}
整数
n
=
3
,
9
,
21
,
231
{\displaystyle n=3,9,21,231}
の再出現と、以下の事実に注意せよ。
2
6
⋅
3
(
−
(
1
−
96
/
24
)
2
+
1
2
⋅
3
⋅
19
)
=
96
2
2
6
⋅
3
(
−
(
1
−
960
/
24
)
2
+
7
2
⋅
3
⋅
43
)
=
960
2
2
6
⋅
3
(
−
(
1
−
5
280
/
24
)
2
+
31
2
⋅
3
⋅
67
)
=
5
280
2
2
6
⋅
3
(
−
(
1
−
640
320
/
24
)
2
+
2413
2
⋅
3
⋅
163
)
=
640
320
2
{\displaystyle {\begin{aligned}&2^{6}\cdot 3(-(1-96/24)^{2}+1^{2}\cdot 3\cdot 19)=96^{2}\\&2^{6}\cdot 3(-(1-960/24)^{2}+7^{2}\cdot 3\cdot 43)=960^{2}\\&2^{6}\cdot 3(-(1-5\,280/24)^{2}+31^{2}\cdot 3\cdot 67)=5\,280^{2}\\&2^{6}\cdot 3(-(1-640\,320/24)^{2}+2413^{2}\cdot 3\cdot 163)=640\,320^{2}\end{aligned}}}
これは、適切な分数累乗を与えれば、正確に j-不変量である。
同様に、次数 6 の代数的数では以下のようになる。
e
π
19
≈
(
5
x
)
3
−
6.000
010
…
e
π
43
≈
(
5
x
)
3
−
6.000
000
010
…
e
π
67
≈
(
5
x
)
3
−
6.000
000
000
061
…
e
π
163
≈
(
5
x
)
3
−
6.000
000
000
000
000
034
…
{\displaystyle {\begin{aligned}e^{\pi {\sqrt {19}}}&\approx (5x)^{3}-6.000\,010\dots \\e^{\pi {\sqrt {43}}}&\approx (5x)^{3}-6.000\,000\,010\dots \\e^{\pi {\sqrt {67}}}&\approx (5x)^{3}-6.000\,000\,000\,061\dots \\e^{\pi {\sqrt {163}}}&\approx (5x)^{3}-6.000\,000\,000\,000\,000\,034\dots \end{aligned}}}
ここで、x はそれぞれ六次式 の適切な根によって与えられる。
5
x
6
−
96
x
5
−
10
x
3
+
1
=
0
5
x
6
−
960
x
5
−
10
x
3
+
1
=
0
5
x
6
−
5
280
x
5
−
10
x
3
+
1
=
0
5
x
6
−
640
320
x
5
−
10
x
3
+
1
=
0
{\displaystyle {\begin{aligned}&5x^{6}-96x^{5}-10x^{3}+1=0\\&5x^{6}-960x^{5}-10x^{3}+1=0\\&5x^{6}-5\,280x^{5}-10x^{3}+1=0\\&5x^{6}-640\,320x^{5}-10x^{3}+1=0\end{aligned}}}
ここで j-不変量が再び現れる。これらの六次方程式は代数的であるだけでなく、拡大体
Q
(
5
)
{\displaystyle \mathbb {Q} ({\sqrt {5}})}
[ 14] の上で2つの三次式 に因数分解される(最初の因数はさらに2つの二次式 に分解できる)ので、冪根 によって解ける 。これらの代数的近似は、デデキント・イータ商で正確に 表現できる。例として、
τ
=
(
1
+
−
163
)
/
2
{\displaystyle \tau =(1+{\sqrt {-163}})/2}
とすると、
e
π
163
=
(
e
π
i
/
24
η
(
τ
)
η
(
2
τ
)
)
24
−
24.000
000
000
000
001
05
…
e
π
163
=
(
e
π
i
/
12
η
(
τ
)
η
(
3
τ
)
)
12
−
12.000
000
000
000
000
21
…
e
π
163
=
(
e
π
i
/
6
η
(
τ
)
η
(
5
τ
)
)
6
−
6.000
000
000
000
000
034
…
{\displaystyle {\begin{aligned}e^{\pi {\sqrt {163}}}&=\left({\frac {e^{\pi i/24}\eta (\tau )}{\eta (2\tau )}}\right)^{24}-24.000\,000\,000\,000\,001\,05\dots \\e^{\pi {\sqrt {163}}}&=\left({\frac {e^{\pi i/12}\eta (\tau )}{\eta (3\tau )}}\right)^{12}-12.000\,000\,000\,000\,000\,21\dots \\e^{\pi {\sqrt {163}}}&=\left({\frac {e^{\pi i/6}\eta (\tau )}{\eta (5\tau )}}\right)^{6}-6.000\,000\,000\,000\,000\,034\dots \end{aligned}}}
ここで、イータ商は上記の代数的数である。
類数
2
{\displaystyle 2}
を持つ虚二次体
Q
[
−
d
]
{\displaystyle \mathbb {Q} [{\sqrt {-d}}]}
を与える3つの数字
88
,
148
,
232
{\displaystyle 88,148,232}
は、ヘーグナー数とは見なされないが、 ほとんど整数 という点で同様の特性を有する。たとえば、
e
π
88
+
8
744
≈
2
508
952
2
−
.077
…
e
π
148
+
8
744
≈
199
148
648
2
−
.000
97
…
e
π
232
+
8
744
≈
24
591
257
752
2
−
.000
0078
…
