ミリ波帯近接場顕微鏡
表示
ミリ波近接場顕微鏡(ミリはきんせつばけんびきょう、Scanning Near Field Millimeter-Wave Microscopy)とはミリ波により画像を得る顕微鏡。
概要
[編集]ミリ波は可視光と比較してはるかに波長(5mm程度)が長いため、そのままでは分解能を高める事ができない。そこで走査型近接場光顕微鏡の概念をミリ波の帯域にまで拡張する事によって分解能を高める。
ミリ波の照射位置をスリット型の金属導波管で局所的に絞って密着した試料の微小領域に照射して、回転ステージ上の試料を回転して機械的に走査することでミリ波ビームを走査する[1]。探針のスリット幅はλ/60であるが長さが波長程度なので、一般的な走査型プローブ顕微鏡で行われるx-y走査では、空間分解能が上がらないので取得された角度別の信号をコンピュータ断層撮影と同じ手法で再構成して画像化する。スリット開口幅と同程度の83μmの空間分解能が報告されている[1]。
用途
[編集]- 材料分析
- 生物観察
- 非破壊検査
- 誘電体基板や半導体基板の特性評価
- 半導体中の自由キャリア分布
脚注
[編集]- ^ a b ミリ波帯近接場顕微鏡
参考文献
[編集]- 花戸立夫, 裴鐘石, 水野皓司, 「ミリ波帯近接場顕微鏡」『レーザー研究』 26巻 7号 1998年 p.546-550, doi:10.2184/lsj.26.546
- 莅戸立夫, 裴鐘石, 水野皓司, 「ミリ波帯近接場顕微鏡による光励起キャリアの画像化」『電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌)』 119巻 10号 1999年 p.1100-1104, doi:10.1541/ieejeiss1987.119.10_1100
- 浜野哲子, 縫村修次, 渡辺文夫 et al. 「スリット型プローブを有するミリ波帯近接場顕微鏡システムを用いた定量測定」『電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波』 100.364 (2000): 1-6.
- Nozokido, Tatsuo, et al. "Improvement in Image Reconstruction of Scanning Near-Field Millimeter-Wave Microscopy Using a Metal Slit-Type Probe." Japanese Journal of Applied Physics 40.6A (2001): 4252-4253.
- Nozokido, Tatsuo, Jongsuck Bae, and Koji Mizuno. "Scanning near-field millimeter-wave microscopy using a metal slit as a scanning probe." IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques 49.3 (2001): 491-499.
- 裴鐘石, 我妻壽彦, 在戸立夫, 水野皓司, 「ミリ波・サブミリ波帯の計測・回路技術」『計測と制御』 41巻 4号 2002年 p.275-280, doi:10.11499/sicejl1962.41.275
- 飯渕良平, 莅戸立夫, 水野皓司 et al. 「ミリ波帯近接場顕微鏡による物体異方性の画像化」『電子情報通信学会技術研究報告』 103.370 (2003): 25-30.