ポリ袋レシピ
ポリ袋レシピ(ポリぶくろレシピ)またはパウチクック、パッククッキングとは、日本のフードデザイン研究所[注 1]所長でもある料理家・川平秀一(かわひら ひでかず)が、業務用に用いられる真空調理法を一般家庭で実現すべく考案した調理法である。
後述のとおり業務用フィルム袋の代わりに一般的なポリ袋を用いて半真空状態にした具材を湯煎し真空調理法と同様の効果を得るもので、これにより、風味付け以外の食用油脂を使わない、調味料の量を半減させる、栄養素の流出を減らす、1つの鍋で複数を同時に調理できる、調理器具をあまり汚さない、といった利点があるという[1][2]。「揚げないヘルシーから揚げ」や「炒めないチャーハン」など品目も多く[3]、このうち「揚げないヘルシーから揚げ」を実際に試したExcite Bit コネタの記者に「見た目も味も紛れも無くから揚げ」と評される[4]など各種報道にも注目・評価された。
開発・出版の経緯
[編集]16歳から料理の道に進みフランスのル・コルドン・ブルーに学んで[5]白馬ロイヤルホテル[6]などの総料理長を歴任[4]した実績を持つ川平が、33歳のときバセドウ病を患い効率的な栄養摂取の必要が生じたことをきっかけに考案したという[2]。彼は少なくとも2012年までに約30年間研究を続け[2]、2002年には真空調理法に関する共著書[注 2]を著し、2005年に設立したフードデザイン研究所を拠点に料理教室などを通じてこの調理法を広めたが、2012年に著書「ポリ袋レシピ」(アース・スター エンターテイメント刊)の刊行前後から後述のように報道にも採り上げられ、注目された。同書はオリコンによれば2013年2月11日付集計で週間23000部を売り上げ同ランキング第5位を記録[7]、また出版から2013年3月までに計21万部を売り上げたという[8]。
調理手順
[編集]※以下は川平による大筋の手順[9][4][10]。目的の料理により素材の分量や調理時間は異なる。また、著書によれば加熱段階で電気炊飯器[注 3]や電気ポットを用いても良いとされる[2]。
- 料理の素材や調味料をポリ袋に入れる。このとき、ポリ塩化ビニル製の「ビニール袋」では熱に耐えられず溶けてしまうので、必ず高密度ポリエチレン製の(半透明の)「ポリ袋」を使う[3]。また、肉や魚などは調理前に湯で灰汁抜きをする。
- 空気を入れ袋の口をひねって振り、素材と調味料をよく混ぜる。
- 水を張ったボウルに袋を浸け、水圧で中の空気を抜く。
- 袋の口をねじり上げ、なるべく袋の口に近い部分で結ぶ。具材に近い位置で結ぶと水蒸気の膨張により袋が破裂する危険があるので注意する。
- 緩衝物となる皿などを鍋底に敷き、湯を一旦沸騰させた後で火を弱め、沸点(底から泡の出る状態)を維持する。
- 平らにならした具材をポリ袋のまま湯に入れ、目的の料理ごとに設定された時間湯煎する。
- 湯煎が完了すれば完成。
報道など
[編集]テレビ番組
[編集]- テレビ東京「たけしのニッポンのミカタ!」2012年3月9日[11]
- NHK総合テレビジョン「ゆうどきネットワーク」2012年12月5日[12]
- テレビ東京「L4 YOU!」2012年12月20日放送分[13]
- ABCテレビ「おはよう朝日です」2012年12月24日[14]
- TBSテレビ「はなまるマーケット」2012年12月25日[15]
- フジテレビ「情報プレゼンター とくダネ!」2013年1月28日[16]
ラジオ番組
[編集]- JFNC「デイリーフライヤー」2012年10月10日[17]
- JFNC「News Delivery -Evening Edition-」2012年10月24日[18]
- 文化放送「グッチ裕三 日曜うまいぞぉ!」2012年12月23日[19]
新聞
[編集]雑誌
[編集]インターネット
[編集]- 日経BP「日経トレンディネット」2012年10月23日[3]
- エキサイト「Excite Bit コネタ」2013年1月16日[4]
- ナリナリドットコム2013年2月6日[23]
- オリコン2013年2月7日[7]
書誌情報
[編集]参考文献
[編集]- 川平秀一、2012、『油を使わずヘルシー調理! ポリ袋レシピ』、アース・スター エンターテイメント ISBN 978-4-8030-0376-5[24]
関連書籍
[編集]- 川平秀一、2005、『シェフ川平のかんたん「真空調理」』、情報センター出版局 ISBN 978-4-7958-2923-7[25]
- 川平秀一、2013、『油を使わずヘルシー調理! ポリ袋レシピ2』、アース・スター エンターテイメント ISBN 978-4-8030-0451-9[26]
- 川平秀一、2013、『ポリ袋で作るおいしいレシピ』、二見書房 ISBN 978-4-5761-3049-1[27]
脚注
