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ヤニ・フリストウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヤニ・フリストウ (英語:Jani Christou; ギリシャ語: Γιάννης Χρήστου, Giánnēs Chrḗstou 1926年1月8日 – 1970年1月8日 ) は、ギリシャの作曲家

略歴

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エジプト生まれ, ギリシャで育つ。ジナ・バッカウアーにピアノを習い、キングス・カレッジ (ケンブリッジ大学)ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインバートランド・ラッセルに学び、1948年、哲学学位取得。チューリッヒではカール・グスタフ・ユングによる講義を受ける。同時期に Hans F. Redlichから作曲を学び ローマで管弦楽法をアンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニニョに師事、ヤニス・クセナキスロゴティティス (Anestis Logothetis) と並ぶ、著名なギリシャの現代作曲家となる。

最初期はT・S・エリオットの詩に抒情的な音楽をつけていた時期もあったものの、著名な業績は、オーケストラの団員が立ち上がって「114!!」を叫び団員がパニックになるEnantiodromia、ピアニストが弦楽器奏者と戦うPraxis for 12、Anaparastasisではバリトン[1]が怪鳥音を絶叫したのち打楽器がこれを煽る、など政治色の強い後期の作品である。作品も図形譜を駆使し、演奏家へ視覚的なイメージを生で伝えているため、実際の演奏は演奏家の自発性が喚起されたものへなることが多い。使われているイディオムはポーランドの1960年代の現代音楽と共通することが多い。後年の作品ほど騒音的かつ暴力的なシーンを容赦なく投入し、強い表現力を獲得している。

1970年には「そろそろ舞台作品のオレステイアを母国で上演したい」と多忙な日々を送り始めた直後、高速道路で交通事故に遭い死亡。わずか44歳であった。ジャチント・シェルシが唯一評価した作曲家として知られており、その死後に献呈作が書かれている。

21世紀に入りEdition RZからCDが復刻されると大きく再評価されることになり、現在ではフリストウ作品の再演も珍しくない。日本では、「零の会」において高久暁が初めて研究発表を行っている。

主要作品

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  • オーケストラの為のPhoenix Music – 1949
  • 交響曲第1番 – 1949–50
  • Latin Liturgy – 1953
  • Six T・S・エリオット (for ピアノ又は オーケストラとメゾソプラノ) – 1955 (ピアノ) 1957 (オーケストラ)
  • 交響曲第2番 – 1957–58
  • ピアノとオーケストラの為のトッカータ – 1962
  • Tongues of Fire (a Pentecost oratorio) – 1964
  • Persians (Incidental music for Aeschylus' drama) – 1965
  • アガメムノーン – 1965
  • Enantiodromia – 1965–68
  • The Frogs – 1966
  • オーケストラ、テープ、コーラス、独奏者の為のミステリオン 1965–66
  • 11 弦楽器とピアニストの為のプラクシス(1966年作)
  • アナパラスタシスⅠ《バリトン》(1968年作)
  • アナパラスタシス III 《ピアニスト》(1968年作)
  • オイディプス王– 1969
  • オレステイア (未完成) – 1967–70

参考文献

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  • Angermann, Klaus (ed.). 1994. Jani Christou, im Dunkeln singen: Symposion Jani Christou, Hamburg, 1993. Symposionsberichte des Musikfestes Hamburg. Hofheim: Wolke, 1994. ISBN 3923997582.
  • Leotsakos, George. 2001. "Christou, Jani". The New Grove Dictionary of Music and Musicians, second edition, edited by Stanley Sadie and John Tyrrell. London: Macmillan Publishers.
  • Lucciano, Anna-Martine. 1987. Γιάννης Χρήστου – Έργο και Προσωπικότητα ενός Έλληνα Συνθέτη της Εποχής μας, translated into Greek and edited by Giorgos Leotsakos. Athens: Bibliosynergatike.
  • Lucciano, Anna-Martine. 2000. Jani Christou: The Works and Temperament of a Greek Composer, translated into English by Catherine Dale. Contemporary Music Studies 18. Australia and Amsterdam: Harwood Academic. New York and London: Rutledge. ISBN 9057021587.
  • Slonimsky, Nicolas. 1965. "New Music in Greece". Musical Quarterly 51:225–35.

外部リンク

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脚注

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  1. ^ 初演者はスピロス・サッカス