出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「ミラボー橋」(ミラボーはし、フランス語: Le pont Mirabeau)は、イタリア生まれのポーランド人でフランスで詩人として活躍したギヨーム・アポリネールの広く知られた詩である。1912年2月に文芸誌『レ・スワレ・ドゥ・パリ』(Les Soirées de Paris)に掲載され、1913年には彼の詩集『アルコール類』(Alcools)に入れられた。
この詩はパリのミラボー橋の下のセーヌ川の流れを比喩的に表現して、時間の経過に伴う愛の喪失を扱っている。画家マリー・ローランサンとの恋とその終焉を綴ったといわれている。
パリのミラボー橋(北緯48度50分47秒 東経2度16分35秒 / 北緯48.84639度 東経2.27639度 / 48.84639; 2.27639座標: 北緯48度50分47秒 東経2度16分35秒 / 北緯48.84639度 東経2.27639度 / 48.84639; 2.27639)にはこの詩の最初の6行を書いた銘板が取り付けられている。
日本では「ミラボー橋の下をセーヌ河が流れ」で始まる翻訳が堀口大學によるものなどいくつかあり、ポール・ヴェルレーヌの詩「秋の歌」(上田敏訳)、フランス民謡「月の光に」の詩などと共に、広く親しまれている。
また、この詩にレオ・フェレが作曲した歌、ルイ・ベシェール(Louis Bessières)が作曲した歌などがある[1]。
ギヨーム・アポリネールの原詩 |
日本語直訳(GFDL)
|
Le pont Mirabeau
Sous le pont Mirabeau coule la Seine
Et nos amours
Faut-il qu'il m'en souvienne
La joie venait toujours après la peine
Vienne la nuit sonne l'heure
Les jours s'en vont je demeure
Les mains dans les mains restons face à face
Tandis que sous
Le pont de nos bras passe
Des éternels regards l'onde si lasse
Vienne la nuit sonne l'heure
Les jours s'en vont je demeure
L'amour s'en va comme cette eau courante
L'amour s'en va
Comme la vie est lente
Et comme l'Espérance est violente
Vienne la nuit sonne l'heure
Les jours s'en vont je demeure
Passent les jours et passent les semaines
Ni temps passé
Ni les amours reviennent
Sous le pont Mirabeau coule la Seine
Vienne la nuit sonne l'heure
Les jours s'en vont je demeure
|
ミラボー橋
ミラボー橋下をセーヌが流れる
そして我らの愛も
私も思い出すべきだろうか
痛みの後にいつも楽しみが来ることを
夜が来て、時の鐘が鳴る
日々は去るが、私は残る
手と手は近くにあるのに
橋の
下を我らの腕は
ゆっくり流れる水のよう
夜が来て、時の鐘が鳴る
日々は去るが、私は残る
愛は去りゆく、この流れる水のように
愛は去りゆく
命はゆっくりしているように
希望は激しいように
夜が来て、時の鐘が鳴る
日々は去るが、私は残る
日々も過ぎ、週も過ぎるが
時は過ぎず
様々な恋は帰ってこない
ミラボー橋下をセーヌが流れる
夜が来て、時の鐘が鳴る
日々は去るが、私は残る
|