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ホテイラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ホテイラン
ホテイラン
長野県八ヶ岳 2023年5月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
: ホテイラン属 Calypso
: ヒメホテイラン
C. bulbosa
変種 : ホテイラン
C. bulbosa var. speciosa
学名
Calypso bulbosa (L.) Oakes var. speciosa (Schltr.) Makino (1926)[1]
シノニム
  • Calypso bulbosa (L.) Oakes var. japonica Makino (1905)[2]
  • Calypso bulbosa (L.) Oakes subsp. speciosa (Schltr.) Kitam. (1966)[3]
和名
ホテイラン(布袋蘭)[4]

ホテイラン(布袋蘭、学名Calypso bulbosa var. speciosa)は、ラン科ホテイラン属の地生の多年草。別名、ツリフネラン(釣舟蘭)[4][5]

ヒメホテイラン(姫布袋蘭、学名:Calypso bulbosa)を分類上の基本種とする変種である[6]

特徴

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偽球茎は楕円状に肥厚し、2-3節からなり、少数のを出す。偽球茎の先端から1花茎を出す。葉に長さ1.5-3cmの葉柄があり、葉身は卵状楕円形で、長さ2.5-5cm、幅1.5-3cm、縦に5脈が隆起してしわが顕著で、先端は鋭頭、基部は浅い心形、縁は波状に縮れる。葉の表面は緑色で紫色の斑紋があって光沢があり、裏面は紫色になる。花茎は直立し、高さ6-15cmになり、膜質で淡茶色の長い鞘状葉が2個つく[4][5][6][7]

花期は5-6月。花茎の先端に1個の淡紅色のをつける。は広線形で長さ1-2.5cm、先は鋭尖頭で淡紅色。3萼片および2側花弁は線状披針形で、長さ2-3cm、幅3-4mm、先は鋭尖頭で上向きに反り返り、淡紅色。唇弁は下垂し、太く袋状にふくらんで長さ2.5-3.5cmになり、淡紅白色で内面に淡褐色または濃紫色の斑紋があり、中部は盛り上がって橙色の房毛が生える。背面は袋状にふくらんで、先端が2又に分かれた距になって、唇弁下部の舷部より長く突出する。蕊柱は卵状楕円形で長さ1.5cmになり、左右が翼状に広がり、紅紫色になる[4][5][6][7]

分布と生育環境

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本州の中部地方に分布し、亜高山の針葉樹林下に生育する[6]

名前の由来

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和名のホテイランは、「布袋蘭」の意で、唇弁のふくらみが布袋の腹を連想させることによる。別名のツリフネランは、「釣舟蘭」の意で、これも唇弁の形状に基づく[5]

属名 Calypso は、ギリシャ神話アトラスの娘 Kalypso の名前から。kalypso は、「隠す」を意味し、生育地が秘されていたという。また、種小名(種形容語)bulbosa は、「鱗茎状の」の、変種名 speciosaは、「美しい」「華やかな」の意味[5]

種の保全状況評価

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都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[8]

  • 埼玉県-絶滅危惧I類(CE)
  • 東京都-絶滅危惧IA類(CR)
  • 山梨県-絶滅危惧IA類(CR)
  • 長野県-絶滅危惧IA類(CR)
  • 静岡県-絶滅危惧IA類(CR)

ギャラリー

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基本種

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ヒメホテイラン

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ヒメホテイラン(姫布袋蘭、学名:Calypso bulbosa (L.) Oakes (1842) var. bulbosa[9]) - ホテイランの基本種で、唇弁の2又の距が、唇弁下部の舷部とほぼ同じ長さのもので、ホテイランのように舷部から2又の距が極端に突き出ない。日本では、青森県北海道に分布し、青森県のものはヒノキアスナロ林下に生育する。世界ではヨーロッパからシベリア、北アメリカまで広く分布する[5][6]

種の保全状況評価

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都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[10]

  • 北海道-絶滅危惧IB(En)
  • 青森県-最重要希少野生生物(Aランク)
  • 長野県-絶滅危惧IA類(CR)

ギャラリー

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ホテイラン属

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ホテイラン属(ホテイランぞく、学名:Calypso Salisb.、和名漢字表記:布袋蘭属)は、ラン科に属する。地生の多年草。偽球茎は肥厚し、球形から狭卵状になる。葉は偽球茎の上に1個のみつけ、卵形で明瞭な3脈があり、多肉で縦じわが多い。葉柄がある。花茎は頂生し、花を1個つける。3萼片、2側花弁は細長く、ほぼ同じ形で同じ長さ。唇弁は萼片、側花弁より長く、袋状にふくらんで、開口部の下部は舷部が広がり、開口部に房毛が生える。唇弁の背面は2裂のとがった距になる。蕊柱は萼片より短く、両端は翼状に広がり幅が広い。花粉塊は4個あり卵状。属に1種のみあり、ヨーロッパシベリア、日本、アリューシャン列島アラスカ北アメリカに広く分布する[6]

脚注

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  1. ^ ホテイラン「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ ホテイラン(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ ホテイラン(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.104
  5. ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.1082, p.1286, p.1320, p.1348
  6. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物1』p.188
  7. ^ a b 『日本ラン科植物図譜』p.265, p.374
  8. ^ ホテイラン、日本のレッドデータ検索システム、2023年10月14日閲覧
  9. ^ ヒメホテイラン「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  10. ^ ヒメホテイラン、日本のレッドデータ検索システム、2023年10月14日閲覧

参考文献

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外部リンク

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