ユム・カアシュ
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(ユム・カーシュから転送)
ユム・カアシュ(Yum Kaax)は、 現代のユカタン半島のマヤ神話における神のひとり。
1941年に英領ホンジュラス(今のベリーズ)のオレンジウォーク州サン・ロマンを探訪したアルバート・マンチは、Yumi Kaaxが狩猟神であり、森のなかに住む鳥獣などすべての動物はYumi Kaaxに属するとする土地のマヤ人の言葉を報告している[1]。
ダニエル・ブリントンは1895年の著書でこの神を「農地の主」(Lord of the Harvest Fields)という意味だとした[2]。また同書p.62ではツェルタル族がツォルキンの第4の日をGhananといい、これがトウモロコシの神であると言っている。パウル・シェルハスは絵文書の神の分類でトウモロコシの神とした「神E」がブリントンのいうGhananやYum Kaaxかもしれないとした[3]。シルヴェイナス・モーリーらはこの説に従った[4]。
しかしながら、ジョン・エリック・シドニー・トンプソンはYum Kaaxが「森の主」という意味であり、ブリントン以前の早期の資料でこの神をトウモロコシの神としたものはないと指摘した[5]。最近の文献でもユム・カアシュをマヤのトウモロコシの神と同一視しているものがあるが[6]、その記述には上記のように問題がある。
命名
[編集]カンペチェ自治大学にYum Kaaxという環境保護センターがある[7]。
脚注
[編集]- ^ Albert Muntsch (1943). “Some Magico-Religious Observances of the Present-Day Maya Indians of British Honduras and Yucatan”. Primitive Man 16 (1/2): 31-43. JSTOR 3316355.
- ^ Daniel G. Brinton (1895). A Primer of Mayan Hieroglyphics. University of Pennsylvania. p. 41
- ^ Paul Schellhas (1904). Representation of the Deities of the Maya Manuscripts. translated by Selma Wesselhoeft and A. M. Parker. p. 25
- ^ Sylvanus Morley (1915). An Introduction to the Study of the Maya Hieroglyphs. Washington D.C.: Government Printing Office. p. 18
- ^ J. Eric S. Thompson (1970). Maya History and Religion. University of Oklahoma Press. p. 289. ISBN 0806122471
- ^ マリア・ロンゲーナ 著、植田覚監修・月森左知 訳『図説マヤ文字事典』創元社、2002年、92頁。ISBN 4422202324。
- ^ Coordinación General de Gestión Ambiental para la Sustentabilidad Yum Kaax, Universidad Autónoma de Campeche