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ユウレイオニアンコウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ユウレイオニアンコウ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: アンコウ目 Lophiiformes
亜目 : アカグツ亜目 Ogcocephalioidei
: オニアンコウ科 Linophrynidae
: ユウレイオニアンコウ属 Haplophryne Regan, 1912
: ユウレイオニアンコウ H. mollis
学名
Haplophryne mollis
Regan, 1912[2]
シノニム[2]
  • Aceratias mollis Brauer 1902
  • Edriolychnus macracanthus Regan and Trewavas 1932
  • Edriolychnus radians Regan and Trewavas 1932
  • Edriolychnus roulei Regan and Trewavas 1932
  • Edriolychnus schmidti Regan 1925
  • Aceratias mollis Brauer 1902[1]
英名
Triplewart seadevil
矮雄の付着した雌

ユウレイオニアンコウ(学名:Haplophryne mollis、そのままハプロフリュネー・モリスと呼ばれることもある)は、アンコウ目オニアンコウ科に分類される魚類の一種。ユウレイオニアンコウ属単型。世界の熱帯および亜熱帯地域の水深2250mまでの海域に生息する。

分布・生息地

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深海魚の為、滅多に捕獲されない。2009年時点で、88尾の標本が知られていた。タイプ標本は、1902年にドイツ動物学者であるアウグストブラウアーによってインド洋から報告された。また、西オーストラリア沖で自由生活の雄が捕獲された。北緯55度から南緯40度の間の大西洋カリブ海メキシコ湾トロール網で捕獲されている。オーストラリア東部、ニューカレドニアニュージーランド沖の太平洋ハワイ諸島付近やパナマ湾でも発見されている[3]。世界の熱帯および亜熱帯海域の漸深層および中深層の深さ約2250 m以浅の地点に生息する[4]

形態

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雌は雄よりもはるかに大きく、全長は通常8 cm、最大で16 cm[4]誘引突起は非常に短い。頭は大きく角のような突起があり、口は広く大きく、両顎には多数の小さな歯がある。背鰭は体の後方にあり、3軟条から成る。臀鰭も3軟条から成り、尾鰭は丸い[4]。色素沈着が無く、雌雄とも青白く半透明に見え、筋肉組織と骨格の一部が透けて見える。雄は体長約2 cmまでしか成長せず、擬餌状体を欠き、鰭が比較的小さい。若い雌には頭部の棘が無い[5]

生態

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雄は最初は遊泳生活を行うが、雌を見つけると噛みついて付着する。多くのアンコウでは雄が肛門近くの腹部に付着するが、本種は頭や体、稀に擬餌状体にも付着する。付着する方向は様々で、一尾の雌に対して複数の雄が付着することもある。付着部位では突起が成長し、雄が付着しやすくなる。雄の口は突起によって部分的に塞がれる。時間が経つと雄は雌と融合し、組織が結合する。雄が付着した成熟した雌は約30 %であり、多くの雌は交尾相手に出会うことがなく、一生孤独な可能性はある[6]

脚注

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  1. ^ a b Knudsen, S. (2015). Haplophryne mollis. IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T60470770A60791264. doi:10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T60470770A60791264.en. https://www.iucnredlist.org/species/60470770/60791264 15 January 2023閲覧。. 
  2. ^ a b Bailly, Nicolas (2015). "Haplophryne mollis (Brauer, 1902)". World Register of Marine Species. 2024年1月16日閲覧
  3. ^ Pietsch, Theodore W. (2009). Oceanic Anglerfishes: Extraordinary Diversity in the Deep Sea. University of California Press. p. 483. ISBN 978-0-520-94255-4. https://books.google.com/books?id=HiOq3dUk7jIC&pg=PA483 
  4. ^ a b c Haplophryne mollis (Brauer, 1902)”. FishBase. 16 January 2024閲覧。
  5. ^ Pietsch, Theodore (2009). Oceanic Anglerfishes Extraordinary Diversity in the Deep Sea. Berkeley and Los Angeles, California: University of California Press. pp. 155–157. ISBN 978-0-520-25542-5 
  6. ^ Pietsch, Theodore W. (2009). Oceanic Anglerfishes: Extraordinary Diversity in the Deep Sea. University of California Press. pp. 301–305. ISBN 978-0-520-94255-4. https://books.google.com/books?id=HiOq3dUk7jIC&pg=PA301 

関連項目

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