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ラクオリア創薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラクオリア創薬株式会社
RaQualia Pharma Inc.
本社が入居するDaiwa名駅ビル(2018年6月)
種類 株式会社
機関設計 監査等委員会設置会社[1]
市場情報
東証グロース 4579
2011年7月20日上場
略称 RaQualia
本社所在地 日本の旗 日本
450-0003
愛知県名古屋市中村区名駅南一丁目21番19号 Daiwa名駅ビル8階
北緯35度9分58.1秒 東経136度53分9.6秒 / 北緯35.166139度 東経136.886000度 / 35.166139; 136.886000座標: 北緯35度9分58.1秒 東経136度53分9.6秒 / 北緯35.166139度 東経136.886000度 / 35.166139; 136.886000
設立 2008年平成20年)2月19日
業種 医薬品
法人番号 3180001095399 ウィキデータを編集
事業内容 医薬品の研究開発
代表者 代表取締役社長 武内博文
資本金 22億5692万円
発行済株式総数 20,955,142株
売上高 27億76百万円
経常利益 8億63百万円
純利益 7億55百万円
純資産 47億88百万円
総資産 52億34百万円
従業員数 67名
決算期 12月31日
主要子会社 テムリック株式会社 100%
外部リンク https://www.raqualia.co.jp/
特記事項:財務データ等は2021年12月期[2]
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ラクオリア創薬株式会社(ラクオリアそうやく、: RaQualia Pharma Inc.)は、愛知県名古屋市中村区に本社を置く創薬バイオベンチャー

概要

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ファイザー中央研究所が閉鎖されることとなり、エンプロイー・バイアウト (EBO) により新会社「ラクオリア創薬株式会社」を設立。ファイザーより独立した[3]

社名の由来は太陽を意味する「Ra」と感覚の質感を表す「Qualia」を掛け合わせたものである[4]

上市品

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  • K-CAB
    • 一般名:tegoprazan
    • 適応症:胃食道逆流症
  • Galliprant
    • 一般名:grapiprant
    • 適応症:変形性関節症(犬)
  • Entyce
    • 一般名:capromorelin
    • 適応症:食欲不振(犬)
  • Elura
    • 一般名:capromorelin
    • 適応症:慢性腎疾患の体重減少管理(猫)

沿革

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  • 2008年平成20年)
    • 2月19日 - 設立。
    • 7月1日 - 事業開始。
  • 2011年(平成23年)- 大阪証券取引所JASDAQ市場(グロース)に3月25日に上場予定であったが、国内震災の影響や欧州通貨危機による市況の悪化により一旦上場を取り下げた[5]。その後同年7月に上場[6]
  • 2013年(平成25年)1月7日 - 新設分割により株式会社AskAtを設立[7]
  • 2014年(平成26年)
    • 4月 - 産学共同研究部門である薬効解析部門を名古屋大学環境医学研究所に設置[8]
    • 6月 - 武豊町から現在地に本社を移転[9]
    • 9月 - 創薬研究部門の一部である生物研究部の機能を名古屋大学環境医学研究所および高等総合研究館に移転[8]
  • 2015年(平成27年)5月 - 子会社の株式会社AskAtが独立[10]
  • 2017年(平成29年)2月3日 - 簡易株式交換により、テムリック株式会社を完全子会社化[11]
  • 2018年(平成30年)12月7日 - 子会社のラクオリア イノベーションズ株式会社を設立[12]
  • 2021年令和3年)
    • 1月22日 - 子会社のラクオリア イノベーションズ株式会社解散を決議[13]
    • 2月4日 - 筆頭株主(当時)の柿沼祐一から株主提案(※下記「個人参加型株主提案」参照)に関する書面受領[14]
    • 3月25日 - 第13期定時株主総会にて株主提案が決議され経営陣刷新[15]
    • 4月1日 - 岐阜薬科大学との共同研究講座設置[16]
    • 5月14日 - 元監査等委員2名からの残存期間の役員報酬相当分の損害請求受領と支払を決議[17]
  • 2022年(令和4年)8月15日 - STAND Therapeutics株式会社と資本業務提携[18]
  • 2024年(令和5年)
    • 2月14日 - ファイメクス株式会社の買収を発表[19]
    • 3月26日 - ファイメクス株式会社の全株式を取得[20]

