コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

マウサー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マウサー(Mouser)
ジャンル 固定画面アクション
プラットフォーム
対応機種 アーケード[AC]
MSX
PlayStation 4[PS4]
Nintendo Switch[NSW]
開発元 AC
ユニバーサルプレイランド
MSX
ユニバーサルプレイランド
発売元 AC
日本の旗ユニバーサルプレイランド
アメリカ合衆国の旗COSMOS[1]
MSX
日本の旗ソニー
PS4,NSW
世界の旗ハムスター
デザイナー AC
西澤龍一[2]
音楽 AC
西澤龍一[2]
美術 AC
西澤龍一[2]
人数 1〜2人(交互プレイ)
メディア AC
業務用基板
MSX
カートリッジ(16KB[3]
PS4,NSW
ダウンロード
発売日 AC
日本の旗1983年2月
MSX
日本の旗1984年1月21日
PS4,NSW
世界の旗2024年3月14日
対象年齢 PS4,NSW
日本の旗IARC:3+[4][5]
アメリカ合衆国の旗ESRBE(6歳以上)[6][7]
欧州連合の旗PEGI3[8]
デバイス AC
レバー+1ボタン
MSX
ジョイスティックまたはキーボード
CPU AC
Z80 (@ 4 MHz)[9]
サウンド AC
Z80 (@ 4 MHz)[9]
AY-3-8910 (@ 2 MHz)×2[9]
テンプレートを表示

マウサー(Mouser)は、ユニバーサルプレイランド(後のユーピーエル)[注 1]1983年2月に発売した業務用ゲーム[12][13]。タイトル名の『マウサー』はネズミ取りが上手なネコという意味である[14][15]

ゲーム内容

[編集]

『マウサー』は固定画面、サイドビュー表示のジャンプアクションゲームである。操作には、レバー[注 2]とジャンプボタンを使用する[12][16][注 3]

このゲームは、主人公のオスネコの「ニャン太」が、ネズミたちの集団「忠助連合軍」にさらわれた花嫁のメスネコ「マリヤ[注 4]」を救出するというストーリー[12][14][15]

プレイヤーは主人公のニャン太を操作して、ステージごとに変化する赤ネズミたち[注 5]の様々な攻撃を避けながら青ネズミを捕らえ、マリヤが捕われているステージの最上階[注 6]まで辿り着くことが各ステージの目的となる[3][12][14]。ただし、最上階まで繋がるハシゴは青ネズミを一定数捕まえることで下の階に繋がり、登ることが可能になる[3][14]

ステージに設置された魚はボーナスキャラクターで、獲得したときの魚の色によって点数が変化する[15][17][注 7]

ネズミからの攻撃および、ステージ上に設置された青い扉から出現する犬のワン公[注 7]にニャン太が触れるとミスとなる[14][15][17]。また、ステージの高所からニャン太が転落してもミスとなり[17]、同じ場所に一定時間ニャン太が留まり続けていると飛行機が落下してミスとなる[14][17][注 7]

『マウサー』は全4ステージ構成で1周クリアすると1面パターンに戻るが[14][17][注 7]、2周目以降からは空中から飛んでニャン太を襲う「デビルマウス」が出現する[14][注 7]

本作のゲーム中のBGMは「Turkey in the Straw」が使われている[2][注 8]

移植作品

[編集]

MSX版(マウザー)

[編集]

1984年1月21日ソニーからMSX版が発売された[3]。MSX版のタイトルの日本語表記はアーケード版とは異なり、『マウ[3][20]』となっている。

開発はユニバーサルプレイランドであり、ソニーと業務提携した上でMSX版が供給された[20][21]

HiTBiTレーベル立ち上がり初期の作品であり、タイトル画面ではHiTBiTロゴが表示の大半を占め、本来のタイトル名はゲーム中のデフォルトフォントで表示されている。

