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マニラ・メトロレール3100形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マニラ・メトロレール3100形電車
3100形電車(2019年撮影)
基本情報
運用者 メトロ・レール・トランジット・コーポレーション(MRTC)
製造所 中国北車大連機車車輛
製造年 2015年 - 2017年
製造数 48両
運用開始 2018年10月25日
投入先 マニラ・メトロレールMRT-3線(MRT Line 3)
主要諸元
編成 3両編成
軸配置 Bo′+2′+2′+Bo′(3車体連接車
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750 V
架空電車線方式
最高運転速度 65 km/h
編成定員 1,050人
車両定員 272人(乗車密度5人/m2時)
車両重量 49.7 t[注釈 1]
編成長 93,820 mm
全長 31,720 mm
全幅 2,500 mm
全高 3,650 mm
床面高さ 925 mm
車体 ステンレス鋼
主電動機 TMR 36-28-4(477 V、186 A、80 Hz、4,401min-1、380 kg)
主電動機出力 120 kw
搭載数 4基
編成出力 480 kw
制御方式 VVVFインバータ制御IGBT素子)
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6]に基づく。
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3100形は、フィリピン首都マニラ通勤鉄道ライトレール)であるマニラ・メトロレールMRT-3線で使用されている電車。輸送力増強用に2015年から2017年にかけて製造が行われたが、多数の不備が発覚した事により大半の車両は営業運転に投入されないままの状態となっている[1][2][3][5][6][7]

概要

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2000年に開通したマニラ・メトロレールMRT-3線は、当初こそ乗客数が伸び悩んだものの、運賃引き下げなどの政策により増加の一途を辿り、2014年の利用者数は1日あたり約600,000人を記録し設計上の最大利用者数である1日あたり350,000人を大きく超えていた。既に2000年代後半から車両増備が検討されていたものの、政府との協議が難航した事で計画がまとまらず、開業時から在籍していた3000形電車73両は故障が頻発しても予備車が不足しているため営業運転に使用し続けなければならない事態となり、輸送力は限界に達していた。そこでフィリピン運輸通信省はこれらの状態を改善するため、2014年6月中国北車大連機車車輛(現:中国中車大連機車車輛)へ新型電車48両分の発注を行った。契約金額は5億4,000万人民元であった[8][9][10]

路線内に存在する急曲線に対応するため3車体連接構造を採用しており、最大3両編成での営業運転が行われるが、将来的な4両編成での運転にも対応している。最高気温が30℃を超える高温多湿なマニラの環境に合わせ、車体は耐腐食性に優れたステンレス鋼を用いる他、屋根上には1両につき3基のクーラーが搭載されている[9][8][11][6]

自動連結器や制御装置の製造はフォイトが手掛けており、各先頭車体床下に1基設置されている連続出力350 kVAのIGBT素子によるVVVFインバータ制御装置(I1100-9AU)によって、運転台下部にある動力台車に2基存在する主電動機が制御される。また中間車体の床下には補助電源装置が搭載されている。主電動機の製造はオーストリアのトラクションズシステム(Traktionssysteme Austria GmBH、TSA)が行っている[1][3]

運行

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2015年に最初の車両が製造され、製造メーカーである大連機車車輛の工場内で試運転が実施された後、同年9月フィリピンへ輸出された。その後、翌2016年から2017年にかけて残りの車両の導入が行われた。全48両の合計購入金額は38億ペソで、導入後はマニラMRT-3線の輸送力が最大67%増加し、列車の運転間隔も2.5分に短縮される予定であった[11][6][12]

だが、導入後に設計上の数値を3 t以上も上回る重量超過や、運行に必要な保安装置を搭載した車両が29両のみであった事、更に保守作業への適応性に問題があるなどの不備が多数発覚し、全車両が営業運転に投入されない事態に陥った。それに伴い2017年にフィリピン運輸省は車両の返却を含めた対応策の検討を表明するにまで至ったものの、車両不足を解消する必要性[注釈 2]から翌2018年以降営業運転開始に向けた試験が始まり、同年7月以降はフィリピン政府から要請を受けた東芝インフラシステムズの監督下で大連機車車輛による調整が実施された[12][14][4][15][16][17]

