ホッキョクジリス
ホッキョクジリス | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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ホッキョクジリス
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保全状況評価 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Spermophilus parryii Richardson, 1825 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Urocitellus parryii | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ホッキョクジリス | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Arctic ground squirrel |
ホッキョクジリス (Spermophilus parryii) は、哺乳綱ネズミ目(齧歯目)リス科に分類されるジリス。
北極地方に生息し、冬眠中の体温がマイナスにまで下がることが知られており、1年のうち9ヶ月を眠って過ごす。
分布
[編集]北極圏からカナダのブリティッシュコロンビア州、ノースウェスト準州、アラスカ、シベリアにかけて分布[1]。 乾燥したツンドラや開けた草地に生息している[2]。
形態
[編集]毛色は薄黄色と黄褐色で、背には白色の斑点がある。顔は短く、耳は小さい。尾は灰色で、眼の周りに白い模様がある。平均体長39cm、体重750g。雄は雌よりも100gほど重い[2]。
食餌
[編集]イネ科の植物、スゲ、キノコ、湿原のイグサ、コケモモ、ヤナギ、根、茎、葉、花、種。食物を頬に入れて巣に運ぶこともある[2]。
生態
[編集]昼行性で、一匹の雄が支配する群れで生活している。 捕食者は、ホッキョクギツネ、クズリ、オオヤマネコ、ハイイログマ、鷲。 夏には、冬眠に備えて体脂肪を増やすため、ツンドラの植物、種子、実を探し回る。夏の終わり頃になると、春に新しい草が育つまでの間食べられるように、巣穴に食料を貯蔵し始める[3]。巣穴の内部は、地衣類、葉、ジャコウウシの毛で覆われている。 個体間のコミュニケーションは、鳴き声と動作で行う。出会ったときには、鼻と鼻を接触させるか、体の他の部分を押し付けあう。危険に応じて警戒音を発し、捕食者によって異なった音を発する。低い喉の音は、地面にいる捕食者を示し、短い周波数の口笛のような音は、鷲などの空からの危険を示す[2]。
冬眠
[編集]9月初旬から4月下旬まで冬眠する。その際、体温は37度からマイナス3度まで低下させることができる[4][5][6]。
繁殖
[編集]冬眠から目覚めると、5月中旬に交尾し、およそ25日後の6月下旬に出産する。一回で5匹から10匹の子どもを産む。子は生まれたときには毛は生えていないが、6週間で離乳し、やがてやってくる冬に備えて急速に成長することができる[2]。子は1ヶ月余りで十分に育ち、次の寒さが来る前に自分で穴を掘り冬眠の支度を済ませる。親は3ヶ月の間に、子を育て、自分の体力を回復し、冬のための食糧を貯蔵し、巣穴の大掃除をしなければならない。そのため、雨や風のひどい時でも毎日17時間もあくせくと休まずに働く[7]。
出典
[編集]- ^ Linzey, A.V. 2008, “Spermophilus parryii”, IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1.
- ^ a b c d e Brensike, J. 2000, "Spermophilus parryii", Animal Diversity Web. Accessed October 23, 2011.
- ^ Environment Yukon, “Arctic Ground Squirrel”, September 27, 2010.
- ^ Barnes, Brian M. (1989-06-30). “Freeze Avoidance in a Mammal: Body Temperatures Below 0°C in an Arctic Hibernator”. Science (American Association for the Advancement of Science) 244: 1593–1595. doi:10.1126/science.2740905. PMID 2740905. オリジナルの2008年12月16日時点におけるアーカイブ。 2009年8月12日閲覧。.
- ^ Muldrew, K., University of Calgary, “Mammalian Hibernation”, Feb. 26, 1999.
- ^ Denali National Park and Preserve, “Arctic ground squirrel”, The National Park Service, the U.S. Department of the Interior, October 19, 2006 .
- ^ 今泉吉典編、『アニマルライフ 動物の大世界百科 第11巻 ショ‐センシ』 日本メール・オーダー社、1972年。
参考文献
[編集]- Hall, E. Raymond. 1981. The Mammals of North America. 2 volumes. Ronald Press.
- Helgen, K. M., F. R. Cole, L. E. Helgen, and D. E. Wilson. 2009. Generic revision in the Holarctic ground squirrel genus Spermophilus. Journal of Mammalogy, 90:270-305.
- Thorington, R. W. Jr. and R. S. Hoffman. 2005. Family Sciuridae. pp. 754–818 in Mammal Species of the World a Taxonomic and Geographic Reference. D. E. Wilson and D. M. Reeder eds. Johns Hopkins University Press, Baltimore.