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ミミエガイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミミエガイ
生息年代: 鮮新世現世
[1]
ミミエガイ(神戸市舞子浜打上げ)
ミミエガイ(神戸市舞子浜打上げ)
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 二枚貝綱 Bivalvia
亜綱 : 翼形亜綱 Pteriomorphia[2]
: フネガイ目 Arcida
: サンカクサルボウ科 Noetiidae
: ホンミミエガイ属 Striarca
: ミミエガイ[3]
学名
Striarca symmetrica (Reeve, 1844)[4]
シノニム

Arcopsis symmetrica[5]

和名
ミミエガイ(耳江貝)
英名
unknown
中名 对称拟蚶 (duì chēng nǐ hān)[6]

ミミエガイ (耳江貝、学名 Striarca symmetrica)はフネガイ目に属する小型の二枚貝の1種である。従来フネガイ科に分類されていたが[3][7]、靭帯の形態の違いによりサンカクサルボウ科Noetiidaeに分類されるようになった[8][4][注釈 1]

分布

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房総半島以南、インド-西太平洋[7]

形態

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殻長約1cm。殻頂はやや前寄りの中央近くにある。貝殻は厚くてよく膨らみ、後ろ側へ少し伸びて角張る。内外面とも放射肋があり、光沢は無い。鉸歯はフネガイ類の特徴として、多数の鉸歯が直線的に並ぶ多歯式[10][11]。直線的な鉸歯列の両端がやや角張って、台形に近い外観。鉸歯列と殻頂の間に靭帯面がある。サンカクサルボウ科の特徴として、靭帯は分岐せずに縦に垂直に配列する[8]。前後に閉殻筋痕があるが、外套線の湾入は無い。生貝には殻皮が生える。軟体部は、水管をもたず、足はあまり発達せず、足に足糸溝がある。鰓は糸鰓型[12]

生態

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潮間帯の岩礫の裏側に足糸で固着してくらす[13][14]。周期的に性転換し、冬季は大部分がメスだが、生殖をおこなう夏季にはオスが増える[15]

類似の種

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  • ニヨリミミエガイ Arcopsis symmetrica oyamai Habe: 内海に生息し、靭帯が大きいものをミミエガイと区別する場合の呼称[3]。ミミエガイの中には複数の種が含まれる可能性がある[14]
  • マルミミエガイ Didimacar tenebrica (Reeve): ミミエガイよりも大きく育ち、貝殻は褐色を帯びる。鉸歯列がなだらかに湾曲し、貝殻の形はやや長円形に近い。殻頂は前寄りにねじれ曲がり、鉸歯列との間はとても狭く、靭帯面はほとんど認められない。潮間帯以下に生息し、分布はミミエガイと同様に房総半島以南[13]
  • ヨコヤマミミエガイ Arcopsis interplicata Grabau et King: 殻頂が若干後方よりで、前後対称的。靭帯面が広い。マルミミエガイ同様に褐色を帯びて殻長は2cmとなる。房総半島以南、中国大陸にかけて分布[7]
  • Striarca centenaria (Say1824): 米国東岸に分布。バージニア州鮮新世の化石は3cmに達し、よく膨らんでいる。Barbatiaと間違えやすい[16]
  • Milky ark: 欧州に分布。貝殻は白色で、靭帯は黒くて片側が三角形、両弁合わさって菱形[17]

化石

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渥美半島更新世の地層からミミエガイ・ヨコヤマミミエガイ・マルミミエガイの化石が見つかっている[18]。また房総半島南端の完新世に隆起した地層からミミエガイが見つかっている[19]

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ サンカクサルボウ科Noetiidaeは、米国南東岸産のフクレサンカクサルボウNoetia ponderosaに由来する。[9]

出典

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  1. ^ Arcopsis”. Japan Paleobiology Database. 2024年11月23日閲覧。
  2. ^ 佐々木 2010, p. 25-27.
  3. ^ a b c 波部 & 小菅 1967, p. 122.
  4. ^ a b Striarca symmetrica”. WoRMS. 2024年11月23日閲覧。
  5. ^ Arcopsis symmetrica”. GBIF. 2024年11月23日閲覧。
  6. ^ 王海艶ら 2016, p. 85.
  7. ^ a b c 奥谷 & 松隈 2004, p. 281.
  8. ^ a b 佐々木 2010, p. 27.
  9. ^ Noetia”. WoRMS. 2024年11月24日閲覧。
  10. ^ 奥谷 & 松隈 2004, p. 19.
  11. ^ 佐々木 2010, p. 141-142.
  12. ^ Simone 2015, p. 15-20.
  13. ^ a b 奥谷 & 松隈 2004, p. 280-281.
  14. ^ a b 木村 2020.
  15. ^ 山口 & 冨山 2022.
  16. ^ Campbell 1993, p. 20, 177.
  17. ^ Striarca”. iNaturalist. 2024年11月24日閲覧。
  18. ^ 川瀬ら 2015, p. 105.
  19. ^ 沼層の化石【ミミエガイ】”. Paratodus@ameblo. 2024年11月24日閲覧。

参考文献

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  • 波部忠重・小菅貞男『標準原色図鑑全集3 貝』保育社、1967年。ISBN 4586320036NCID BN04374609https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I080824054-00 
  • Luiz Simone (2015). “Comparative Anatomy of Selected Marine Bivalves from the Florida Keys, with Notes on Brazilian Congeners (Mollusca: Bivalvia)”. Malacologia 58 (1-2): 1-127. doi:10.4002/040.058.0201. 
  • 王海艳; 张涛; 马培振; 蔡蕾; 张振 (2016). 中国北部湾潮間帯現生貝類図鑑. 科学出版社. ISBN 978-7-03-048557-1 
  • 山口龍太郎、冨山清升「鹿児島県桜島袴腰海岸におけるミミエガイ(二枚貝綱:フネガイ科)の性転換の調査」『Nature of Kagoshima』第48巻、鹿児島大学、2022年、249-256頁。 

外部リンク

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