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ユカタハタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ユカタハタ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 硬骨魚綱 Osteichthyes
: スズキ目 Perciformes
: ハタ科 Epinephelidae
亜科 : ハタ亜科 Epinephelinae
: ユカタハタ属 Cephalopholis
: ユカタハタ C. miniata
学名
Cephalopholis miniata
(Forsskål, 1775)
シノニム
  • Perca miniata Forsskål, 1775
  • Epinephelus miniatus (Forsskål, 1775)
  • Serranus miniatus (Forsskål, 1775)
  • Pomacentrus burdi Lacepède, 1802
  • Serranus cyanostigmatoides Bleeker, 1849
  • Serranus perguttatus De Vis, 1884
  • Cephalopholis maculatus Seale & B.A. Bean, 1907
  • Cephalopholis formosanus Tanaka, 1911
  • Cephalopholis boninius Jordan & Thompson, 1914
英名
Coral grouper

ユカタハタ(学名:Cephalopholis miniata)とは、ハタ科に分類される魚類の一種。インド太平洋サンゴ礁に生息する。

名称

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和名は浴衣のような模様に由来する。「アオホシハタ」、「イサゴハタ」、「アカバ」(小笠原)、「アカハナ」、「アカミーバイ」(沖縄)などの地方名がある[2]。なお、「アカミーバイ」という呼び方は、他のハタのことを指すこともある。英名はcoral grouperの他にもcoral hind、coral rock cod、coral cod、coral trout、round-tailed trout、vermillion seabass等がある[3]

分布

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西は紅海から南アフリカダーバンまで、東はインド洋を通って太平洋ライン諸島まで、北は南日本、南はオーストラリア北部まで、インド太平洋に広く分布する。インド洋と太平洋中西部のほとんどの島々で見られるが、ペルシア湾オマーン湾では記録されていない。インド南西部やタイアンダマン海沿岸でも記録がある[1]。オーストラリアでは、西オーストラリア州からノーザンテリトリーグレートバリアリーフ北部、クイーンズランド州モートン湾まで、また珊瑚海ロード・ハウ島近海でも見られる[4]。日本では駿河湾以南の太平洋沿岸、琉球列島小笠原諸島などで見られる[5]

形態

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体長は体高の2.6 - 3.0 倍。頭は大きく、頭部背側の輪郭は平らで、目の間はわずかに凸状。口は大きく、下顎が突き出す。前鰓蓋骨は丸く、下端は肉厚で、縁は鋸歯状。上顎骨は目の後ろを越えて伸びる。鰭は大きく、背鰭と臀鰭は尾鰭付近まで伸びる。尾鰭は団扇型。背鰭棘の間の膜は凹む。側線鱗数は47 - 56個[6]。背鰭は9棘と14 - 15軟条から、臀鰭は3棘と8 - 9軟条から成る[7]。体色はオレンジがかった赤から赤褐色で、体色変化は大きい。体や鰭には明るい青色の小斑点が散らばり、海中では白色の斜帯が現れる場合もある。幼魚は体色がキンギョハナダイに似たオレンジから黄色で、青色の斑点は少ない[4]。模様はバラハタに似るが、バラハタの尾鰭は三日月形である。全長は最大50 cm[7]

生態

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沿岸から沖合のサンゴ礁岩礁に生息し、開けた場所を好む[4]。海中洞窟や、サンゴの下でもよく見られる[8]。生息水深は2 - 150 m[3]。鰭で水を捉えて急な加速をし、大きな口を使って一瞬で獲物を捕らえる。餌の80%は小魚で、キンギョハナダイをよく狙う。甲殻類も捕食し、大型の個体では頭足類を捕食することもある[6]。1個体の雄と2 - 12個体の雌から成るハレムで生活する。ハレムの縄張りは約475平方メートルで、雄が全体を守り、雌はそれぞれが小さな縄張りを持つ[7]雌性先熟雌雄同体で、雌から雄に性転換する[4]。雄は縄張り内を巡回し、雌と出会ったときには並行して泳ぐ[3]

人との関わり

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市場にはよく並び、ハタの中では比較的安価な種である[1]。一般に流通することは少なく、主に寿司屋や料理店などで利用されることが多い。東京都(伊豆諸島・小笠原諸島)、沖縄県、鹿児島県などで漁獲されている[2]。小型の個体ならアクアパッツァ、大型の個体なら刺身などにすると非常に美味である[2]。地域によってはシガテラ毒を持つ個体もいるため注意が必要。美しい体色のためアクアリウムで飼育されることもある[1]

脚注

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  1. ^ a b c d Rocha, L.A. (2018). Cephalopholis miniata. IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T132732A100455926. doi:10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T132732A100455926.en. https://www.iucnredlist.org/species/132732/100455926 22 February 2024閲覧。. 
  2. ^ a b c ユカタハタ 市場魚貝類図鑑”. ぼうずコンニャク. 2024年2月22日閲覧。
  3. ^ a b c Cathleen Bester. “Cephalopholis miniate”. Discover Fish. Florida Museum. 22 February 2024閲覧。
  4. ^ a b c d Dianne J. Bray. “Cephalopholis miniata”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 21 February 2024閲覧。
  5. ^ 『小学館の図鑑Z 日本魚類館』233頁
  6. ^ a b Heemstra, P.C. & J.E. Randall (1993). FAO Species Catalogue. Vol. 16. Groupers of the world (family Serranidae, subfamily Epinephelinae). An annotated and illustrated catalogue of the grouper, rockcod, hind, coral grouper and lyretail species known to date. FAO Fish. Synopsis. 125. FAO, Rome. pp. 49–50. ISBN 92-5-103125-8. http://www.fao.org/3/t0540e/t0540e08.pdf 
  7. ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Cephalopholis miniata" in FishBase. February 2024 version.
  8. ^ Coral Cod, Cephalopholis miniata (Forsskal, 1775)”. Australian Museum. 22 February 2024閲覧。

参考文献

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関連項目

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