マンリオ・ロッケッティ
マンリオ・ロッケッティ Manlio Rocchetti | |||||||||||||
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生年月日 | 1943年11月28日 | ||||||||||||
没年月日 | 2017年1月9日(73歳没) | ||||||||||||
出生地 | イタリア王国 ラツィオ州ローマ | ||||||||||||
死没地 | アメリカ合衆国フロリダ州 | ||||||||||||
職業 | メイクアップアーティスト、特殊メイクアーティスト | ||||||||||||
ジャンル | 映画、TVドラマ | ||||||||||||
活動内容 | 特殊メイク、メイクアップ | ||||||||||||
著名な家族 |
ゴッフレード・ロッケッティ(父) ルイージ・ロッケッティ(弟) パオラ・ロッケッティ(娘) | ||||||||||||
主な作品 | |||||||||||||
メイクアップ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 『アンタッチャブル』 『ドライビング Miss デイジー』 『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』 『ギャング・オブ・ニューヨーク』 『シャッター アイランド』 | |||||||||||||
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マンリオ・ロッケッティ(Manlio Rocchetti, 1943年11月28日 –2017年1月9日)は、イタリア王国ラツィオ州ローマ出身のメイクアップアーティスト、特殊メイクアーティスト。
人物
[編集]イタリア映画のみならずハリウッドでも活躍し、『ドライビング Miss デイジー』(1989年)で、イタリア人として初めてアカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。同年には『ロンサム・ダブ(モンタナへの夢)』(1989)でプライムタイム・エミー賞も受賞した。その後はマーティン・スコセッシ監督作品のメイクアップを手がけたことで知られる。
父ゴッフレード・ロッケッティ、弟ルイージ・ロッケッティもメイクアップアーティストである。
娘のパオラ・ロッケッティはグラフィック・デザイナーとして、主にミュージックビデオの監督を手がけている[1]。
略歴
[編集]1943年、ローマ生まれ。父ゴッフレード・ロッケッティ(Goffredo Rocchetti)は、ロベルト・ロッセリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、ピエル・パオロ・パゾリーニの映画で活躍したメイクアップアーティストであった。実家はローマのRocchetti e Rocchettiというかつら専門店を経営しており、19世紀から舞台や映画で使用されるかつらを作り続けてきた。
17歳のときにラオール・ウォルシュ監督の『ペルシャ大王』(1960)で父のアシスタントとしてメイクアップを手伝う。その後もパゾリーニ監督の『テオレマ』(1968)などで父のアシスタントを担当する。
70年代になると父のアシスタントから独立し、1973年にはフロレスターノ・ヴァンチーニ監督、フランコ・ネロ主演の社会派サスペンス映画″Il delitto Matteotti″(1973)で、リーノ・カルボーニの監修のもとでメイクアップを担当。フランコ・ネロをジャコモ・マッテオッティに、マリオ・アドルフをベニート・ムッソリーニに似せるなど、出演者を実在の政治家に似せるメイクアップを手がけた。
以降はイタリアの低予算映画を中心に活躍する。フランチェスコ・バリッリ監督による奇妙な味のジャッロ″Il profumo della signora in nero″(1974)は特によく知られる。その他には、フアン・ボッシュ監督のスリラー″Le calde labbra del carnefice″(1974)、ウーゴ・リベラトーレ監督のホラー映画″Nero veneziano″(1978)、セルジオ・マルティーノ監督のSFファンタジー『ドクター・モリスの島/フィッシュマン』(1979)といった、カルト映画として知られる作品でもメイクアップを担当している。
ロッケッティにとって最初の重要な仕事は、イタリア放送協会製作のレナート・カステラーニ監督によるジュゼッペ・ヴェルディの伝記ドラマ″Verdi″(1982)だった[2]。同年にはエットレ・スコーラ監督の『ヴァレンヌの夜』(1982)でメイクアップを弟ルイージとともに担当。さらにルチオ・フルチ監督のスプラッター映画『ザ・リッパー』(1982)にも弟ルイージとともに参加し、マウリツィオ・トラーニ、フランコ・ディ・ジローラモ、ロザリオ・プレストピーノとともにメイクアップを手がけている。
1984年にはセルジオ・レオーネ監督の大作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)のメイクアップを担当。ロバート・デ・ニーロを老化させる特殊メイクは当初『エレファント・マン』(1980)のクリストファー・タッカーが予定されていたが、レオーネの判断によりイタリア人のニーロ・ヤコポーニとマンリオ・ロッケッティが手がけた[3]。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』での特殊メイクが高く評価され、以降は国際的に活躍の場を拡げる。『アンタッチャブル』(1987)でロバート・デ・ニーロをアル・カポネの外見に似せるメイクアップの顧問や、オランダのフォンス・ラデメーカーズ監督の『追想のかなた』(1986)など数々の名作でメイクアップを手がける。クレジットはされていないが『薔薇の名前』(1986)の特殊メイクにも参加[4]。また、『ラストエンペラー』(1987)の特殊メイクにも参加している[2][5]。
1988年にマーティン・スコセッシ監督の『最後の誘惑』(1988)でメイクアップを担当する。以降はスコセッシ監督作品の常連となり、『グッドフェローズ』(1990)、『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』(1993)、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)、『シャッター アイランド』(2010)などでメイクアップ及び特殊メイクを手がけた。
1989年には『ドライビング Miss デイジー』(1989)のメイクアップを担当。本作により1990年のアカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞する。また同時期には大ヒットしたTVドラマ『ロンサム・ダブ(モンタナへの夢)』(1989)のメイクアップによってプライムタイム・エミー賞のメイクアップ賞を受賞している。