[編集]- ^ 川平 2012 「ポリ袋レシピ」メリットいろいろ pp.04-05
- ^ a b c d e “ポリ袋を使って簡単に真空調理 健康、時短…可能性大きく”. MSN産経ニュース (2012年10月28日). 2013年3月25日閲覧。
- ^ a b c “非常食でも注目“ポリ袋調理”、レシピ本が発売1カ月で増刷”. 日経BP. 2013年3月25日閲覧。
- ^ a b c d “話題の“ポリ袋を使ったレシピ本”を、実際に試してみる”. エキサイト. 2013年3月25日閲覧。
- ^ 川平 2012 奥付 p.160
- ^ “白馬ロイヤルホテル”. 白馬ロイヤルホテル. 2013年4月2日閲覧。(参考外部リンク)
- ^ a b “【オリコン】ポリ袋レシピが再浮上 初のトップ5入り”. オリコン (2013年2月7日). 2013年3月25日閲覧。
- ^ a b “食べるナビ:注目のヘルシー調理法教えて”. 毎日新聞社. 2013年3月25日閲覧。
- ^ 川平 2012 「ポリ袋レシピ」基本の手順 pp.02-03
- ^ ポリ袋レシピ - YouTube‐川平自身が回鍋肉を調理する様子を撮影したフードデザイン研究所公式動画。
- ^ “たけしのニッポンのミカタ!”. テレビ東京 (2012年3月9日). 2013年3月25日閲覧。
- ^ “明日からデキる!生活向上委員会「クリスマスをおいしく! ポリ袋調理法」”. NHK総合テレビジョン (2012年12月5日). 2013年3月25日閲覧。
- ^ “L4 YOU!”. テレビ東京. 2013年3月25日閲覧。
- ^ “おはよう朝日です”. ABCテレビ. 2013年3月25日閲覧。
- ^ “とくまる「はなまるマーケット」”. TBSテレビ. 2013年3月25日閲覧。
- ^ “情報プレゼンター とくダネ!”. フジテレビ. 2013年3月25日閲覧。
- ^ “DAILY FLYER 2012年10月”. JFNC. 2013-03-28f閲覧。
- ^ “News Delivery -Evening Edition-”. JFNC. 2013年3月25日閲覧。
- ^ “グッチ裕三 日曜うまいぞぉ!”. 文化放送. 2013年3月25日閲覧。
- ^ “低カロ料理がすぐできる!ポリ袋調理の3つのやせメリット”. 学研パブリッシング. 2013年3月25日閲覧。‐参考外部リンク
- ^ “女性セブン2013年2月21日号”. 小学館. 2013年3月25日閲覧。‐「今週の特集;「ポリ袋調理法」にトライ!」pp.40-43
- ^ “PHPくらしラク〜る2013年3月号”. PHP研究所. 2013年3月25日閲覧。
- ^ “「ポリ袋レシピ」書籍が再浮上、簡単&斬新な調理法の人気さらに。”. ナリナリドットコム. 2013年3月25日閲覧。
- ^ “油を使わずヘルシー調理! ポリ袋レシピ”. アース・スター エンターテイメント. 2012年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月25日閲覧。
- ^ “シェフ川平のかんたん「真空調理」”. 情報センター出版局. 2013年3月25日閲覧。
- ^ “油を使わずヘルシー調理! ポリ袋レシピ2”. アース・スター エンターテイメント. 2013年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月25日閲覧。
- ^ “ポリ袋で作るおいしいレシピ”. 二見書房. 2013年3月25日閲覧。
注釈
[編集]- ^ 真空調理法などについての業務指導や家庭用調理法の研究・指導、調理に関するソフト開発などを行う株式会社。(参考外部リンク;株式会社フードデザイン研究所)
- ^ 谷孝之、長田銑司、金谷節子、川平秀一(共著)、2002、『真空調理ってなに?』、柴田書店 ISBN 978-4-3883-5313-2
- ^ 2005年の「シェフ川平のかんたん『真空調理』」は主に炊飯器を用いる内容であり、本項で参考文献とした「ポリ袋レシピ」では電気ポットでも良いことが記されている。
- ^ フードデザイン研究所の発表によると、インターネット上で出典を得られない報道情報として他に小学館「ベビーブック」(雑誌)2006年12月号、小学館「食育お弁当とご飯」(ムック本 ISBN 9784091016423)、日経BP「日経おとなのOFF」(雑誌)2009年11月号、TBS「みのもんたの朝ズバッ!」(テレビ)2012年9月12日・2013年2月6日、祥伝社「からだにいいこと」(雑誌)2012年12月号、フジテレビ「ノンストップ!」(テレビ)2012年10月30日、読売新聞(新聞)2012年12月20日、学研パプリッシング「おはよう奥さん」(雑誌)2013年4月号などの放送・掲載歴が挙げられている。