メンフィス・テネシー (チャック・ベリーの曲)
「メンフィス・テネシー」 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
チャック・ベリーの楽曲 | |||||||||||
英語名 | Memphis, Tennessee | ||||||||||
リリース | 1959年6月 | ||||||||||
A面 | バック・イン・ザ・U.S.A. | ||||||||||
録音 | 1958年[1] | ||||||||||
ジャンル | ロックンロール[2] | ||||||||||
時間 | 2分12秒 | ||||||||||
レーベル | チェス・レコード | ||||||||||
作詞者 | チャック・ベリー | ||||||||||
作曲者 | チャック・ベリー | ||||||||||
チャート順位 | |||||||||||
後述を参照
| |||||||||||
|
「メンフィス・テネシー[注釈 1]」(Memphis, Tennessee)は、チャック・ベリーの楽曲である。1959年6月にシングル盤『バック・イン・ザ・U.S.A.』のB面曲として発売された。発売から4年後の1963年に全英シングルチャートで最高位6位を記録。同時にデッカ・レコードは、イギリスでデイヴ・ベリー&クルーザーズによるカバー・バージョンを発売し、全英シングルチャートで最高位19位を獲得。1964年に発売されたジョニー・リヴァーズによるカバー・バージョンは、Billboard Hot 100で最高位2位を記録した。
曲の構成・リリース
[編集]歌詞は、主人公が電話交換手に、「メンフィスから娘のマリーが電話をしてくれたはずだから、そこにつないでほしい」と懇願するという内容になっている[4][5]。後に本作をカバーしているイアン・ギランは「なんという美しい歌詞なのだろう。本当にチャック・ベリーの歌詞は素晴らしいよ」と語っている[6]。また本作の歌詞は、1974年に公開された映画『都会のアリス』のモチーフとなった[4]。
「メンフィス・テネシー」は、1959年6月にチェス・レコードからシングル盤『バック・イン・ザ・U.S.A.』のB面曲として発売された[7]が、本作がチャートインすることはなかった[3]。1963年9月にイギリスでパイ・レコードから「レット・イット・ロック」との両A面シングル[8]として発売され[9]、全英シングルチャートで最高位6位を記録[10]。『Ultimate Classic Rock』は、2017年に「Top 10 Chuck Berry Songs」と題したリストの9位に本作を入れ、「ロック史上初の素晴らしい物語調の曲の1つで、ひねりが加えられている」と評している[2]。
「メンフィス・テネシー」は、1959年に公開された映画『ゴー・ジョニー・ゴー』のサウンドトラックとして使用された[3]。
カバー・バージョン
[編集]ビートルズによるカバー
[編集]「メンフィス、テネシー」 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』 | |||||||||
英語名 | Memphis, Tennessee | |||||||||
リリース | 1994年11月30日 | |||||||||
ジャンル | ロックンロール | |||||||||
時間 | 2分13秒 | |||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞者 | チャック・ベリー | |||||||||
作曲者 | チャック・ベリー | |||||||||
プロデュース | テリー・ヘネベリー[11] | |||||||||
|
ビートルズは、その前身バンドであるクオリーメンの頃から1963年まで「メンフィス・テネシー」をレパートリーの1つとしていた[12]。ポール・マッカートニーは、1959年にメンラヴ通りにあるジョン・レノンの自宅の寝室で「メンフィス・テネシー」を知り、「史上最高のリフ」で形成された曲として認識していた[13]。
1962年1月1日、ラッセル・スクウェア・スタジオで行なわれたデッカ・レコードのオーディションの一環で、マイク・スミスのプロデュースのもとで「メンフィス・テネシー」を演奏[14]。ビートルズは5度にわたってBBCラジオの番組用に本作のカバー・バージョンを録音しており[14]、1962年3月7日に『Teenager's Turn: Here We Go』(1962年3月8日放送)用[15]、1963年6月1日に『Pop Go the Beatles』(1963年6月18日放送)用[16]、6月24日に『Saturday Club』(6月29日放送)用[17]、7月10日に『Pop Go the Beatles』(7月30日放送)用[11]、9月7日に『Saturday Club』(10月5日放送)用に[18]録音した。このうち、7月10日に録音された演奏が、1994年に発売された『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』に収録された[19]。
クレジット
[編集]以下、デッカ・レコードのオーディション時の編成[12]
