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ミツバコンロンソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミツバコンロンソウ
東京都御岳山 2024年4月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : アオイ類 Malvids
: アブラナ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: タネツケバナ属 Cardamine
: ミツバコンロンソウ
C. anemonoides
学名
Cardamine anemonoides O.E.Schulz (1903)[1]
シノニム
  • Dentaria corymbose Matsum. (1899)[2]
  • Cardamine matsumurana Nemoto (1936)[3]
  • Cardamine anemonoides O.E.Schulz f. major Hiyama (1963)[4]
和名
ミツバコンロンソウ(三葉崑崙草)[5][6]

ミツバコンロンソウ(三葉崑崙草、学名: Cardamine anemonoides)は、アブラナ科タネツケバナ属多年草[5][6][7]

特徴

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根茎は短く横に這う。植物体の高さは5-25cmになり、は分枝せず1本立ちし、直立する。植物体全体がほとんど無毛である。根出葉は無い。茎につく葉柄があり、少数が互生する。下部につく葉は小さく退化し、上部の葉はふつう3出羽状複葉で、長さ1-6cm、小葉は卵状披針形または披針形、先端は鋭くとがり、基部は鋭形またはくさび形になる。葉の縁に不ぞろいの粗い鋸歯があり、ときに深く分裂するが、まれに茎上部の小葉は分裂せず単葉になることがある。葉の両面にわずかに毛が生える[5][6][7]

花期は4-5月。茎先に短い総状花序をつけ、白色の十字形の4弁花を1-7個つける。は大きく、花弁は長倒卵形から倒卵形で、基部が幅広く、長さ6-10mmになる。萼片は4個あり、長楕円状披針形で、長さ3-5mmになる。雄蕊は6個あり、うち4個が長く、雌蕊は1個ある。果実長角果で長さ3-4.5cm、径1-1.2mmの線形になり、毛は無い。長角果の先端の残存花柱は細くとがる。果柄は長さ20mmになり、直立するかやや斜上してつく。種子は長楕円形で長さ1-1.5mm、褐色で翼は無い[5][6][7]

分布と生育環境

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日本固有種[8]。本州の関東地方以西、四国、九州に分布し、山地の林下、林中に生育する[5][7][8]

名前の由来

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和名ミツバコンロンソウは、「三葉崑崙草」の意で[5][6]、3個の小葉がつくのでいう[6]

種小名(種形容語)anemonoides は、「Anemone 属(イチリンソウ属)に似た」の意味[9]

分類

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檜山庫三 (1963) は、本種の品種として、「ヒトツバコンロンソウ」と「オオミツバコンロンソウ」を記載した。「ヒトツバコンロンソウ」は、高知県横倉山産の牧野富太郎採集のもので、Otto Eugen Schulz (1903) が既に本種の変種C. anemonoides var. suavis としていたものを品種に階級移動させ、C. anemonoides O.E.Schulz f. suavis (O.E.Schulz) Hiyama (1963) とした[10][11]。これについて、米倉浩司 (2017) は、「上部の葉が単葉になるのをヒトツバコンロンソウ f. suavis (O.E.Schulz) Hiyama として分ける意見もあるが、個体変異に過ぎない」としている[7]。「オオミツバコンロンソウ」は群馬県妙義山産のもので、茎の高さが30cmになり、小葉の長さ10cm、幅3.5cmに達するもので、C. anemonoides O.E.Schulz f. major Hiyama (1963) [10][4]としたが、YList では、本種のシノニムとされている[4]

種の保全状況評価

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国(環境省)のレッドデータブックレッドリストでの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通りとなっている[12]。長野県-絶滅危惧IA類(CR)、岐阜県-絶滅危惧IA類、三重県-絶滅危惧IB類 (EN)、大阪府-絶滅危惧I類、奈良県-絶滅寸前種、和歌山県-絶滅危惧IB類 (EN)、広島県-情報不足(DD)、山口県-絶滅危惧IA類(CR)、徳島県-絶滅危惧IA類(CR)、高知県-絶滅危惧II類(VU)、宮崎県-準絶滅危惧(NT-r,g)、鹿児島県-絶滅危惧I類。

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ ミツバコンロンソウ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ ミツバコンロンソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ ミツバコンロンソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c ミツバコンロンソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.358
  6. ^ a b c d e f 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.823
  7. ^ a b c d e 米倉浩司 (2017)「アブラナ科タネツケバナ属」『改訂新版 日本の野生植物 4』p.58
  8. ^ a b 秋山忍 (2011)「アブラナ科」『日本の固有植物』pp.66-67
  9. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1483
  10. ^ a b 檜山庫三「牧野標本館雑記(10)」『植物研究雑誌 (The Journal of Japanese Botany)』第38巻第2号、植物研究雑誌、1963年、56-57頁、doi:10.51033/jjapbot.38_2_4896 
  11. ^ ヒトツバコンロンソウ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  12. ^ ミツバコンロンソウ、日本のレッドデータ検索システム、2024年7月03日閲覧

参考文献

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