メスガキ
メスガキ(中国語: 雌小鬼)は、「性的な挑発を行う生意気なガキ」として特徴づけられる、女性キャラクターの類型[1]。
歴史
[編集]「メスガキ」という表現は、1970年代中頃には罵り言葉として出版物で用いられていた。以下に用例を示す。
- 『別冊少年ジャンプ』1974年8月号に掲載された永井豪の漫画『ハレンチ学園』の新作エピソードには、「なんと あきれはてた くさりはてた メスガキどもよなー」[2]という山岸八十八のセリフがある。
- 『宝石』1975年3月号に掲載された内田良平の随筆には、「TVスタジオでの歌謡大会などを見ても、男の子は、ひと声も上げないのに、メスガキどもは、小学校二、三年生くらいのヤツまでが、 〔中略〕 目を引き攣らせて叫ぶ始末ではないか。」[3]という下りがある。
- 『週刊少年キング増刊KINGオリジナル』1977年5月29日号に掲載された古城武司の野球漫画『エースは魔子』には、相手チームの選手が主人公の女性投手を「メスガキめ」[4]と罵るセリフがある。
- 西村寿行が1978年に発表した小説『怒りの白き都』には、女性たちに監禁・折檻された男性たちが「あの牝ガキども」[5]と陰口を叩く下りがある。
2018年8月30日、コナミアミューズメントのアーケードゲーム『ボンバーガール』が稼働したが、インサイドはこのゲームに登場する「グリムアロエ」というキャラクター[注釈 1]が、現在の意味でいうメスガキのパイオニア的な存在であったと評している[7]。
2020年代に入り、メスガキはブームとなり[7]、漫画のタイトルやバーチャルYouTuberの紹介などで目にする表現となっている[8][9]。
特徴
[編集]メスガキは生意気な言動などで特徴づけられており、メスガキに分類されるキャラクターは「ざーこ」などの罵倒語をしばしば用いる[10]。また、高圧的に振舞いつつも相手を淫らに誘惑したりもする[11]。メスガキに仕置きをする行為は「理解らせ」(わからせ)と呼ばれる[11][12]。一方、メスガキの方が一貫して優位に立ち、相手の方がメスガキによって理解らせられるパターンもある[13]。メスガキが誘惑する対象は男性に限らず、女性の場合もある[14]。
サブジャンルに母性を組み合わせた「メスガキママ」がある[15]。
必ずしも未成年のキャラクターにだけ使用される表現とは限らず、成人のAV女優が出演するコンテンツでも使用されることがある[16][17]。
反応
[編集]『東津萌米 穂姫』を制作した台湾のイラストレーターである@ichigoは、好きなキャラクターの属性の一つにメスガキを挙げている[18]。
2023年8月、月ノ美兎が投稿したメスガキを題材にした動画の影響で、「メスガキさんぽ」がX上でトレンド入りした[19]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 初登場は同社のアーケードゲーム『クイズマジックアカデミー MAXIVCORD』(14作目)であり[6]、ボンバーガールのオリジナルキャラクターではなくその1年ほど前から存在している
出典
[編集]- ^ “女の子に罵倒され弄ばれる禁断のラブコメが読切掲載!”. KADOKAWA (2021年8月26日). 2023年10月7日閲覧。
- ^ (初出)永井豪「〈オールカラー新作〉ハレンチ学園」『別冊少年ジャンプ』第5巻第8号、1974年8月1日、92頁、NDLJP:1855128/48。
(書籍収録)永井豪「カラーパンティーぼくめつ作戦の巻」『50周年記念愛蔵版 ハレンチ学園』 6巻、小学館、2018年9月4日、236頁。ISBN 978-4-09-860029-8。 - ^ 内田良平「良平おんな《十二支》ノート① 《子》歳生まれの女」『宝石』第3巻第3号、光文社、1975年3月1日、269-270頁、NDLJP:1730756/136。
- ^ 古城武司「エースは魔子」『週刊少年キング増刊KINGオリジナル』第15巻第25号、少年画報社、1977年5月29日、136-137頁、NDLJP:1847493/69。
- ^ 西村寿行『怒りの白き都』徳間書店、1978年11月10日、257, 260頁。NDLJP:12544993/132。
- ^ クイズマジックアカデミー【公式】 [@QMA_staff] (2017年8月18日). "新グリム『グリム・アロエマラリヤ』の詳細ビジュアルを初公開". X(旧Twitter)より2024年8月29日閲覧。
- ^ a b “これがエースの貫禄か…!?『ボンバーガール』最恐の小悪魔・グリムアロエが限界ギリギリのベリーダンス衣装を魅せる”. イード (2022年12月31日). 2023年10月7日閲覧。
- ^ “女の子に罵られたい、ざこのお兄さんにうってつけ「メスガキのいる喫茶店」1巻”. ナタリー (2022年4月8日). 2023年10月7日閲覧。
- ^ “Re:AcT、メスガキ(!?)VTuber・月紫アリアのデビューを発表 本日24日20時より初配信”. パノラプロ (2021年4月24日). 2023年10月7日閲覧。
- ^ “このメスガキめぇ…!『アズレン』クーちゃんの「バレンタインイラスト」が挑発的過ぎる”. イード (2022年2月15日). 2023年10月7日閲覧。
- ^ a b “メスガキ”. ComicFesta. 2023年10月7日閲覧。
- ^ 『【新連載のお知らせ】「友達(メスガキ)が私を理解(わか)らせにくるので勝利の女神(メスガキ)の力を借りてこっちも理解(わか)らせにいきます。」ストーリアダッシュにて連載スタート!』(プレスリリース)竹書房、2022年12月23日 。2023年10月7日閲覧。
- ^ 居待暦『別冊コミックアンリアル メスガキわからせられ敗北射』キルタイムコミュニケーション、2021年12月24日。ISBN 978-4799215876。
- ^ FCT『メスガキvs優しいお姉さん』キルタイムコミュニケーション〈二次元ドリームコミックス〉、2021年2月26日。ISBN 978-4799214602。
- ^ “『アズールレーン』メスガキママというジャンルを生み出したバッチが堂々のフィギュア化!キュートな困った顔も付属!艤装などが付属しない「TF edition」も!”. 電撃ホビーマガジン (2021年9月10日). 2023年10月7日閲覧。
- ^ 「3月2日はミニの日!!!!!身長150CM以下!!!次世代ミニマムAV女優」『週刊プレイボーイ 2023年3月13日号』第11巻、集英社、2023年2月27日、148-151頁。
- ^ 「甘サドプレイブーム爆発‼小悪魔痴女AV女優2023 頂上決戦10人 人気上昇中の甘サド女子3人インタビュー」『週刊実話 2023年6月15日号』第22巻、日本ジャーナル出版、2023年5月31日、21-26頁。
- ^ “漫博2023|《高捷少女》、《東津萌米》繪師初夏與@ichigo簽名會,分享繪畫經驗”. 4Gamers (2023年7月30日). 2023年10月7日閲覧。
- ^ “バーチャル界の委員長・月ノ美兎さんが動画を投稿し「メスガキさんぽ」がTwitter(X)のトレンド入りする珍事”. ガジェット通信 (2023年8月18日). 2023年10月7日閲覧。