晩年はアメリカに定住し、フロリダ州パームビーチ近くのテクエスタに住んでいたが、 2017年1月にマイアミで亡くなった[6]。享年73。
主な作品
[編集]- テオレマ Teorema(1968)
- Il delitto Matteotti(1973)
- Il profumo della signora in nero (1974)
- カタリーナ・ブルームの失われた名誉 Die verlorene Ehre der Katharina Blum oder: Wie Gewalt entstehen und wohin sie führen kann(1975)
- 小さな火の歴史 Ahdat Sanawovach El-Djamr(1975)
- Nero veneziano(1978)
- ドクター・モリスの島/フィッシュマン L'isola degli uomini pesce(1979)
- ザ・リッパー Lo squartatore di New York (1982)
- ヴァレンヌの夜 La nuit de Varennes(1982)
- Verdi(1982)
- ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ Once Upon a Time in America(1984)
- 炎のレジスタンス The Assisi Underground(1985)
- SFゾーン・トゥルーパーズ Zone Troopers(1985)
- ムッソリーニと私 Mussolini and I(1985)
- 薔薇の名前 The Name of the Rose(1986)- ハッソ・フォン・ヒューゴのアシスタント
- 追想のかなた De aanslag(1986)
- 激突!空中アトミック戦略/ヒーロー・ボンバー Choke Canyon(1986)
- ラストエンペラー The Last Emperor(1987)- ファブリツィオ・スフォルツァのアシスタント
- アンタッチャブル The Untouchable(1987)
- ホテル・コロニアル Hotel Colonial(1987)
- レンタ・コップ Rent-a-Cop(1987)
- マイ・ボディガード Man on Fire(1987)
- 最後の誘惑 The Last Temptation of Christ(1988)
- 幽霊伝説/フランケンシュタイン誕生秘話 Haunted Summer(1988)
- 宇宙異獣体トランザリアン Transformations(1988)
- ドライビング Miss デイジー Driving Miss Daisy(1989)
- アカデミー賞受賞
- ロンサム・ダブ(モンタナへの夢)Lonesome Dove(1989)
- エミー賞受賞
- バート・レイノルズ/ブレイキング・イン Breaking In(1989)
- B.L.ストライカー B.L. Stryker(1989)
- グッドフェローズ Goodfellas(1990)
- ランブリング・ローズ Rambling Rose(1991)
- 旅立ちの季節 Convicts(1991)
- サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方 The Prince of Tides(1991)
- Mayrig(1991)
- 588, rue Paradis (1991)
- 潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ Wrestling Ernest Hemingway(1993)
- エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事 The Age of Innocence(1993)
- ジェロニモ Geronimo: An American Legend(1993)
- ザ・ペーパー The Paper(1994)
- ロズウェル Roswell(1994)
- ヘンリエッタに降る星 The Stars Fell on Henrietta(1995)
- 天国の約束 Two Bits(1995)
- 審判 The Man Who Captured Eichmann(1996)
- ファミリー/再会のとき A Family Thing(1996)
- ディアボロス/悪魔の扉 The Devil's Advocate(1997)
- 大いなる遺産 Great Expectations(1998)
- クッキー・フォーチュン Cookie's Fortune(1999)
- 救命士 Bringing Out the Dead(1999)
- ノボケイン/局部麻酔の罠 Novocaine(2001)
- 黄金(きん)の谷のルーシー The Ballad of Lucy Whipple(2001)
- 愛と暗殺のタンゴ Assassination Tango(2002)
- ギャング・オブ・ニューヨーク Gangs of New York(2002)
- ジュリアス・シーザー Julius Caesar(2002)
- ウォルター少年と、夏の休日 Secondhand Lions(2003)
- ペナルティ・パパ Kicking & Screaming(2005)
- ブロークバック・マウンテン Brokeback Mountain(2005)
- オール・ザ・キングスメン All the King's Men(2006)
- トリスタンとイゾルデ Tristan + Isolde(2006)
- ラッキー・ユー Lucky You (2007)
- デス・スパイダー Visions(2009)
- シャッター アイランド Shutter Island(2010)
- ラスト・ターゲット The American(2010)
- バスターズ ACAB – All Cops Are Bastards(2012)
- PARKER/パーカー Par ker(2012)
脚注
[編集]- ^ “Meet Paola Rocchetti”. 2024年12月18日閲覧。
- ^ a b “Manlio Rocchetti un truccatore da Oscar”. 2024年12月18日閲覧。
- ^ ″Sergio Leone: Something to Do with Death″ : Frayling, Christopher. ISBN 978-0816646838
- ^ “Il nome della rosa: Rocchetti&Rocchetti”. 2024年12月18日閲覧。
- ^ “L'ultimo imperatore: Rocchetti&Rocchetti”. 2024年12月18日閲覧。
- ^ “Addio al Premio Oscar Manlio Rocchetti il truccatore delle star.”. 2024年12月11日閲覧。