ヨコヅナイワシ
ヨコヅナイワシ | ||||||||||||||||||||||||
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ヨコヅナイワシ Narcetes shonanmaruae
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Narcetes shonanmaruae Poulsen, Ida, Kawato & Fujiwara, 2021[1] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ヨコヅナイワシ[2] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Yokozuna slickhead[1] |
ヨコヅナイワシ (Narcetes shonanmaruae) は、条鰭綱ニギス目セキトリイワシ科クログチイワシ属に分類される魚類。
分布
[編集]駿河湾のみで確認されていたが[1][3]、2020年11-12月および2021年10月の調査によって駿河湾より南方の西七島海嶺の正徳海山、元禄海山南方、安永海山(水深2000メートル前後)の広範な海域でも生息が確認された[4][5]。
形態
[編集]全長122センチメートルから253センチメートル[4][5][6]。体重14.8キログラムから24.9キログラム[1]、36.5キログラムの例[6]がある。水深2000メートル以上の深海に生息する全長2メートル超の硬骨魚類7種のうち、深海固有種はヨコヅナイワシとムネダラのみであったが、ヨコヅナイワシはムネダラの最大記録を上回ったため、深海固有種として世界最大の硬骨魚類であることが明らかになった[4][5]。
セキトリイワシ科は Alepocephalus agassiziiや Alepocephalus bairdii を除けば体長100センチメートルに達する種はなく、主に体長30センチメートルから40センチメートルの種で構成される[1]。名前のヨコヅナは大相撲の番付の最高位(横綱)のことで、既知のセキトリイワシ類の中でも最大種であることに由来する[1]。腹椎骨の数は30未満[1]。
背鰭条数は、15未満[注釈 1]。尻鰭の前端は、背鰭よりも後方に位置する[1]。鱗が非常に剥がれやすい[6]。
分類
[編集]2016年2月と11月に駿河湾で行われた底延縄による深海調査により、2体ずつ計4体の既知のセキトリイワシ科の構成種とは異なるセキトリイワシ類が捕獲された[1][7][8]。種小名 shonanmaruae は、本種を採取した神奈川県立海洋科学高等学校の漁業実習船湘南丸へ献名された[1]。外部形態の比較やX線による内部形態の解析・ミトコンドリアDNAの16S rRNAとCOI遺伝子の分子系統解析から、2021年1月にクログチイワシ属の新種として記載された[1]。
生態
[編集]水深2171–2179メートルと2551メートルで延縄による捕獲例が、2572メートルで延縄による捕獲例および生体の撮影例がある[1]。
胃の内容物調査では魚類の耳石が検出されており、ミトコンドリアDNA COI遺伝子の分子系統解析からアシロ科のBassozetus属の耳石である可能性がある[1]。グルタミン酸とフェニルアラニンの窒素安定同位体比を用いた栄養段階の解析から、駿河湾の深海に生息する他種と比較してTPが4.9と高い数値[注釈 2]を示したことから駿河湾深海部における上位捕食者である可能性が示唆されている[1]。雄は2021年時点でまだ捕獲されていないため何も分かっていない[9]。
標本
[編集]原記載で用いられたタイプ標本4個体(それぞれ海洋研究開発機構、神奈川県立生命の星・地球博物館、国立科学博物館、千葉県立中央博物館所蔵)のほか、2018年に5体目(東海大学海洋科学博物館)[10]、2021年に6体目(駿河湾深海生物館)が採集され液浸標本になっている[11][12]。2022年9月に7例目(サンシャイン水族館)が得られ、冷凍保冷によってより生体に近い標本が作製されている[6]。
焼津沖の深海で得た7体目はサンシャイン水族館が冷凍標本[13][6]を2023年1月に「ゾクゾク深海生物2023」で公開。東海大学海洋科学博物館は5体目の液浸標本[14]を所有し2021年に特別展示した[10]。
ギャラリー
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o Fujiwara, Yoshihiro; Kawato, Masaru; Poulsen, Jan Yde; Hitoshi Ida, Yoshito Chikaraishi, Naohiko Ohkouchi, Kazumasa Oguri, Shinpei Gotoh, Genki Ozawa, Sho Tanaka, Masaki Miya, Tetsuya Sado, Katsunori Kimoto, Takashi Toyofuku, Shinji Tsuchida (2021). “Discovery of a colossal slickhead (Alepocephaliformes: Alepocephalidae) : an active-swimming top predator in the deep waters of Suruga Bay, Japan”. Scientific Reports (2490,). doi:10.1038/s41598-020-80203-6.