PlayStation 4/Nintendo Switch版(アーケードアーカイブス)

[編集]

2024年3月14日ハムスターより『アーケードアーカイブス』の1作品として、PlayStation 4版とNintendo Switch版が配信を開始した[22][23][24]

アーケード版の移植であり[22][23][24]、当移植版の独自機能として周回数の表示の設定が可能となっている[25]

ステージ構成

[編集]

アーケード版

[編集]
1面
この面では、主に赤ネズミはボールを投げて攻撃してくる[15][17]。ボールはジャンプでは避けられないが、下をくぐることで避けることができる[15][17]。また、ステージに設置された階層を縦断するハシゴは、途中の階層からは登り降りすることができないようになっている[17]
2面
この面では、主に赤ネズミは爆弾やビック・ボックスを投げて攻撃してくる[15][17]
3面
この面では、主に赤ネズミは樽と植木鉢を投げて攻撃してくる[15][17]。また、ステージに設置されたボーナスキャラクターの魚を色が白くなっているときに獲得すると、赤ネズミの植木鉢攻撃が約10秒間停止する[14][15][17]
4面
この面では、主に赤ネズミはビック・ボックスを投げて攻撃してくる[15][17]。また、ステージには階段が設置されており、ジャンプのテクニックが試される構成となっている[17]

MSX版

[編集]
1面
この面では、ボールが飛び交って、上から水色ネズミが素早く植木鉢を落とす[3]
2面
この面では、スパナが飛び、転がる爆弾が落ちてくる[3]。ボールとスパナは足場に隙間が空いていてもその上を通過する。爆弾は足場に隙間があるとそこから落下する。
3面
この面の構成はボールと爆弾の組み合わせだが、上の段に上がるにはハシゴではなく階段状に配置された足場をタイミングよくジャンプせねばならず、その隙間に爆弾が転がり込んでくる。これらに当たったり、階段の2段以上の段差の高いところから落ちたり、制限時間が過ぎるとミスとなる。

開発経緯

[編集]

アーケード版『マウサー』の開発は、ユニバーサルプレイランド自身によるものである[2]

ウェブサイト『Hardcore Gaming 101』に掲載された2015年の西澤龍一[注 9]のインタビューによると、『マウサー』は任天堂の『ドンキーコング』のプログラムをベースに2人で開発されたもので、西澤龍一はメインプログラム以外の全ての役割(ゲームデザイン、グラフィック、サウンド)を担当したという[2][27][28][注 10]。また、テーカンを退社した西澤龍一がユニバーサルプレイランド入社後に初めて担当したタイトルがこの『マウサー』であると述べている[2][30]

『マウサー』開発当時、ユニバーサルプレイランドは開発部門を立ち上げたばかりで、技術スタッフは西澤龍一を含めて2人しかいなかった[2]。当時のユニバーサルプレイランドにはゲーム開発のノウハウがなく、会社からは『ドンキーコング』の単なるキャラ変えでいいと言われたこともあったという[2]。結果的には『ドンキーコング』のROMを解析しながらゲームの作り方を学び、試行錯誤を繰り返した結果、本作が完成したと西澤は述べている[2][27][28]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 1983年2月のアーケード版『マウサー』発売後の1983年11月に社名を「ユーピーエル」に変更[10][11]
  2. ^ 『マウサー』で使用するレバーの種類に関して、『ゲームマシン』紙の紹介記事では8方向レバー[12]と記載、Webサイト『Museum of the Game』および『アーケードアーカイブス』版のマニュアルには4方向レバー[16][17]と記載されている。
  3. ^ MSX版はジョイスティック、あるいはキーボードで操作する[18]
  4. ^ アーケード版の表記[12][14]。また、MSX版のパッケージ裏においてもアーケード版と同様に花嫁の名前を「マリヤ」としているが[18]、一方で『MSXマガジン』1984年1月号のMSX版『マウザー』紹介記事においては「ミーコ」という名前で紹介している[3]
  5. ^ MSX版では水色ネズミ[3]
  6. ^ アーケード版は7階[12][14]、MSX版は5階[3]
  7. ^ a b c d e アーケード版『マウサー』に関する特徴。
  8. ^ 本作の開発を担当した西澤龍一が最初に着手したのは、サウンドプログラムだったとインタビューで述べている[2][19]
  9. ^ 西澤龍一はゲーム開発会社「ウエストン」の創設者で、UPL開発の『忍者くん 魔城の冒険』やウエストン開発の『ワンダーボーイ』シリーズの開発者としても知られている[2][26]
  10. ^ 『マウサー』のキャラクターROM内のテキストデータには、BUCHA(西澤龍一)とMICHIの2人の名前が記録されている[29]。「BUCHA」は西澤の学生時代のあだ名であるとインタビューで述べている[2]

