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ヨーロッパクロマツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヨーロッパクロマツ
Pinus nigra subsp. nigra, Bulgaria
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類新エングラー体系
: 植物界 Plantae
: 球果植物門 Pinophyta
: マツ綱 Pinopsida
: マツ目 Pinales
: マツ科 Pinaceae
: マツ属 Pinus
亜属 : Pinus
: ヨーロッパクロマツ P. nigra
学名
Pinus nigra J.F.Arnold
シノニム

本文参照

和名
ヨーロッパクロマツ
英名
Black Pine
変種
  • Pinus nigra subsp. dalmatica (Vis.) Franco
  • Pinus nigra subsp. laricio Maire
  • Pinus nigra subsp. pallasiana (Lamb.) Holmboe
  • Pinus nigra subsp. salzmannii (Dunal) Franco[2]
Distribution

ヨーロッパクロマツ学名: Pinus nigra)は、マツ科マツ属の樹木である。

名前と分類

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マツ科マツ属に属し、所謂「松」の一種。葉断面に維管束を2つ持つPinus亜属に属する。

種小名nigraは「黒い」の意味[3]。仏名:Pin noir、独名Schwarzkieferも共に「黒いマツ」の意味。

分布

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ヨーロッパ南部の地中海沿岸諸国に分布する[4]。海抜0メートルから標高1600メートルの高地にまでに自生する[4]

形態

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常緑高木で雌雄同株である。高さ20 - 55メートル (m) に達し[4]、幹は直径0.4 - 2 mになる。樹形は、クロマツに似て、幼木時は整円錐形で、老木になると広円錐形になる。幹は、通直であり、1788年にはフランス艦隊のマストにも用いられた。枝は輪生し、太くてよく分岐する。上枝は上向、中枝より下部は水平に出る。樹皮は、幼木時は、薄くて平滑であるが、老木では厚く、深裂し、鱗片となって剥脱する。幼枝は、黄緑あるいは黄褐色で、光沢がある。冬芽は円錐形であり、色は鮮灰色、長さ1.2 - 2.4センチメートル (cm) である。

葉は2針、通直で、長さ8 - 15 cmであり、暗緑色である。葉の各面には12 - 14条の気孔線がある。4 - 5年枝上に留まる。球果は、長卵形、卵円錐形であり、光沢がある。色は、黄褐色あるいは暗褐色で、長さは40 - 80ミリメートル (mm) 、直径25 - 30 mmである。2年目に成熟、3年目に開裂する。種子は灰色または淡い黄色で、光沢はなく卵状長楕円形である。長さ5 - 7 mmで、翼は長さ40 - 50 mmで、淡褐色の条線がある[5]

用途

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生育は一般に遅い。耐寒力および耐乾力が強く、耐陰性も多い。都会地に適し、造園樹に用いられる。海岸防風林、耕作地防風林にも用いられている。

変種

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  • コルシカマツPinus nigra ver. crsicana
  • クリミアマツPinus nigra subsp. pallasiana (Lamb.) Holmboe)
    • 樹形は、半球形である。球果は大型で、長さ100mmある。アナトリア半島クリミア半島の石灰質地に自生している。造園樹として用いられている。
  • ピレネーマツPinus nigra subsp. laricio Maire)
    • 球果は小形で、長さ40 - 60mmで、直径25mmある。南西フランスのセヴェンヌ山脈ピレネー山脈の石灰質地に自生している。造園樹として用いられている。

シノニム

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  • Abies marylandica Dallim. & A.B.Jacks.
  • Abies novae-angliae K.Koch
  • Pinus austriaca Hoss
  • Pinus banatica (Georgescu & Ionescu) Georgescu & Ionescu
  • Pinus laricio var.austriaca (Hoss) Loudon
  • Pinus laricio subsp. austriaca (Hoss) Endl.
  • Pinus laricio var.moseri J.J.Moser
  • Pinus laricio var. nigricans (Host) Parl.
  • Pinus laricio var. prostrata Beissn.
  • Pinus laricio var. pygmaea Carriere
  • Pinus laricio var. pyramidata Carriere
  • Pinus nigra var. austriaca (Hoss) Badoux (和名:オーストリアマツ)[6]
  • Pinus nigra var. banatica Georgescu & Ionescu
  • Pinus nigra subsp. croatica Lovric
  • Pinus nigra var. gocensis Georgev.
  • Pinus nigra f. hornibrookiana Slavin
  • Pinus nigra f. moseri (J.J.Moser) Rehder
  • Pinus nigra var. nigra
  • Pinus nigra f. prostrata (Beissn.) Rehder
  • Pinus nigra f. pygmaea (Carriere) Rehder
  • Pinus nigra f. pyramidalis Slavin
  • Pinus nigra var. pyramidata (Carriere) Fitschen
  • Pinus nigricans Host

脚注

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  1. ^ Farjon, A. (2011). "Pinus nigra". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2006. International Union for Conservation of Nature. 2015年2月15日閲覧
  2. ^ Pinus nigra The Plant List
  3. ^ 豊国秀夫 編著(2009) 復刻・拡大版植物学ラテン語辞典. ぎょうせい. 東京.
  4. ^ a b c セルジュ・シャール 著、ダコスタ吉村花子 訳『ビジュアルで学ぶ木を知る図鑑』川尻秀樹 監修、グラフィック社、2024年5月25日、37頁。ISBN 978-4-7661-3865-8 
  5. ^ 上原敬二 1996, p. 170.
  6. ^ 上原敬二 1996, p. 171.

参照文献

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  • 上原敬二『樹木大図説』 I(12刷)、1996年12月20日、170-171頁。 

外部リンク

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