その結果、製造から2年以上が経過した2018年10月から営業運転への投入が開始され、以降は検査に合格した車両から順次定期運用に導入されている。2019年10月時点で使用されている車両は3両に過ぎなかったがこれはMRT3号線の更新工事の兼ね合いによるもので、全行程が完了する2021年7月までに全車両が営業運転に復帰する予定である[7][18][19][20][21]

脚注

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注釈

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  1. ^ 設計上の重量は46.4 t、フォイトの資料では53 t[1]
  2. ^ MRT-3線では2019年以降住友商事三菱重工による大規模な更新工事が計画されており、開業時に導入された3000形電車もその対象に入っていたため工事期間中は大幅な車両不足が予想されていた[13]

出典

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  1. ^ a b c d Electric traction system High-floor LRV Manila MRT3 Metro Rail Transit Corporation” (英語). Voith. 2019年12月1日閲覧。
  2. ^ a b 菲律宾马尼拉3号线车辆” (中国語). 中国中車大連機車車輛. 2019年12月1日閲覧。
  3. ^ a b c Voith LRV for Manila MRT3” (英語). Traktionssysteme Austria. 2019年12月1日閲覧。
  4. ^ a b MRT-3 line to deploy China-made Dalian train Tuesday”. ABS-CBN News (2019年10月25日). 2019年12月1日閲覧。
  5. ^ a b Ready to roll: Train by Chinese company Dalian deployed at MRT-3”. ABS-CBN News (2018年10月27日). 2019年12月1日閲覧。
  6. ^ a b c d Chinese engineers assemble new MRT prototype” (英語). CNN Philippines (2015年9月4日). 2019年12月1日閲覧。
  7. ^ a b Japanese contractor needs bigger pay if China-made Dalian trains used at MRT: DOTr”. ABS-CBN News (2019年10月3日). 2019年12月1日閲覧。
  8. ^ a b Keith Barrow (2014年6月16日). “CNR trains ordered for Manila Line MRT3”. International Railway Journal. 2019年12月1日閲覧。
  9. ^ a b 中国造3列轻轨车辆菲律宾投入运行”. 中国新聞網 (2016年5月10日). 2019年12月1日閲覧。
  10. ^ マニラ駐在員事務所『ワールドレポート:住友商事・三菱重工、マニラ首都圏の経済発展を支える庶民の足、MRT3号線』(レポート)国際協力銀行、2012年11月、3,6頁。オリジナルの2013年2月23日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20130223073303/https://www.jbic.go.jp/ja/report/reference/2012-066/jbic_RRJ_2012066.pdf2019年12月1日閲覧 
  11. ^ a b “赤道轻轨”亮相菲律宾“新闻联播””. 中国中車大連機車車輛 (2016年2月24日). 2017年7月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月1日閲覧。
  12. ^ a b 中国企業が納入したMRT車両、返還を検討”. NNA ASIA (2017年9月14日). 2019年12月1日閲覧。
  13. ^ 三菱重工エンジニアリング (2019年1月7日). “フィリピン マニラMRT 3号線リハビリ&メンテナンス案件受注について”. 三菱重工業. 2019年12月1日閲覧。
  14. ^ Fate of Chinese-made MRT trains to be decided before Aug. 20, says Tugade”. ABS-CBN News (2018年4月1日). 2019年12月1日閲覧。
  15. ^ 中坪央暁 (2017年6月14日). “マニラ首都圏鉄道で日本が信頼される理由”. 東洋経済. 2019年12月1日閲覧。
  16. ^ REICELENE JOY IGNACIO (2018年4月21日). “CRRC DALIAN confident MRT-3 trains will pass audit”. The Manila Times. 2019年12月1日閲覧。
  17. ^ MRT3号線に中国製車両を初めて投入へ”. まにら新聞 (2018年11月1日). 2019年12月1日閲覧。
  18. ^ China-made Dalian train added to MRT service”. ABS-CBN News (2018年10月27日). 2019年12月1日閲覧。
  19. ^ Mark Demayo (2019年1月23日). “LOOK: Third set of trains from China's Dalian deployed to MRT tracks”. ABS-CBN News. 2019年12月1日閲覧。
  20. ^ MRT tests third train from China's Dalian”. ABS-CBN News (2019年5月11日). 2019年12月1日閲覧。
  21. ^ Janine Peralta (2019年10月16日). “All Dalian trains for MRT-3 line to be fully operational by July 2021 – MRT”. CNN Philippines. 2020年7月16日閲覧。
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