個人参加型株主提案

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2021年2月4日、当時の筆頭株主だった柿沼佑一により株主提案がなされた[14]。提案書では、株主提案の理由について、当時の経営陣が黒字必達を公約に掲げながら3年連続の業績予想の下方修正を行ったこと、既存パイプラインの開発をストップさせていること、新規パイプラインの導出ができないこと、コーポレートガバナンスが不全となっていることを挙げている。

柿沼のブログ『株投資でマイホーム』によると、突然、株主提案を行ったわけではなく、2018年ごろから当時の経営陣に対して事態を打開するよう申し入れを行っていたが、経営方針の改善は一向になされず、2020年秋には社長交代の要求まで水面下で申し入れをする事態にまでなっていた。また、柿沼以外の同様の不満をもつ複数の個人投資家から柿沼の元に筆頭株主としてアクションを取るよう強く求められたり、SNS上でも日増しに経営陣に対する不満の声が高まっていた。

こうした不満の背景として、2017年7月4日に当時の代表取締役であった谷直樹が日刊薬業の取材記事[21]で「20年に時価総額1000億円へ」と半ば公約をしたのに対し、2020年9月末日時点の時価総額が216億円であり未達の可能性が高い状況にありながら何らかのアクションがなかったこと、同社の元子会社であったAskAtがArrys Therapeutics(現・Ikena Oncology)に対して同社のEP4拮抗薬(RQ-00000007、RQ-00000008)をライセンス[22]したのに対し、大元のライセンサーである同社に対する収益が期待値を大幅に下回っていたこと等が挙げられる。

しかし会社側は、事態を軽視したのか、依然として明確な回答を避け続けていた。このため会社側に変革の意思なしと判断した柿沼は、かつて同社で財務経理部長を務めていたOBの武内博文らを起用し、自らも監査等委員の候補として、経営陣刷新のため株主提案に踏み切った。これに対して会社側は、2021年2月12日に株主提案を拒絶する旨を回答[23]し、代表取締役を谷直樹からファイザーから生え抜きの取締役であった渡邉修造に異動[24]を発表し、全面的な対決に発展した。

結果は、会社側の株主対応の拙さ(※後述)もあり、監査等委員の解任も含めて株主提案が全面的に決議[15]されるという前代未聞の結果で終わっている。

通常、プロキシーファイトは議決権の争奪戦である。本プロキシーファイトも議決権の争奪戦という点では変わらない。しかしながら、本プロキシーファイトには幾つかの特筆すべき点がある。

  • 10%超の個人株主が自ら、独自の取締役候補を立て、会社の経営課題や改革案などを盛り込んだ機関投資家による株主提案顔負けの本格的な提案であったこと。
  • 取締役候補に戦略コンサルタントや業界の重鎮といった経営者ではなく、同社のOBをはじめ現役の実務派の業界人を起用したこと。
  • 個人の株主提案でありながら株主総会検査役を立てる[25]など法務的に対処すべき点を網羅していたこと。
  • 有志の個人投資家達によるウェブサイトやSNS、動画配信、オンライン説明会などを活用した個人参加型のプロキシーファイトであったこと。
  • 通常は会社側に賛成票を投じる証券会社の一部が株主提案を支持した可能性があること[26]
  • 通常の株主提案は、会社側が勝つこと殆どであるが、会社提案の得票は15%程度に留まり全否とされたため、一部議案を総会直前に取り下げ[27]ざるをえなかったこと。
  • 監査等委員の解任も含めて最終的に1万人を超えるサイレントマジョリティーである個人投資家を中心に85%以上が株主提案を支持し[15]、完勝を得たこと。

