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ヨハン・アンドレアス・シュタイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヨハン・アンドレアス・シュタイン(Johann Andreas Stein、1728年5月16日 - 1792年2月29日)は、ドイツのオルガン、クラヴィコード、チェンバロ、ピアノなど鍵盤楽器の製造技師[1]。ピアノ製作の歴史における中心的な人物であり、いわゆるドイツ(ウィーン風)のハンマーアクションの設計の最終責任者であった。

人物・来歴 

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1728年、ドイツヒルデスハイムに生まれる。オルガン製作者だった父親の下で修業し、後にストラスブールでピアノ製作をしていたゴットフリート・ジルバーマンの甥であるハインリッヒ・ジルバーマンに師事する[2]

1751年、アウクスブルクにピアノ工房を設立、フォルテピアノの製造を始める。

ジルバーマンが製作したピアノアクションのメカニズムに改良を加え、後に「ウィーン式アクション」と呼ばれるアクションを完成させる。 このアクションを搭載したモデルのピアノは、長年にわたって人気を集めた。

1777年、シュタインはアウクスブルクでモーツァルトと面識を持つ[3]。モーツァルトは、10月22日に行われた3台のピアノ協奏曲の公開演奏でシュタインのフォルテピアノを使用し[4]、独奏者はモーツァルト、大聖堂のオルガニストのデンムラー、そしてシュタインの3名であった[5]モーツァルトはシュタインのフォルテピアノについて、絶賛の手紙を残した[6]。シュタインの楽器への高い評価を、父親に書き送ったのである[3]

ウィーン式アクションを採用したピアノ製作は娘であるナネッテ・シュトライヒャーをはじめ、孫のヨハン・バプティスト・シュトライヒャー、エミール・シュトライヒャーへと継がれていく。

シュタインが製作した2台のクラヴィコードは残っており、そのうちの1台は現在ブダペストハンガリー国立博物館にある。これは、旅行中の練習用にレオポルト・モーツァルトが購入したものである。そして、ピアノと単一ランクのオルガンを組み合わせた楽器1台が、現在ヨーテボリの歴史博物館にある。

現代楽器のモデルとして

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シュタインのピアノは、フィリップ・ベルトポール・マクナルティなどの現代の製作者にとってのモデルの役割を果たしている。

録音

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  1. Gertrud Kottermaier. Mozart. Johann Andreas Stein Hammerflügel aus dem jahre 1785 im Mozarthaus in Augsburg. No label. Germany 1991
  2. Christine Schornsheim (hammerflügel von Stein), Rüdiger Lotter (violine), Sebastian Hess (violoncello). Drei Klaviersonaten (Hammerflügel solo). Drei Trios für Cembalo, Violine, Violoncello.  Label: OEHMS Classic
  3. Andreas Steier, Christine Schornsheim. Wolfgang Amadeus Mozart. Am Stein vis-a-vis. Label: Harmonia Mundi
  4. Ronald Brautigam. Ludwig van Beethoven. Complete works for solo piano, Vol.9. Played on a copy of Stein piano made by Paul McNulty. Label: BIS
  5. Alexei Lubimov and his colleagues. Ludwig van Beethoven. Complete piano sonatas. Played on copies of Stein, Walter, Graf, Buchholtz instruments made by Paul McNulty. Label: Moscow Conservatory Records
  6. Amy & Sara Hamann. Beethoven. Piano Duets (Complete). Played on Yamaha disklavier, fortepianos after Stein 1784 and Nannete Streicher 1815. Label: Grand piano

脚注

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  1. ^ "Stein, Johann (Georg) Andreas". Grove Music Online. doi:10.1093/gmo/9781561592630.001.0001/omo-9781561592630-e-0000026631.
  2. ^ 『ピアノの歴史』河出書房新社、2009年、ISBN 4-30927-086-7:28頁 シュタイン
  3. ^ a b The Letter of Wolfgang Amadeus Mozart (1769-1791). In Two Volumes. Vol. 1. By Wolfgang Amadeus Mozart. Translated, from the Collection of Ludwig Nohl, by Lady Wallace. New York and Philadelphia, 1866 URL: https://www.gutenberg.org/files/5307/5307-h/5307-h.htm
  4. ^ Review in Augsburgische Staats und Gelehrten Zeitung 28 Oktober 1777
  5. ^ Layer, A., & Ullrich, H.  (2001). Demmler [Demler, Dümmler], Johann Michael. Grove Music Online. URL: https://www.oxfordmusiconline.com/grovemusic/view/10.1093/gmo/9781561592630.001.0001/omo-9781561592630-e-0000007542.
  6. ^ 『楽器の事典 ピアノ』東京音楽社、1982年、ISBN 4-88564-036-9:35頁 十八世紀におけるアクションの発達 より引用

関連項目

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外部リンク

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