ベヒル

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ベヒル[1](Beithir)またはベーヒアル[2][3][4]は、スコットランドの伝説上の生物[1]

語源[編集]

語源は古代北欧語の「熊」に由来するとされる[1]

特徴[編集]

超自然的生物の総称という側面もあり、外見は一定しないが、ドラゴン・蛇・獣などの姿で表現される[1]。 多くの場合、長く太い尻尾を持ち[1]、翼は持たない[1][5]

刺突や噛みつきによって人を害し、被害者はベヒルより先に水場に辿り着けば傷は治癒するが、ベヒルが先に水場にたどり着いた場合治らない[6][7]

また蛇を殺す場合、頭を胴体と一定距離離した上で破壊しなければ、部位が合体してベヒルとなるともいわれる[6]

水に関する精霊フーアにも含まれるといわれるが、これは近代以降付与された属性であるとされる[1][8][9]

未確認生物としてのベヒル[編集]

ベヒルは未確認生物としても知られ、1930年代から1975年まで目撃があった[7]

1930年代、ア・ミューリ湖付近の陸上を3メートルのベヒルが移動しているのが目撃される[10][11]

1965年9月、パースのA85道路を運転していた複数人の住民が、道路沿いにいる約6メートルのベヒルを目撃した[2][3][4][12]。 ある目撃者は「ベヒルは芋虫のように前進した」と報告した[12]が、日本語の文献では、動きではなく外見が芋虫であったとされている[2][3][4]

1975年、インネヴァス近郊で五人の漁師が、滝の上流にある浅瀬でとぐろを巻いたベヒルに遭遇した。ベヒルは漁師たちに見られていることに気がつくと、のたうちまわりビューフォート城付近の峡谷を通って消えた[10]

これらの未確認生物としてのベヒルの正体は、非常に巨大なウナギなのではないかと考えている動物学者もいる[10]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g ローズ, キャロル『世界の怪物・神獣事典 普及版』松村一男監訳、原書房〈シリーズ・ファンタジー百科〉、2014年9月6日、338−339頁。ISBN 978-4-562-05089-5 
  2. ^ a b c 並木伸一郎『ムー・ミステリー・ファイル ムー認定! 最驚!! 未確認生物UMAビジュアル大事典』ワン・パブリッシング、2023年、48-49頁。ISBN 978-4651203126 
  3. ^ a b c ながたみかこ『図解大事典 未確認生物UMA』新星出版社、2018年、104頁。ISBN 978-4405072800 
  4. ^ a b c 天野ミチヒロ『大迫力! 世界のUMA 未確認生物大百科』西東社、2016年、220−221頁。ISBN 978-4791624874 
  5. ^ Campbell, John Francis (1892). Popular Tales of the West Highlands (Vol. 3). Alexander Gardner. pp. 406, 415 (footnote).
  6. ^ a b Campbell, John Gregorson (1900). Superstitions of the Highlands and Islands of Scotland. Glasgow: James MacLehose and Sons. p. 224.
  7. ^ a b Beithir | Cryptids | Stronghold Nation”. www.stronghold-nation.com. 2024年2月8日閲覧。
  8. ^ Briggs, Katharine (1976). An Encyclopedia of Fairies. Pantheon Books. p. 20. ISBN 0394409183.
  9. ^ Mackillop (1998) Dictionary of Celtic Mythology, p. 243, s. v. "fuath, fuathan, vough".
  10. ^ a b c ShukerNature” (英語). karlshuker.blogspot.com. 2024年2月8日閲覧。
  11. ^ The Paranormal Database “Beithir”” (英語). paranormaldatabase.com. 2024年2月8日閲覧。
  12. ^ a b The Paranormal Database “Road Crossing Serpent”” (英語). www.paranormaldatabase.com. 2024年2月8日閲覧。