出典

[編集]
  1. ^ COSMOS (1983年). “Mouser - Flyer Fever(当時の北米版のチラシ)” (英語). Flyer Fever. 2021年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m Kurt Kalata, Ryuichi Nisizawa, Hanenashi Error (2015年11月17日). “Ryuichi Nishizawa (UPL – Interview)” (英語). Hardcore Gaming 101. 2021年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年3月13日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 「マウザー(面白ソフトが続々と登場してきたゾ! MSXソフトレビュー)」『MSXマガジン』1984年1月号、アスキー、1983年12月8日、64-65頁。 
  4. ^ "アーケードアーカイブス|株式会社ハムスター(『アーケードアーカイブス マウサー』 PlayStation 4版 公式サイト)". ハムスター. 2024年3月14日. 2024年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月14日閲覧
  5. ^ "アーケードアーカイブス|株式会社ハムスター(『アーケードアーカイブス マウサー』 Nintendo Switch版 公式サイト)". ハムスター. 2024年3月14日. 2024年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月14日閲覧
  6. ^ "Arcade Archives|HAMSTER Corporation(『Arcade Archives Mouser』 Playstation 4版 北米向け公式サイト)". ハムスター. 14 March 2024. 2024年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月30日閲覧
  7. ^ "Arcade Archives|HAMSTER Corporation(『Arcade Archives Mouser』 Nintendo Switch版 北米向け公式サイト)". ハムスター. 14 March 2024. 2024年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月30日閲覧
  8. ^ "Arcade Archives|HAMSTER Corporation(『Arcade Archives Mouser』 Playstation 4版 欧州向け公式サイト)". ハムスター. 14 March 2024. 2024年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月7日閲覧
  9. ^ a b c Mouser, Arcade Video game by UPL Co., Ltd. (1983)” (英語). Arcade History. 2018年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月15日閲覧。
  10. ^ 社名変更」『ゲームマシン』第209号(アミューズメント通信社)1983年12月15日、4面。オリジナルの2020年1月31日時点におけるアーカイブ。
  11. ^ UPLが倒産」『ゲームマシン』第424号(アミューズメント通信社)1992年3月15日、3面。オリジナルの2020年1月31日時点におけるアーカイブ。
  12. ^ a b c d e f g 五パターンの階層場面で 猫がネズミ捕り ユニプレからTV「マウサー」」『ゲームマシン』第209号(アミューズメント通信社)1983年4月1日、23面。オリジナルの2019年12月1日時点におけるアーカイブ。
  13. ^ "マウサー(メディア芸術データベース)". メディア芸術データベース. 国立アートリサーチセンター. 2024年3月10日閲覧
  14. ^ a b c d e f g h i j k 「マウサー(NEWゲーム紹介)」『AMUSEMENT LIFE』第4号、アミューズメントライフ、1983年4月10日、10-11頁。 
  15. ^ a b c d e f g h i j ユニバーサルプレイランド (1983年). “Mouser - Flyer Fever(当時の日本版のチラシ)” (英語). Flyer Fever. 2021年6月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月12日閲覧。
  16. ^ a b "Mouser - Videogame by UPL|Museum of the Game". Museum of the Game. WebMagic Ventures LLC. 2024年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月10日閲覧
