ミヤコドリ
ミヤコドリ | |||||||||||||||||||||||||||
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ミヤコドリ Haematopus ostralegus
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Haematopus ostralegus (Linnaeus, 1758 | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ミヤコドリ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Eurasian Oystercatcher | |||||||||||||||||||||||||||
繁殖地 越冬地 周年生息地
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ミヤコドリ(都鳥、学名: Haematopus ostralegus)は、チドリ目ミヤコドリ科に分類される鳥類の一種。
和名
[編集]「都鳥」という名の初出は『万葉集』4462番歌「舟競ふ 堀江の川の 水際に 来居つつ鳴くは 都鳥かも」(大伴家持作との推定がある)である[2][3]。「都鳥」の名は、とくに『伊勢物語』の「東下り」の段に登場することでよく知られている。ただし現在は、『伊勢物語』の「都鳥」は、その叙述からカモメ科のユリカモメ Chroicocephalus ridibundus のこととするのが通説である[4][5][6]。
中世には、カモメの仲間(ユリカモメ)とチドリの仲間(本種)に対して「都鳥」の名が用いられていた[7]。室町時代の謡曲『隅田川』においては、都鳥は千鳥とも鴎ともいうと記される[8]。こうした名称の混用状態から、古典文学作品に登場する「都鳥」はどちらを指すのかという問題が生じた[9]。貝原益軒は『大和本草』において、西土(筑紫)で本種が「みやこどり」と呼ばれていることを紹介し、『伊勢物語』の「都鳥」も本種ではないかと記した[8][3]。
江戸時代、江戸で文化が発展すると、隅田川と結びついた「都鳥」に対する関心も高まり、文芸・絵画や音楽で題材とされた[10]。1815年、江戸の向島で植物園「百花園」を開設・運営していた本草家の北野
明治時代、飯島魁らによって鳥類の和名の統一が図られるが、飯島が参考にしたとみられる島津重豪編『鳥類便覧』は鞠塢の説を取り入れていたため、本種が「ミヤコドリ」とされた[11]。1944年、熊谷三郎は『都鳥新考』を著して「都鳥」を本種とする説に反駁し、古典文学作品に登場する「都鳥」はユリカモメであるとした[9]。
上述の通り、『伊勢物語』の「都鳥」はユリカモメとされるが、『万葉集』の「都鳥」については本種の可能性もある[13][3]。同時に詠まれた歌がホトトギスの初鳴き(5月中旬頃)を題材としており、ユリカモメの北帰の時期よりも遅いことなどが挙げられるが、決め手にも欠ける[13]。
なお、貝類にも「ミヤコドリ」の名を持つ種(Phenacolepas pulchella あるいは Cinnalepeta pulchella.「ミヤコドリガイ」とも)がある[13][14]。
形態
[編集]体長は45cmほどで、ハトより少し大きい。くちばしと足は長くて赤い。からだの上面は黒く、胸から腹、翼に白い部分がある。
分布
[編集]北欧、中央アジア、沿海州、カムチャツカ半島などで繁殖し、西欧、アフリカ西岸、中東、中国南部、日本にかけての海岸で越冬する。かつて日本では旅鳥または冬鳥として主に九州に渡来していたが、近年は東京湾でも定期的に観察されるようになった。また、アイルランドの国鳥になっている。
生態
[編集]海岸で小さな群れを作ってすごすことが多い。英名の ‘Oystercatcher’ は、カキなどの二枚貝を食べる習性に由来している。くちばしは上下に平たくて先が鋭く、わずかに口を開けた二枚貝に素早くくちばしを差し込み、貝柱を切断して殻を開け、中身を食べる。ほかにカニやゴカイなども食べる。
亜種
[編集]3亜種に分けられる[15]。
- H. o. ostralegus - アイスランド、スカンディナヴィア半島からヨーロッパ南部。冬季はアフリカ。
- H. o. longipes - ロシア・シベリアからカスピ海、アラル海。
- H. o. osculans - カムチャツカ半島、北朝鮮。冬季は中国東部。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ BirdLife International (2019). “Haematopus ostralegus”. IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T22693613A154998347. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T22693613A154998347.en 11 November 2021閲覧。.
- ^ 熊谷三郎 1944, p. 3.
- ^ a b c 吉海直人. “「都鳥」幻想”. 同志社女子大学. 2024年7月20日閲覧。
- ^ “ミヤコドリ”. 日本の鳥百科. サントリー. 2024年7月20日閲覧。
- ^ “ユリカモメ”. 日本野鳥の会京都支部. 2024年7月20日閲覧。
- ^ a b c 磯野直秀『日本博物誌総合年表』平凡社、2012年、463頁。
- ^ 熊谷三郎 1944, pp. 99–100.
- ^ a b 熊谷三郎 1944, p. 100.
- ^ a b “都鳥”. 2024年7月20日閲覧。
- ^ 熊谷三郎 1944, pp. 90–91.
- ^ a b c “ミヤコドリ”. 徒然野鳥記. 2024年7月20日閲覧。
- ^ 熊谷三郎 1944, pp. 105–106.
- ^ a b c “都鳥(みやこどり)”. 万葉の生きものたち. バイオウェザーサービス. 2024年7月20日閲覧。
- ^ “ミヤコドリ”. 愛媛県レッドデータブック. 愛媛県. 2024年7月20日閲覧。
- ^ Clements, James F. (2007). The Clements Checklist of Birds of the World (6th ed.). Ithaca, New York: Cornell University Press. p. 89. ISBN 978-0-8014-4501-9
参考文献
[編集]- 北野鞠塢『都鳥考』1815年。
- 古典籍総合データベース(早稲田大学図書館)
- 熊谷三郎『都鳥新考』亜細亜書房、1944年。
- 国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館)
- 次世代デジタルライブラリー(国立国会図書館)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ミヤコドリ レッドデータブックやまぐち 鳥類 - 下関市竹の子島は日本での数少ない越冬地