- ^ 本村浩之.2023.日本産魚類全種目録.これまでに記録された日本産魚類全種の現在の標準和名と学名.Online ver. 21.2023年9月10日閲覧。
- ^ (海洋研究開発機構提供) (2021年1月25日). 毎日新聞: “駿河湾に1メートル超の深海魚「ヨコヅナイワシ」と命名 海洋機構ら研究チーム”. YouTube. 2023年9月10日閲覧。 “報告をまとめた論文が25日、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。”
- ^ a b c 藤原義弘、土田真二、河戸勝、大類穂子、吉田尊雄(RIGC, JAMSTEC); 増田殊大(東京大学生産技術研究所); 佐土哲也・宮正樹(千葉県立中央博物館)「Detection of the largest deep-sea-endemic teleost fish at depths of over 2,000 m through a combination of eDNA metabarcoding and baited camera observations」『Frontiers in Marine Science』2022年7月1日、doi:10.3389/fmars.2022.945758。
- ^ a b c 『ヨコヅナイワシが2000m以深に棲息する世界最大の深海性硬骨魚類であることを明らかに プレスリリース』(プレスリリース)国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、2022年7月1日。
- ^ a b c d e 捕獲時は深い藍色で全長135センチメートル前後、体重36.5キログラム、性別は不明。『プレスリリース:世界7例目の採集—「ヨコヅナイワシ」の冷凍標本を日本初公開」』(pdf)(プレスリリース)サンシャインシティ、2022年11月7日 。2023年9月10日閲覧。
- ^ 「1m超える新種の深海魚「ヨコヅナイワシ」発見 静岡沖 駿河湾」『NHKニュース』。オリジナルの2021年2月26日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「新種の深海魚は1m超す大物、食物連鎖の最上位で命名「ヨコヅナイワシ」」『読売新聞』2021年1月25日。
- ^ 「生態系に君臨するトップ・プレデター「ヨコヅナイワシ」 新種の巨大深海魚」『産経新聞』2021年1月25日。オリジナルの2023年4月7日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “「ヨコヅナイワシ」標本展示のお知らせ”. お知らせ. 東海大学海洋科学博物館 (2021年2月10日). 2023年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月10日閲覧。
- ^ 「テレビ静岡制作「ヨコヅナイワシ -駿河湾最深部の王者“3つの謎”-」科学放送高柳賞・優秀賞受賞」テレビ静岡、2022年12月14日、2023年9月10日閲覧。
- ^ 「世界で6体目、超希少!深海魚「ヨコヅナイワシ」を常設展示します」沼津市、2022年1月5日、2023年9月10日閲覧。
- ^ “世界7例目の採集「ヨコヅナイワシ」の冷凍標本を日本初公開 深海生態系の頂点に君臨するトッププレデター現る!”. PR TIMES (2022年11月7日). 2023年9月10日閲覧。
- ^ 2021年に5体目を取得。和田翔太「深海魚「ヨコヅナイワシ」公開 現存する標本は5体だけ」『朝日新聞』2021年2月21日。
外部リンク
[編集]- 「新種の巨大深海魚「ヨコヅナイワシ」を発見~駿河湾深部に潜むアクティブなトップ・プレデター~」- 国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)報告