ボニー・S・グレイザー
ボニー・S・グレイザー(Bonnie S. Glaser)は、米国ジャーマン・マーシャル財団のインド太平洋プログラムのマネージング・ディレクター[1]。以前は、戦略国際問題研究所(CSIS)でアジア担当上級顧問とチャイナ・パワー・プロジェクトの創設ディレクターを務めた。シドニーのローウィー研究所の非常駐研究員、CSISパシフィック・フォーラムのシニア・アソシエート、米国政府の東アジアに関するコンサルタントでもある[2]。中国の対米外交・軍事政策[3]、中台関係[4][5]、中国と日本[6]、および韓国との関係[7]、ミサイル防衛に関する中国の視点[8]、アジアの多国間安全保障[9]など、中国の政策について幅広く執筆している。
学歴
[編集]ボストン大学で政治学の学士号を、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)で国際経済学と中国研究を専攻し修士号を取得[10]。
経歴
[編集]アメリカ国防総省と国務省を含むさまざまな米国政府機関のコンサルタントとしてキャリアをスタートさせた。1997年には国防総省の国防政策委員会中国パネルのメンバーを務めた[11]。
2003年に国際安全保障プログラムの上級アソシエイトとしてCSISに入社。2008年からはCSISのフリーマン中国研究講座の上級アドバイザーとして、中国の外交・安全保障政策に関わる問題に取り組んでいる[2]
また研究に加え、CSISのイベントで講演する専門家や政府関係者の主要な対話者としての役割を務めているている。2015年、南シナ海における中国の主張に関する常設仲裁裁判所の評決を受けて[12]、駐米中国大使の崔天凱とともに登壇し中国の見解を伝えた[13]。
チャイナ・パワー・プロジェクト
[編集]2016年、グレイザーはCSISの新たなイニシアチブ「チャイナ・パワー・プロジェクト」を立ち上げた。グレイザーが主導するこのイニシアチブは、「中国の軍事、経済、技術、社会、外交的台頭における重要な進展」をインタラクティブで視覚的に分かりやすい形で分析することで、中国の力と能力に対する一般市民の理解の空白を埋めようとするものである[14]。 ウェブサイトの作成について語ったガーディアン紙のインタビューで、次のように述べている。
世界的に中国への関心が爆発的に高まっているが、その理由のひとつは中国がもたらす課題とチャンスにある。公的な場では多くの誤った表現があり、話題の中心人物や大統領候補者たちでさえそれを広めている。不正確な情報が非常に多い[14]。
グレイザーのチャイナ・パワー・プロジェクト・マイクロサイトは、データと専門家による分析を用いて、こうした疑問をより明確にし、理解を深めることに焦点を当てている[15]。
2021年にCSISとチャイナ・パワー・プロジェクトを去った[16]。
グレイザーは米国民主党国際研究所の理事を務めている[17]。
著作
[編集]書籍
[編集]- US-Taiwan Relations, Brookings Institution Press, April 15, 2023 (co-authored with Ryan Hass and Richard C. Bush)[18]
論文
[編集]- Taiwan and the True Sources of Deterrence, Foreign Affairs, November 30, 2023 (co-authored with Jessica Chen Weiss and Thomas J. Christensen)[19]
- How to Mend the Rift Between Japan and South Korea, Foreign Affairs, May 17, 2022 (co-authored with Kristi Govella)[20]
- China's Power Grab in the South China Sea, Foreign Affairs, August 20, 2021 (co-authored with Gregory Poling)[21]
- How an Alliance System Withers, Foreign Affairs, September 9, 2019 (co-authored with Oriana Skylar Mastro)[22]
脚注・参考文献
[編集]- ^ “Bonnie S. Glaser | German Marshall Fund of the United States” (英語). www.gmfus.org (2023年7月26日). 2023年8月10日閲覧。
- ^ a b “Bonnie S. Glaser”. www.csis.org. 2024年1月25日閲覧。
- ^ Bonnie S. Glaser (July 7, 2015). “Another Sign that U.S.-China Relations are Souring”. The National Interest. 2024年1月25日閲覧。
- ^ Glaser, Bonnie S. (20 April 2016). Prospects for Cross-Strait Relations as Tsai Ing-wen Assumes the Presidency in Taiwan .
- ^ Bonnie S. Glaser (July 16, 2015). “Xi Jinping's Great Game: Are China and Taiwan Headed Towards Trouble?”. The National Interest. 2024年1月25日閲覧。
- ^ Glaser (May 4, 2015). “A Big Deal: China Changes Its Strategy Towards Japan”. The National Interest. 2024年1月25日閲覧。
- ^ “Reordering Chinese Priorities on the Korean Peninsula”. 2024年1月25日閲覧。
- ^ Glaser, Bonnie S. (December 1, 1999). “Chinese Missiles and Taiwan Theater Missile Defense: Can a New round in the Cross-Strait Arms Race Be Averted?”. American Foreign Policy Interests 21 (6): 20–31. doi:10.1080/10803920.1999.10392029.
- ^ “Geopolitical Consequences of China's Slowdown”. www.csis.org. 2024年1月25日閲覧。
- ^ “Bonnie S. Glaser | German Marshall Fund of the United States” (英語). www.gmfus.org (2023年7月26日). 2023年8月10日閲覧。
- ^ “Bonnie S. Glaser | German Marshall Fund of the United States” (英語). www.gmfus.org (2023年7月26日). 2023年8月10日閲覧。
- ^ “PCA Case No 2013-19 IN THE MATTER OF THE SOUTH CHINA SEA ARBITRATION”. 2024年1月25日閲覧。
- ^ “China's Response to the South China Sea Arbitration Ruling”. 2024年1月25日閲覧。
- ^ a b Smith, David (April 19, 2016). “Next US president faces fraying ties with China amid anxieties over country's rise”. The Guardian
- ^ “ChinaPower: Launch”. www.csis.org. 2024年1月25日閲覧。
- ^ “Bonnie S. Glaser | German Marshall Fund of the United States” (英語). www.gmfus.org (2023年7月26日). 2023年8月10日閲覧。
- ^ “Bonnie S. Glaser” (英語). www.ndi.org (2022年9月12日). May 20, 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月14日閲覧。
- ^ “U.S.-Taiwan Relations” (英語). Brookings. 2023年12月21日閲覧。
- ^ Glaser, Bonnie S.; Weiss, Jessica Chen; Christensen, Thomas J. (2023年11月30日). “Taiwan and the True Sources of Deterrence” (英語). Foreign Affairs. ISSN 0015-7120 2023年12月1日閲覧。
- ^ Govella, Kristi; Glaser, Bonnie (2022年5月17日). “How to Mend the Rift Between Japan and South Korea” (英語). Foreign Affairs. ISSN 0015-7120 2023年8月10日閲覧。
- ^ Glaser, Bonnie S.; Poling, Gregory (2021年8月20日). “China’s Power Grab in the South China Sea” (英語). Foreign Affairs. ISSN 0015-7120 2023年8月10日閲覧。
- ^ Glaser, Bonnie S.; Mastro, Oriana Skylar (2019年9月9日). “How an Alliance System Withers” (英語). Foreign Affairs. ISSN 0015-7120 2023年8月10日閲覧。