ホモ
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ホモ(Homo)
- ヨーロッパの諸言語において「同じ、よく似た」という意味を付加するギリシャ語起源の接頭辞 "homo-"。対義語は「異なる、異種の」を付加する接頭辞の"hetero-"(ヘテロ)。
- ホモセクシュアル(Homosexual)の略語。本来同性愛者という意味だが、男性同性愛者を指して使われてきた[1]。元は差別的意味合いを含んだ言葉ではないが、男性同性愛者に対して差別的文脈で使われることも多かったので「ゲイ」と言い換えることがある[2][3]。「ホモ」という言葉自体が蔑称であるとする論者もいる[4]一方で、言葉狩りだとの批判もある[5]。対義語はヘテロセクシュアル(Heterosexual、ヘテロ、異性愛者)。
- 均質化(ホモゲナイズ、ホモジェナイズ)のこと。牛乳の脂肪分の分離を防ぐなどの目的で脂肪球を細かくする加工を指し、この処理を行った牛乳を「ホモ牛乳」と呼ぶ(「ホモソーセージ」などもある)。また、均質化を行っていないことを明示する意味でノンホモ(non-homogenized)も使われる。
- 遺伝学において、二倍体生物のある遺伝子座が「AA」「aa」のように同じ対立遺伝子からなる状態のこと。このような遺伝子型をホモ接合型といい、異なった対立遺伝子を持つ遺伝子型をヘテロ接合型という。人間のABO式血液型では、この表現型に関わる遺伝子にはA、B、Oの対立遺伝子がある。O対立遺伝子は劣性であるため、遺伝子型がOOのホモ接合型となった場合にO型の血液型になる。AB型はA対立遺伝子とB対立遺伝子を両方持つ時に現れる表現型なので、AB型の人はヘテロ接合型であると分かる。
- 数学、科学におけるホモ(homo-)は「同じ」「等価」の意を示す接頭語。数学用語では、ホモロジー・ホモトピー・homogeneous(斉次)・homomorphism(準同型)などがあるが、これらはどれも「ホモ」と略する使い方はない。
- 哺乳類霊長目ヒト科ヒト属の学名。ラテン語で「ヒト」を意味する。例えば原人の学名は「ホモ・エレクトス」であり「ホモ・サピエンス」といえば、現生人類、標準和名ではヒトのことである。
- フランス語で、ホモの変化形、(homme,オム)というと、「人」のほかに「男」の意味をもつ。なお、「女」は(femme,ファム)。
- 化学において、HOMOは最高被占軌道 (Highest Occupied Molecular Orbital) のこと。電子が存在している軌道のうち、最もエネルギーが高い軌道のことを指す。HOMOの対となる言葉として、LUMO (=Lowest Unoccupied Molecular Orbital) 、最低空軌道がある。→「フロンティア軌道理論」を参照
- トンボ鉛筆製作所(現:トンボ鉛筆)から発売されていた鉛筆「HOMO」。英語の homogeneous に由来し、均質化された粒子を芯に使用していることにちなむ。後の「MONO」シリーズの前身にあたる。
脚注
[編集]- ^ 『デジタル大辞泉』, 「ホモ(homo)」, 小学館(2017年12月1日閲覧)
- ^ 伏見憲明・及川健二・松沢呉一, 『「オカマ」は差別か 『週刊金曜日』の「差別表現」事件: 反差別論の再構築へ』, (ポット出版, 2002), p. 61 伏見は「自分は90年代に差別意識への注意喚起の目的で『ゲイ』への言い換えを行っていたが、言葉自体が悪いわけではなく問題は文脈にある。東郷氏やゲイ雑誌の書き手がホモ、オカマという言葉を肯定的に用いて言葉のネガティブなイメージを払拭しようとしているのももう一つのやり方だ」と述べている。
- ^ 自由民主党政務調査会・性的指向・性自認に関する特命委員会, 『性的指向・性同一性(性自認)に関するQ&A』, 2016年6月, p. 12 配慮すべき言葉または蔑称として、男性同性愛者に対する「ホモ、おかま、オネエ」を挙げ「ゲイ」への言い換えを推奨している。
- ^ 日本経済新聞夕刊, 『LGBT「いる」前提で 職場の言動、慎重・丁寧に』, 2016年2月15日付
- ^ 宋美玄, 『フジテレビ 同性愛蔑称謝罪は「言葉狩り」なのか』, ヨミドクター, 2017年10月5日