ヨハン・ゲオルク・ズルツァー
ヨハン・ゲオルク・ズルツァー(ドイツ語: Johann Georg Sulzer, ドイツ語: [ˈzʊltsər]、1720年10月16日 ヴィンタートゥール - 1779年2月27日 ベルリン)は、旧スイス連邦出身の大学教授。
業績
[編集]はじめは数学を専門としたが、後に電気学に乗り換えた。ヴォルフ派の哲学者で、プロイセン科学アカデミーの哲学部総裁だった。1755年にはデイヴィッド・ヒュームの『道徳原理研究』を英語からドイツ語に翻訳した。
ズルツァーは電池の開発史に関するアネクドートで知られている。1752年、彼は角が接触している2種類の金属を舌の先端で触れた。すると、舌を刺激する感覚がしたが、彼は金属の粒子が振動をおこし、それが味覚神経を刺激したと考えた。この出来事は後に「電池と舌の試験」(battery tongue test)として知られるようになった。すなわち、2種類の金属が電極棒として、唾が電解物として働いた結果、電流が流れたのであった。
ズルツァーは著作のAllgemeine Theorie der schönen Künste(『美しい諸芸術の一般理論』)で「バウムガルテンの手法を拡張して、美的体験への喜びの主体は個人の知覚の状態である、というさらに心理学的な理論にした」[1]。イマヌエル・カントはズルツァーの理論に反対、「私は素晴らしく思慮に富んだ人間(例えばズルツァー)が頻繁に述べた意見に共感できません。彼らはそれまで示された証明の弱点を完全に知りながら、純粋な理性による2つの基本的な主張への証明が未来には現れる、という望みにすがりついています。その主張とは神の存在と来世の存在である。私は当然その反対であり、これは永遠に起きないと考えています。」と述べた[2]。
著作
[編集]- Unterredungen über die Schönheit der Natur(1750年)
- Gedanken über den Ursprung der Wissenschaften und schönen Künste(1762年)
- Allgemeine Theorie der schönen Künste(1771年 - 1774年、『美しい諸芸術の一般理論』)
- Vermischte philosophische Schriften(1773年/1781年)
脚注
[編集]- ^ Kant, Immanuel, translated and edited by Paul Guyer and Allen W. Wood, Critique of Pure Reason, Cambridge University Press, 2000, ISBN 0-521-65729-6, Editor's note on p. 752.
- ^ Critique of Pure Reason, p. 742.