ヤツシロガイ
ヤツシロガイ | |||||||||||||||||||||
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湖西市新居町に打上がった貝殻
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Tonna luteostoma (Küster, 1857)[1] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ヤツシロガイ(八代貝 別名: ヤシロガイ、ウズラガイ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Gold-mouthed tun 中名 黄口鶉螺(huáng kǒu chún luó) |
ヤツシロガイ(八代貝、学名Tonna luteostoma)は、ヤツシロガイ科(Tonnidae)[2]に属する種で、日本の太平洋側の砂浜で比較的普通に見られる大型の巻貝である。
外観
[編集]貝殻は高さ約10cmに達し、螺層が膨らみ球形に近く、殻口は広い。螺塔はウズラガイに比べて低く、多数の太い螺肋をめぐらす。殻は薄く、内面にも螺肋に沿って畝が並ぶ。色は白地に褐色斑を並べたものや、褐色と白の縦縞を縦に密にめぐらせた個体などがある。成貝では蓋は消失する[3]。左右一対の触角のつけねに小さい眼を持ち、その上に水管を前方へ突き出す。口吻(proboscis)が発達してとても大きい。雌雄の別があって、オスのペニスは頭部の右後方にあって、長くて大きい[4]。
生態
[編集]水深約4~200mの細かい砂底に棲み、よくひろがる足ではってナマコなど他の生物を捕らえて丸呑みにし、酸で溶かす。11月から2月に扇形の平たい透明な卵嚢を産む。ベリジャー幼生は比較的長期間浮遊する[5][3][6]。
分布
[編集]化石
[編集]約40万年前の渥美半島の更新世の地層から化石が見つかっている[7]。本種の近縁で大西洋にすむオオミヤシロガイの7百万年前の中新世の化石が中央アメリカから見つかっており、パナマ地峡が閉じる以前からヤツシロガイ属は東太平洋にかけて分布していた[8]。
人との関係
[編集]江戸時代に鶉貝(うずらがい)と呼ばれ、貝殻の内面に漆を塗って花瓶にしたり[9]貝細工に用いられたりした。「ウズラガイ」のほか「ヤマドリガイ」、「ヤシロガイ」など地方によってさまざまな名で呼ばれてきた[10][5]。足は食用になる[11]。
出典
[編集]- ^ Marshall and Bruce (2020年). “Tonna luteostoma”. WoRMS. 2022年7月13日閲覧。
- ^ 佐々木猛智 (2010). 貝類学 (17) タマキビ型新生腹足目. 東京大学出版会
- ^ a b c 『世界文化生物大図鑑 貝類 奥谷喬司 p.121』世界文化社、2004年。
- ^ “Overview of the Tonnidae Mollusca Gastropoda in Chinese waters”. Chris Vos. 2022年7月23日閲覧。
- ^ a b 波部忠重・小菅貞男 (1967). 標準原色図鑑全集 3 貝 Plate 25. 保育社
- ^ Chrisa K. Doxa, Aspasia Sterioti, Maroudio Kentouri and Pascal Divanach (2011). “Encapsulated development of the marine gastropod Tonna galea (Linnaeus, 1758) in captivity”. Journal of Biological Research-Thessaloniki 16: 304-307.
- ^ “中部更新統渥美層群の軟体動物化石 G86”. 瑞浪市化石博物館 鵜飼修司・川瀬基弘ら. 2022年7月15日閲覧。
- ^ “Tonna galea”. fossilworks. 2022年7月23日閲覧。
- ^ 松岡玄達・甲賀敬元『怡顔齋介品 下 十五 鶉貝』皇都書林、1758年 。
- ^ 金丸但馬「貝類和名に就いての私見」『貝類学雑誌ヴヰナス Venus』第2巻、1930年、30頁。
- ^ “ヤツシロガイ”. 藤原昌高 ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑. 2022年7月23日閲覧。
外部リンク
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