マルセイユ・ルーレット
マルセイユ・ルーレット(英: Marseille roulette)またはマルセイユ・ターン(Marseille turn)は、サッカーのドリブル技術の一つである。ドリブルカットを狙うディフェンダーの前で足裏でボールを止め、そのボールを軸に体をターンしてかわすテクニックである[1]。
360度ターン[1]、グリンゴ(Gringo)[1]、ダブル・ドラッグバック、ジダン・ターン、マラドーナ・ターンなどとも呼ばれる。「マルセイユ」の名は、この技術がトレードマークとなっているジネディーヌ・ジダンの出身地に由来する。ジダンは単にルーレットと呼んだ[2]。 ジダンが得意としたことで知られるが[3]、フランスでは、1970年代にイヴ・マリオットによって世に広まった。またジダンよりも前に、ディエゴ・マラドーナ、ミカエル・ラウドルップらが既に実戦で使用していた[4]。日本ではマルセイユ・ルーレットとして有名だが、海外では「マラドーナ・ターン」などの名称も存在する[4]。
現在はリオネル・メッシ[4]やロベルト・フィルミーノなど[5]がこの技を使っている。
方法
[編集]- ボール保持者(ドリブラー)は守備者(ディフェンダー)に向かってドリブルしながら近づき、ディフェンダーが足を伸ばしても届かない距離で、つま先の足裏を使ってボールを止める[1]。間合いが近すぎる状況では、止めた隙にカットされることもあるので、足裏でボールを引き寄せるパターンもある[1]。
- 止めたボールを軸にして、ボールを追い抜くように体を180度反転し、ディフェンダーに背を向ける[1]。
- 最初にタッチした足とは逆足に持ち替え、足裏で進行方向へボールを引きながら、身体をさらに反転させる[1]。
- 360度回ったところで前方へボールを押し出し、ディフェンダーの横を抜き去る[1]。
一連の流れにおいてリズミカルなステップが鍵となり、スピードが上がれば突破力も向上する[1]。
効果
[編集]始めのボールを引く動作では、相手のタックルの範囲からボールを避難させることによってボールのコントロールを保持できる。体のスピンでは、相手に背を向けてボールを守ることができる[6]。
スピードにのった状態で行うと、ボールをカバーしながら突然方向が変化するため、守備をすることはほとんど不可能である[7]。
例として2003年のFAカップアーセナル対チェルシーFCの一戦でのティエリ・アンリの行ったルーレットである。この時、アンリは相手チームのゴールキーパーカルロ・クディチーニをこの技術で躱して無人のゴールにボールを入れた。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i 藤田俊哉監修 『個人技で魅せる!サッカー究極のテクニック』、メイツ出版、2013年、66 - 67頁、ISBN 9784780413298。
- ^ Doyle, Paul (8 March 2006). “Sprechen sie Fußball?”. Guardian Unlimited 2007年7月4日閲覧。
- ^ 大塚一樹『世界の戦術・理論がわかる!最新サッカー用語大事典』株式会社マイナビ、2014年、30ページ、ISBN 978-4-8399-5374-4
- ^ a b c “【いったい誰だ?】マルセイユルーレットが得意なサッカー選手を解説!”. spaia. (12 JULY 2007) 2020年4月27日閲覧。
- ^ “リバプールFWの“壮観マルセイユルーレット”に再脚光「魔法が恋しい」”. news.livedoor.com. (2020年5月6日) 2020年5月7日閲覧。
- ^ “The Global Game: Left Wing (Crossing soccer with life)‘Clases de baile’ : Zidane’s dance class takes final turn”. theglobalgame.com. (27 April 2006) 2007年7月4日閲覧。
- ^ “The 360 Spin”. Expert Football.com. (2004-2007). オリジナルの2007年7月3日時点におけるアーカイブ。 2007年7月4日閲覧。
外部リンク
[編集]- ジネディーヌ・ジダンのマルセイユ・ルーレット - UEFAチャンピオンズリーグ公式インスタグラム(2019年2月8日)