ムラサキヘイシソウ
ムラサキヘイシソウ | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
蕾が上がっている株
| ||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||
Sarracenia purpurea L. | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ムラサキヘイシソウ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
common pitcher plant, dumbwatches, frog's bichers, flytrap, huntsman's-cup, Indian cup, sideaddle flower, southern picher plant, sweet pitcher plant[1] |
ムラサキヘイシソウ Sarracenia purpurea L. は、サラセニアの1種で、この属ではもっとも広範囲に分布する。太短い壺状の捕虫葉をつける。
特徴
[編集]多年生の草本で、袋状の葉をつけ、虫がその中に落ちる落とし穴式の食虫植物[2]。葉は円筒形で、まっすぐには立ち上がらず、斜め上に伸び、長さは30cmほどで径は5-10cmになる。葉色は緑に紫色が乗り、また網目状に紫の筋模様が入る。日当たりが悪いと紫が出にくい[3]。筒状部は太い袋状で、腹側(内側)に幅広い翼がある。筒状部の先端にある蓋は、大きいが直立しており、口を覆うようにはならない。蓋の形は腎臓型、長さは2-5cm[3]。
花茎は高さ15-70cm、花弁は長さ3-6cm、幅は1.5-2.5cm、萼は長さ2-4cm、幅1.5-3.5cm[3]。花弁は中央が左右からくぼんだバイオリン型をしており、色は桃色から淡紅色、暗赤色などだが、まれに黄色のものがある。
-
図版
-
袋の口と蓋
-
自生状態の開花株
名称
[編集]和名は上記の通りだが、園芸面などで学名仮名読みのサラセニア・プルプレアも広く用いられる。ちなみに英名はやたらに多く、上掲のようなものがあげられている。ちなみに pitcher plant はヘイシソウ属一般の英名である。
分布
[編集]北アメリカの東岸全域、五大湖周辺から北はカナダに跨る分布域を持ち、これはこの属の分布域としては最大である[4]。
下位分類
[編集]本種はこの属のタイプ種であり、また分布も広く、変異も大きい。大まかには北方のものは小型で緑が強く、南方のものは大型で赤みが強いと言われる[1]。 以下の2亜種に分けられる場合がある[4]。
- S. purpurea
- ssp. purpurea:北方系の亜種で、分布域はニュージャージー州以北。葉が硬く、全体に光沢があり、蓋の部分が葉全体の1/3以下。
- ssp. venosa:ニュージャージー州以南に分布。葉が柔らかでふっくらした形で、蓋の縁は波打つ。また、外面に毛が多い。
これらには葉色が紫にならないものなどの変種も知られている。
利用
[編集]観葉植物として栽培される。特に本種はこの属の中では北方まで分布するもので、耐寒性が強い。日本には明治時代中頃に渡来した[5]。広く流通しているのは上記の亜種で言えば ssp. purpurea の方、つまり北方系の系統である[6]。
出典
[編集]- ^ a b 園芸植物園芸植物大事典(1994),p.1080
- ^ 以下の記載は園芸植物園芸植物大事典(1994),p.1081
- ^ a b c 近藤・近藤(2006)p.102
- ^ a b 田辺(2010),p.112
- ^ 本田他(1984)p.94
- ^ 土居(2014)p.22
参考文献
[編集]- 『園芸植物大事典 1』(1994)、小学館
- 本田正次他監修『原色園芸植物大圖鑑』(1984)、北隆館
- 近藤勝彦・近藤誠宏『カラー版 食虫植物図鑑』(2006)、家の光協会
- 田辺直樹『食虫植物の世界 魅力の全てと栽培完全ガイド』(2010)、(株)エムピージェー
- 土居貫文『ネペンテスとその仲間たち 食虫植物ハンドブック』(2014)、双葉社