1963年にBBCラジオ用に録音されたテイクでは、1962年8月に解雇された[20][21]ベストの後任であるリンゴ・スターがドラムを演奏している[22]。
その他の主なカバー
[編集]1963年、デッカ・レコードからデイヴ・ベリー&クルーザーズによるカバー・バージョンが発売され[23]、全英シングルチャートで最高位19位を記録[24]。同年にはフラタニティ・レコードからロニー・マックによるカバー・バージョンも発売された。マックは本作をインストゥルメンタルとしてカバーしていて、タイトルを「メンフィス」(Memphis)と短縮した[3]。マックによるカバー・バージョンは、『ビルボード』誌のBillboard Hot 100で最高位5位[25]、同誌のR&Bチャートで最高位4位を記録[26]。
1964年、インペリアル・レコードからジョニー・リヴァースによるカバー・バージョンが発売された。マックによるカバー・バージョンと同じくタイトルは「メンフィス」となっているが、歌詞はチャック・ベリーによる原曲と同じものになっている[27][3]。リヴァースによるカバー・バージョンは、Billboard Hot 100で最高位2位を記録[28]。
1981年、スコッティ・ブラザーズ・レコードからフレッド・ノブロックによるカバー・バージョンが発売された[29]。ノブロックによるカバー・バージョンは、『ビルボード』誌のカントリー・チャートで最高位10位[30]、アダルト・コンテンポラリー・チャートで最高位28位[31]を記録。
チャート成績
[編集]チャック・ベリー版
[編集]チャート (1963年) | 最高位 |
---|---|
アイルランド (IRMA)[32] | 3
|
UK シングルス (OCC)[10] | 6 |
デイヴ・ベリー&クルーザーズ版
[編集]チャート (1963年) | 最高位 |
---|---|
アイルランド (IRMA)[32] | 9
|
UK シングルス (OCC)[24] | 19 |
ロニー・マック版
[編集]ジョニー・リヴァース版
[編集]フレッド・ノブロック版
[編集]チャート (1981年) | 最高位 |
---|---|
Canada Country Tracks (RPM)[44] | 12
|
US Bubbling Under Hot 100 Singles (Billboard)[45] | 102
|
US Hot Country Songs (Billboard)[30] | 10
|
US Adult Contemporary (Billboard)[31] | 28
|
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ Larkin, Colin, ed (2007). The Encyclopedia of Popular Music. London: Omnibus Press. p. 2580. ISBN 0-8571-2595-8
- ^ a b Ultimate Classic Rock Staff (2017年3月19日). “Top 10 Chuck Berry Songs”. Ultimate Classic Rock. Townsquare Media. 2022年3月14日閲覧。
- ^ a b c d e Leszczak 2013, p. 142.
- ^ a b 『映画で蘇るオールディーズ&プログラム・コレクション』音楽出版社、2008年、75頁。ISBN 4-8617-1040-5 。
- ^ Cheseborough, Steve (2018). Blues Traveling: The Holy Sites of Delta Blues (4th ed.). Mississippi: University Press of Mississippi. p. 40. ISBN 1-4968-1300-6
- ^ 川嶋未来(インタビュアー:川嶋未来)「【インタビュー】イアン・ギラン「プロにならなかったことで、本物の音楽が飛び出してきた」」『BARKS』、ジャパンミュージックネットワーク、2018年8月29日 。2022年3月14日閲覧。
- ^ Osborne, Jerry; Hamilton, Bruce (1980). Presleyana Price Guide. O'Sullivan Woodside. p. 162. ISBN 0-8901-9073-9
- ^ Feeney 2009, p. 110.
- ^ Pegg 2013, p. 163.
- ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2022年3月14日閲覧。
- ^ a b Winn 2008, p. 55.
- ^ a b Womack 2014, p. 640.
- ^ Doggett & Humphries, p. 237.
- ^ a b Womack 2014, p. 639.
- ^ Winn 2008, p. 8.
- ^ Winn 2008, p. 47.
- ^ Winn 2008, p. 51.
- ^ Winn 2008, p. 74.
- ^ Winn 2008, pp. 55–56.
- ^ Miles 1997, p. 57.
- ^ Spitz 2005, p. 330.