会社側の株主対応の拙さが目立ったのも特徴である。

  • 2020年8月の業績予想修正後に社長交代の要求に対する会社の無回答[28]
  • 感情的な株主提案に対する反論[23]
  • 適切な方法とは思えない内容の従業員アンケートによる反論[23]
  • 提案株主に対する建設的ではない内容の質問状の送付(※柿沼のブログ「株投資でマイホーム」参照)。
  • 提案株主からの事前質問状に対する消極的な回答(※柿沼のブログ「株投資でマイホーム」参照)。

いずれにせよ、本プロキシーファイトは、本邦における本格的な個人投資家による個人参加型の株主提案の嚆矢といっても過言ではなく、大小さまざまな形で企業と個人投資家のコミュニケーションに関して影響を与える結果となった。

その後であるが、2021年4月30日に解任された元監査等委員の野元学二と縣久二から解任されなければ残存期間中に得べかりし役員報酬について請求[17]があるなど、幾つかの紆余曲折はあったが、2021年度は株主提案で公約で掲げられた創業以来初の営業黒字を達成している。

脚注

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  1. ^ コーポレートガバナンス - ラクオリア創薬株式会社
  2. ^ 第14期有価証券報告書” (PDF). ラクオリア創薬株式会社 (2022年3月28日). 2022年3月28日閲覧。
  3. ^ ようやく離陸したラクオリア創薬”. 日経BP. 2022年12月17日閲覧。
  4. ^ 社名・マークの由来”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  5. ^ 募集株式発行及び株式売出しの中止に関する取締役会決議のお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  6. ^ 当社は本日、大阪証券取引所JASDAQ市場グロースに上場いたしました”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  7. ^ 会社分割(簡易新設分割)による子会社設立に関するお知らせ (PDF) (2012年11月29日、ラクオリア創薬株式会社・ニュースリリース)
  8. ^ a b 名古屋大学における産学協同研究部門設置ならびに創薬研究機能の一部移転のお知らせ” (PDF). ラクオリア創薬株式会社 (2014年2月18日). 2014年3月10日閲覧。
  9. ^ 本社を移転いたしました”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  10. ^ 会社概要・沿革”. 株式会社AskAt. 2018年12月16日閲覧。
  11. ^ 簡易株式交換公告” (PDF). ラクオリア創薬株式会社 (2017年1月13日). 2017年1月20日閲覧。
  12. ^ ラクオリア創薬---新会社「ラクオリア イノベーションズ」を設立”. FISCO (2018年12月12日). 2018年12月16日閲覧。
  13. ^ 連結子会社の解散及び債権放棄に関するお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  14. ^ a b 株主提案に関する書面受領のお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  15. ^ a b c 臨時報告書”. 有報速報. 2022年12月17日閲覧。
  16. ^ 岐阜薬科大学との共同研究講座設置契約書締結のお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  17. ^ a b 当社元監査等委員からの残存期間の役員報酬相当分の損害請求に関するお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  18. ^ STAND Therapeutics株式会社との資本業務提携のお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  19. ^ ファイメクス株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ”. 2024年2月14日閲覧。
  20. ^ ファイメクス株式会社の株式取得(子会社化)完了のお知らせ”. 2024年3月26日閲覧。
  21. ^ ラクオリア創薬、20年に時価総額1000億円へ  谷社長「19年黒字化は通過点」”. 株式会社じほう. 2022年12月17日閲覧。
  22. ^ AskAt社はArrys Therapeutics社と癌免疫における全世界を対象としたライセンス契約締結を発表しましたのでお知らせします。”. 株式会社AskAt. 2022年12月17日閲覧。
  23. ^ a b c 株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  24. ^ 代表取締役の異動および役員人事に関するお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  25. ^ 株主総会検査役の選任に関するお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  26. ^ ラクオリア創薬、経営史に残る出来事、個人株主の株主提案可決”. note. 2022年12月17日閲覧。
  27. ^ 第13期定時株主総会付議議案の一部撤回に関するお知らせ”. ラクオリア創薬株式会社. 2022年12月17日閲覧。
  28. ^ 「製薬会社はそんなに甘い商売ではない」”. 東洋経済オンライン. 2022年12月17日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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