  17. ^ a b c d e f g h i j k l m n ででお; みさいル小野 (2024年3月13日). 【タンクバタリアン / マウサー】俺たちのアケアカ【ファミ通】(Nintendo Switch版『アーケードアーカイブス マウサー』のマニュアル). ファミ通TUBE(KADOKAWA Game Linkage Inc.). 該当時間: 56:30〜1:04:21. 2024年3月15日閲覧
  18. ^ a b 『HOME COMPUTER GAME CARTRIDGE HBS-G007C MSX MOUSER(マウザー)』パッケージ裏面、ソニー(HiT BiTレーベル)
  19. ^ 西澤龍一 (2018年8月24日). “【第5回リレーブログクリエーター編】”ワンダーボーイ”西澤龍一様”. レトロPC・ゲーム専門店BEEP. 三月うさぎの森. 2018年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年3月16日閲覧。
  20. ^ a b 「ゲーム機のユニバーサル社、ソニーにMSXパソコン用ソフトを供給。」『日経産業新聞』1983年11月11日、1面。
  21. ^ Mouser (1983) - MobyGames”. MobyGames. Blue Flame Labs. 2024年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月30日閲覧。
  22. ^ a b "【アケアカ】『マウサー』が3月14日配信。あらゆる手段で妨害してくるネズミから花嫁を救うアクションゲーム". ファミ通.com. KADOKAWA Game Linkage Inc. 2024年3月13日. 2024年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月13日閲覧
  23. ^ a b 簗島 (2024年3月13日). "「アーケードアーカイブス マウサー」3月14日配信。オスネコのニャン太が,ネズミたちにさらわれたメスネコのマリヤを助け出すアクションゲーム". 4Gamer.net. Aetas. 2024年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月14日閲覧
  24. ^ a b 緑里孝行 (2024年3月13日). "「アーケードアーカイブス マウサー」3月14日に配信開始! ニャン太を操作してマリヤを助けるアクション". GAME Watch. インプレス. 2024年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月14日閲覧
  25. ^ ででお; みさいル小野 (2024年3月13日). 【タンクバタリアン / マウサー】俺たちのアケアカ【ファミ通】. ファミ通TUBE(KADOKAWA Game Linkage Inc.). 該当時間: 55:12〜55:34. 2024年3月13日閲覧
  26. ^ 西澤龍一、TAITAI、伊藤誠之介、実存 (2021年7月5日). "20歳の若さでヒットを飛ばし独立するも、社長業に追われゲーム作りから離れてしまい、「一緒にゲームを作ろう」と志を共にした親友とも決別。ゲーム会社の社長なのに10年近くゲーム制作から逃げていたが、海外ファンからの熱いラブコールに押され、齢57にしてUnityもバリバリ使いこなし現場の第一線に復帰した開発者の話". 電ファミニコゲーマー. マレ. 2021年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月15日閲覧
  27. ^ a b Ryuichi Nishizawa [@WonderBoyWild] (2024年3月16日). "2024年3月16日の投稿(UPLの第一作 1/2)". X(旧Twitter)より2024年3月16日閲覧
  28. ^ a b Ryuichi Nishizawa [@WonderBoyWild] (2024年3月16日). "2024年3月16日の投稿(UPLの第一作 2/2)". X(旧Twitter)より2024年3月16日閲覧
  29. ^ Mouser” (英語). The Cutting Room Floor. 2016年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月13日閲覧。
  30. ^ Ryuichi Nishizawa [@WonderBoyWild] (2024年3月16日). "2024年3月16日の投稿(『マウサー』は最初に)". X(旧Twitter)より2024年3月16日閲覧

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]