ペルー陸軍
ペルー陸軍(西:Ejército del Perú)はペルーの陸軍。
歴史
[編集]1821年の独立以来、ペルー陸軍は幾多の戦争を経験している。1879年の太平洋戦争、1932年のコロンビア・ペルー戦争、1995年のセネパ紛争などがそれである。
1941年のエクアドルとの国境紛争では勝利し、1944年に第二次世界大戦に参戦する。戦後は余剰となったアメリカ製兵器が流入する事となる。1947年には米州相互援助条約に加盟し、南米における安全保障体制の一員となった。
1968年10月3日、フアン・ベラスコ・アルバラード将軍はクーデターを起こし、ベラウンデ政権を転覆した。陸軍は「軍事革命路線」を推し進める軍事革命政権の中核的存在であった。1968年から1980年にかけての軍事政権は先例の無い軍備増強を実施する。特に1970年代にはアメリカ合衆国の影響力を弱めるため、ソビエト連邦製の兵器を多数導入した。
1980年に軍事政権は選挙により民政移管される。しかし、不況や自然災害によって国内の経済状態は悪化し、センデロ・ルミノソなどの極左ゲリラが地方において台頭してきた。1990年には地方の大部分はセンデロ・ルミノソが制圧し、国内情勢は緊迫化してきた。この状況を打破すべく、アルベルト・フジモリが大統領に就任し、強権的な政権運用で国内情勢の安定化を目指し陸軍もその一翼を担う。この間、1995年にエクアドルとの間で国境紛争が勃発しこれに対処する。1996年には在ペルー日本大使公邸占拠事件が発生しこれを強行突入により鎮圧。1999年のエクアドルとの平和条約締結の1年後には徴兵制から志願制に切り替えられた。
2000年のフジモリ大統領の失墜により、陸軍には困難な問題が表面化した。将校の一部は汚職と人権侵害を引き起こしていたとされ、バレンティン・パニアグア大統領、アレハンドロ・トレド大統領政権下において、不正に関与した軍人達を刑事事件で起訴し、国防省の改革がなされた。
組織
[編集]陸軍総司令官(Comandancia General del Ejército)の下、以下の職位・組織がある。2009年時点で現役兵総員76,200人、文民11,400人、2007年時点での予備役は188,000人[1]。
- 陸軍参謀総長(Estado Mayor General del Ejército)
- 陸軍監査部(Inspectoría General del Ejército)
- 陸軍官房(Secretaría General del Ejército)
- 陸軍参謀本部(Jefatura del Estado Mayor General del Ejército)
- 高等委員会(Consejo Superior)
- 諮問委員会(Consejo Consultivo)
- 財政委員会(Consejo Económico)
- 調査委員会(Consejo de Investigación)
北部軍管区[編集]司令部はピウラ。
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中部軍管区[編集]司令部はリマ。
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南部軍管区[編集]司令部はアレキパ。
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東部軍管区[編集]司令部はイキトス。
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ブラエ軍管区
[編集]ブラエとはアプマリック川・エネ川渓谷を示す頭字語のこと。(Valle del Río Apurímac y EneVRAE)
対ゲリラ戦・麻薬取締り作戦の最前線である。
装備
[編集]車両
[編集]戦車
[編集]装輪車
[編集]- ティッセン・ヘンシェル UR-416 × 130台
- BRDM-2 × 30台
- フィアット 6616H5 × 45台
- フィアット 6614 × 45台
- BM-21 × 14台
- ハンヴィー × 12台
装軌車
[編集]- M113A1 × 130輌
- SOFAM 155mm自走榴弾砲 × 12輌
- M109 155mm自走榴弾砲 × 12輌
- ZSU-23-4 × 35輌
火器
[編集]小火器
[編集]- FN Five-seveN
- ブローニング・ハイパワー
- ベレッタM92
- AKM
- FN FAL
- IMI ガリル
- H&K G3
- H&K MP5
- FN P90
- FN SCAR
- FN F2000
- ウージー
- FN MAG
- PKM
- DShK38重機関銃
- ブローニングM2重機関銃
- ダネルMGL
- RPG-7
- 87式擲弾発射器
- カールグスタフM2
火砲
[編集]- M-46 130mmカノン砲 × 36門
- オート・メラーラMod56 105mm榴弾砲 × 24門
- D-30 122mm榴弾砲 × 36門
- M101 105mm榴弾砲 × 75門
- Yugoimport M56(旧ユーゴスラビア製のM101コピー) × 72門
- M40 106mm無反動砲
- SPG-9 73mm無反動砲
ミサイル
[編集]航空機
[編集]固定翼機
[編集]- セスナ 208 × 1機
- セスナ 303 × 2機
- パイパー PA-31 × 2機
- パイパー PA-34 × 1機
- Il-103 × 5機
- An-28 × 2機
- An-32 × 2機
- ビーチクラフト キングエア × 1機
回転翼機
[編集]階級
[編集]日本語 | スペイン語 | NATO階級符号 | ||||
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士官 | ||||||
陸軍大将 | General del Ejército | |||||
陸軍中将 | General de División | |||||
陸軍少将 | General de Brigada | |||||
陸軍大佐 | Coronel | |||||
陸軍中佐 | Teniente Coronel | |||||
陸軍少佐 | Mayor | |||||
陸軍大尉 | Capitan | |||||
陸軍中尉 | Teniente | |||||
陸軍少尉 | Subteniente | |||||
陸軍少尉 | Alferez | |||||
技術官および下士官 | ||||||
総先任上級技術官 | Técnico Jefe Superior General | |||||
先任上級技術官 | Técnico Jefe Superior | |||||
上級技術官 | Técnico Jefe | |||||
1等技術官 | Técnico de 1ra | |||||
2等技術官 | Técnico de 2da | |||||
3等技術官 | Técnico de 3ra | |||||
1等下士官 | Suboficial de 1ra | |||||
2等下士官 | Suboficial de 2da | |||||
3等下士官 | Suboficial de 3ra | |||||
兵役区分および兵卒 | ||||||
1等軍曹 | Sargento 1ro | |||||
2等軍曹 | Sargento 2do | |||||
伍長 | Cabo | |||||
兵 | Soldado |
脚注
[編集]- ^ Military Balance 2007
参考文献
[編集]- Christopher Langton, Military Balance 2007, Routledge
関連項目
[編集]- ペルー早稲田大学探検部員殺害事件 - ペルー陸軍が営利目的で日本人を殺害した事件。
外部リンク
[編集]- EJERCITO DEL PERU(音声注意)