ムールベケのグイレルムス
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ムールベケのグイレルムス[1](羅: Guillelmus de Morbeka, 英: William of Moerbeke, 1215年/1236年 - 1286年[1])は、中世ヨーロッパの翻訳家。古代ギリシア語の学術書をラテン語に翻訳した。トマス・アクィナスの友人[2]。
メールベケのウィリアム[3]、メルベカのギヨーム[2]、ムールベーケのギヨーム[4]などとも表記される。
生涯
[編集]ムールベケ(現ベルギー、フランドル地方の村)出身。ドミニコ会に所属[2]。ラテン帝国期のギリシアでギリシア語を習得。1274年第2リヨン公会議出席[2]。1278年コリント大司教就任[2]。コリントで逝去[1]。
訳書
[編集]アリストテレス『政治学』[1]『気象論』[4]『霊魂論』[5]『詩学』[5]のほか、アルキメデス[4]、アンモニオス[2]、シンプリキウス[2]、ヒポクラテス[2]、プロクロス[3][2]などをラテン語に訳した。
アリストテレスの翻訳は、同じドミニコ会士の友人トマス・アクィナスからの依頼で行った[1]。その訳書はトマスのアリストテレス知識の主要な情報源となり[1]、13世紀末以降の定訳となった[4]。
訳文はボエティウス以来の伝統である逐語訳を用いている[1]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g 柴田平三郎「人間(homo)・社会(societas)・国家(civitas) : トマス政治思想の基礎構造」『獨協法学』第59号、獨協大学法学会、2002年。 NAID 120006029542 。p.46ff.
- ^ a b c d e f g h i 『ギヨーム[メルベカ]』 - コトバンク
- ^ a b 堀江聡; 西村洋平 著「プロクロス」、水地宗明; 山口義久; 堀江聡 編『新プラトン主義を学ぶ人のために』世界思想社〈学ぶ人のために〉、2014年。ISBN 9784790716242。p.213
- ^ a b c d スコット・L・モンゴメリ 著、大久保友博 訳『翻訳のダイナミズム 時代と文化を貫く知の運動』白水社、2016年(原著2002年)。ISBN 9784560095102。p.253;256f.
- ^ a b リチャード・E.ルーベンスタイン 著、小沢千重子 訳『中世の覚醒 アリストテレス再発見から知の革命へ』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2018年(原著2003年)、53f頁。ISBN 9784480098849。