- ^ Leigh, Spencer (2015). Best of the Beatles: The Sacking of Pete Best. Carmarthen: McNidder and Grace. p. 118. ISBN 0-8571-6102-4
- ^ Larkin, Colin, ed (2007) [1992]. The Encyclopedia of Popular Music. London: Omnibus Press. p. 2584. ISBN 0-8571-2595-8
- ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2022年3月19日閲覧。
- ^ a b “The Hot 100”. Billboard. 2022年3月17日閲覧。
- ^ a b “Lonnie Mack - Awards”. AllMusic. All Media Network. 2012年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月17日閲覧。
- ^ Gilliland, John (1969). "Show 21 - Forty Miles of Bad Road: Some of the best from rock 'n' roll's dark ages. [Part 2]" (audio). Pop Chronicles. University of North Texas Libraries. 2022年3月19日閲覧。
- ^ a b “The Hot 100”. Billboard. 2022年3月19日閲覧。
- ^ “Fred Knoblock - Memphis - dutchcharts.nl” (in Dutch). Single Top 100. 2022年3月19日閲覧。
- ^ a b “Hot Contry Singles”. Billboard (Nielsen Business Media) 93 (43): 72. (31 October, 1981). ISSN 0006-2510.
- ^ a b “Adult Contemporary Top 50”. Billboard (Nielsen Business Media) 93 (43): 39. (31 October, 1981). ISSN 0006-2510.
- ^ a b “The Irish Charts - Search Results - Memphis”. Irish Singles Chart. 2022年3月14日閲覧。
- ^ a b “flavour of new zealand - search lever”. Flavourofnz.co.nz. 2022年3月19日閲覧。
- ^ “Cash Box Top 100 7/20/63”. Tropicalglen.com. 2022年3月19日閲覧。
- ^ “Top Records of 1963”. Billboard, Section II: 30. (December 28, 1963) .
- ^ “Cash Box Year-End Charts: Top 100 Pop Singles, December 28, 1963”. tropicalglen.com. 2014年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月20日閲覧。
- ^ "Ultratop.be – Johnny Rivers – Memphis Tennessee" (in Dutch). Ultratop 50. 2022年3月20日閲覧。
- ^ “Top RPM Singles: Issue 7577”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年3月20日閲覧。
- ^ “Cash Box Top 100 7/11/64”. Tropicalglen.com. 2022年3月19日閲覧。
- ^ “Offizielle Deutsche Charts - Johnny Rivers - Memphis Tennessee”. GfK Entertainment. 2022年3月20日閲覧。
- ^ “Sixties City - Pop Music Charts - Every Week Of The Sixties”. Sixtiescity.net. 2022年3月20日閲覧。
- ^ “Top Records of 1964”. Billboard: 6. (January 2, 1965) .
- ^ “Cash Box Year-End Charts: Top 100 Pop Singles, December 26, 1964”. tropicalglen.com. 2015年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月20日閲覧。
- ^ “Top RPM Singles: Issue 410”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年3月20日閲覧。
- ^ “Bubbling Under Hot 100”. Billboard (Nielsen Business Media) 93 (39): 72. (3 October, 1981). ISSN 0006-2510.
参考文献
[編集]- Doggett, Peter; Humphries, Patrick (2010). The Beatles: The Music and the Myth. Omnibus Press. ISBN 0-8571-2361-0
- Feeney, Paul (2009). A 1950s Childhood: From Tin Baths to Bread and Dripping. Cheltenham, Gloucestershire: History Press. ISBN 0-7524-5011-5
- Leszczak, Bob (2013). Who Did It First?: Great Rhythm and Blues Cover Songs and Their Original Artists. London: Scarecrow Press. ISBN 0-8108-8867-X
- Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now. New York: Henry Holt and Company. ISBN 0-8050-5249-6
- Pegg, Bruce (2013) [2002]. Brown Eyed Handsome Man: The Life and Hard Times of Chuck Berry. Oxfordshire: Taylor & Francis. ISBN 1-1353-5684-X
- Spitz, Bob (2005). The Beatles: The Biography. Boston: Little, Brown. ISBN 0-3168-0352-9
- Winn, John C. (2008) [2003]. Way Beyond Compare: The Beatles' Recorded Legacy, Volume One, 1957-1965. New York: Crown. ISBN 0-3074-5238-7
- Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, CA: ABC-CLIO. ISBN 978-0-313-39171-2
外部リンク
[編集]- Memphis, Tennessee - The Beatles
- Memphis, Tennessee - Geniusの歌詞ページ