ヤブロのパラドックス
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ヤブロのパラドックス(英: Yablo's paradox)は、1985 年にスティーヴン・ヤブロによって発表された論理的パラドックスである[1][2]。嘘つきのパラドックスに似ているが、単一の文を使用する嘘つきのパラドックスとは異なり、このパラドックスは文の無限のリストを使用し、それぞれがリストのさらに下にある文を参照する。文のリストを分析すると、そのメンバーに真理値を割り当てる一貫した方法がないことがわかる。リストにあるものはすべて後の文のみを参照しているため、ヤブロは彼のパラドックスは「決して循環的ではない」と主張している。しかし、グレアム・プリーストはこれに異議を唱えている[3][4][5]。自己相似性を有する点で、「自己相似的パラドックス」といってもよい[6][7]。
言明
[編集]次の無限の文のセットを考える:
- S_1 : 各i > 1 について、S_iは真でない。
- S_2 : 各i > 2 について、S_iは真でない。
- S_3 : 各i > 3 について、S_iは真でない。
...
分析
[編集]S_nが真となるようなnがあるとする。
その場合、 S_n+1は真ではないため、 S_kが真となるような k > n+1 が存在する。
しかし、 S_nが真で k > n であるため、S_kは真ではない。
S_nが真であると仮定すると、S_kが真であると同時に真でない、という矛盾が生じる。
したがって、私たちの仮定はばかげており、各iに対して、文S_iは真ではない。
しかし、それぞれのS_iが真でない場合、それぞれが後の文に偽りを与えることを考えると、それらはすべて真である。
したがって、ヤブロのリストの各文は真であり、真ではないというパラドックスを得る。
出典
[編集]- ^ S. Yablo (1985). “Truth and reflection”. Journal of Philosophical Logic 14 (2): 297–348. doi:10.1007/BF00249368 .
- ^ S. Yablo (1993). “Paradox Without Self-Reference”. Analysis 53 (4): 251–252. doi:10.1093/analys/53.4.251 .
- ^ G. Priest (1997). “Yablo's paradox”. Analysis 57 (4): 236–242. doi:10.1093/analys/57.4.236.
- ^ J. Beall (2001). “Is Yablo's paradox non-circular?”. Analysis 61 (3): 176–187. doi:10.1093/analys/61.3.176 .
- ^ ytb(矢田部俊介) あいまいな本日の私 blog "There are non-circular paradoxes (but Yablo's isn't one of them!)" (Roy T. Cook)[1]
- ^ Shunsuke Yatabe. “Yablo-like paradoxes and coinduction” Springer Lecture Notes in Computer Science 6797 (2011)
- ^ ヤブローのパラドックス と余帰納法[2]