{\displaystyle {\begin{aligned}e^{\pi {\sqrt {88}}}+8\,744\approx \quad \quad 2\,508\,952^{2}&-.077\dots \\e^{\pi {\sqrt {148}}}+8\,744\approx \quad 199\,148\,648^{2}&-.000\,97\dots \\\ e^{\pi {\sqrt {232}}}+8\,744\approx 24\,591\,257\,752^{2}&-.000\,0078\dots \\\end{aligned}}}
そして
e
π
22
−
24
≈
(
6
+
4
2
)
6
+
.000
11
…
e
π
37
+
24
≈
(
12
+
2
37
)
6
−
.000
0014
…
e
π
58
−
24
≈
(
27
+
5
29
)
6
−
.000
000
0011
…
{\displaystyle {\begin{aligned}e^{\pi {\sqrt {22}}}-24&\approx (6+4{\sqrt {2}})^{6}\quad +.000\,11\dots \\e^{\pi {\sqrt {37}}}{\color {red}+}\,24&\approx (12+2{\sqrt {37}})^{6}-.000\,0014\dots \\e^{\pi {\sqrt {58}}}-24&\approx (27+5{\sqrt {29}})^{6}-.000\,000\,0011\dots \\\end{aligned}}}
p を奇素数として、
k
=
0
,
1
,
…
,
(
p
−
1
)
/
2
{\displaystyle k=0,1,\dots ,(p-1)/2}
に対して
k
2
(
mod
p
)
{\displaystyle k^{2}{\pmod {p}}}
を計算すると(
(
p
−
k
)
2
≡
k
2
(
mod
p
)
{\displaystyle (p-k)^{2}\equiv k^{2}{\pmod {p}}}
なので、k の範囲はこれで十分である)、 p がヘーグナー数である場合、またそのときに限り、連続する素数のに続いて連続する合成数が得られる[ 15] 。
詳細については、リチャード・モリン(Richard Mollin)の "Quadratic Polynomials Producing Consecutive Distinct Primes and Class Groups of Complex Quadratic Fields" を参照せよ[ 16] 。
^ Conway, John Horton ; Guy, Richard K. (1996). The Book of Numbers . Springer. p. 224 . ISBN 0-387-97993-X . https://archive.org/details/bookofnumbers0000conw/page/224
^ Stark, H. M. (1969), “On the gap in the theorem of Heegner” , Journal of Number Theory 1 : 16–27, doi :10.1016/0022-314X(69)90023-7 , http://deepblue.lib.umich.edu/bitstream/2027.42/33039/1/0000425.pdf
^ Rabinovitch, Georg (英語版 ) "Eindeutigkeit der Zerlegung in Primzahlfaktoren in quadratischen Zahlkörpern."
^ Le Lionnais, F. Les nombres remarquables.
^ Weisstein, Eric W. "Transcendental Number" . mathworld.wolfram.com (英語).
^ Ramanujan Constant – from Wolfram MathWorld
^ Barrow, John D (2002). The Constants of Nature . London: Jonathan Cape. ISBN 0-224-06135-6
^ Gardner, Martin (April 1975). “Mathematical Games”. Scientific American (Scientific American, Inc) 232 (4): 127.
^ これらは計算機で
e
π
d
−
744
3
{\displaystyle {\sqrt[{3}]{e^{\pi {\sqrt {d}}}-744}}}
計算することで確かめられ、誤差の線形項は
196
884
/
e
π
d
{\displaystyle 196\,884/e^{\pi {\sqrt {d}}}}
で確認できる。
^ https://groups.google.com/g/sci.math.research/c/PSQTfJqGCJM?hl=en
^ 実数乱数の絶対偏差(たとえば [0,1] 区間の一様乱数)は [0, 0.5] の一様乱数となり、絶対平均偏差 (英語版 ) と中央絶対偏差 (英語版 ) は0.25となるため、偏差0.22はほぼ整数とみなすには大きすぎる。
^ “Pi Formulas ”. 2020年6月 閲覧。
^ “Extending Ramanujan's Dedekind Eta Quotients ”. 2020年6月 閲覧。
^ 訳註:原文では
Q
5
{\displaystyle \mathbb {Q} {\sqrt {5}}}
^ http://www.mathpages.com/home/kmath263.htm
^ Mollin, R. A. (1996). “Quadratic polynomials producing consecutive, distinct primes and class groups of complex quadratic fields” . Acta Arithmetica 74 : 17–30. http://matwbn.icm.edu.pl/ksiazki/aa/aa74/aa7412.pdf .