ラヴレス (アルバム)
『ラヴレス』 | ||||
---|---|---|---|---|
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1989年 - 1991年 | |||
ジャンル | オルタナティヴ・ロック、シューゲイザー | |||
時間 | ||||
レーベル | クリエイション・レコーズ | |||
プロデュース |
ケヴィン・シールズ コルム・オコーサク(#3) | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
| ||||
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン アルバム 年表 | ||||
|
『ラヴレス[5]』(Loveless)は、アイルランドのオルタナティヴ・ロック・バンド、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが1991年に発表した2作目のスタジオ・アルバム。シューゲイザーというジャンルを象徴する作品として評価されており[6][7]、オーストラリアのウェブサイトSounds Better With Reverbが2013年に選出した「100 Greatest Shoegaze Albums」では1位となった[8]。2012年には、オリジナル1/2インチ・アナログ・テープからのマスタリングとオリジナル・テープからのリマスターの2種類を収録した2枚組のCDがリリースされた。
背景
[編集]本作のレコーディングは2年半がかりで行われ、そのうち最初の2年間はクリエイション・レコーズの創設者アラン・マッギーでさえスタジオに出入りを許されなかった[9]。そして、マッギーによれば前作『イズント・エニシング』の制作費が7千ポンドだったのに対し[10]、本作には27万ポンドを費やし、クリエイション・レコーズの副社長だったディック・グリーンの家を抵当に入れてもらわなければならなくなったという[11]。また、レコーディングには19か所のスタジオが使用された[6]。
演奏はメンバー4人だけで行われたが、エンジニアのクレジットには、メンバーのケヴィン・シールズとコルム・オコーサクも含む18人の名前が記載された[12]。
反響
[編集]本作に先行してリリースされたシングル「スーン」(1990年)は全英シングルチャートで41位に達し、続く「トゥ・ヒア・ノウズ・ホエン」は29位に達した[13]。そして、バンドは本作で自身初の全英アルバムチャート入りを果たし、最高24位に達した[2]。
アメリカではBillboard 200入りは果たせなかったが、収録曲「オンリー・シャロウ」は『ビルボード』のモダン・ロック・チャートで27位に達した[14]。
2012年には2枚組リマスターCDがヒットしており、5月19日付の全英アルバムチャートで50位を記録[2]。また、日本のオリコンチャートでは18位[1]、ベルギーのフランデレン地域で154位[3]、ベルギーのワロン地域で188位に達した[4]。
評価・影響
[編集]『ローリング・ストーン』誌が選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では73位[15]、「90年代のベスト・アルバム100」では39位[16]、「グレイテスト・ストーナー・アルバム40」では22位[17]と、3部門にランクインしている。
ピッチフォーク・メディアのスタッフが2003年に選出した「1990年代のトップ100アルバム」では、レディオヘッドの『OK コンピューター』に次ぐ2位にランクインした[18]。
音楽評論家のHeather Pharesはオールミュージックにおいて満点の5点を付け、「『イズント・エニシング』はマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの音楽性の全体像を十分に示唆していたが、『ラヴレス』の偉大さはバンドが唯一無二の存在であることを証明した」と評している[19]。
本作はミュージシャンからの評価も高い。ブライアン・イーノは本作を最も創造的なロック・アルバムと称賛し[20]、フィッシュのトレイ・アナスタシオは「'90年代に録音された最高のアルバム」「20年たって今ポピュラーなアルバムが忘れ去られたとしても、このアルバムは完全なる名盤とみなされることだろう」とコメントしている[20]。また、本作はレディオヘッドのギター・サウンドに影響を与えた作品としても知られる[6]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲は作詞・作曲:ケヴィン・シールズ。
- オンリー・シャロウ - "Only Shallow" - 4:17
- 作詞:ビリンダ・ブッチャー/作曲:ケヴィン・シールズ
- ルーマー - "Loomer" - 2:38
- 作詞:ビリンダ・ブッチャー/作曲:ケヴィン・シールズ
- タッチト - "Touched" - 0:56
- 作曲:コルム・オコーサク
- トゥ・ヒア・ノウズ・ホエン - "To Here Knows When" - 5:31
- 作詞:ビリンダ・ブッチャー、ケヴィン・シールズ/作曲:ケヴィン・シールズ
- ホエン・ユー・スリープ - "When You Sleep" - 4:11
- アイ・オンリー・セッド - "I Only Said" - 5:34
- カム・イン・アローン - "Come in Alone" - 3:58
- サムタイムズ - "Sometimes" - 5:19
- ブロウン・ア・ウィッシュ - "Blown a Wish" - 3:36
- 作詞:ビリンダ・ブッチャー/作曲:ケヴィン・シールズ
- ホワット・ユー・ウォント - "What You Want" - 5:33
- スーン - "Soon" - 6:59
他メディアでの使用例
[編集]本作収録曲「サムタイムズ」は、2003年公開の映画『ロスト・イン・トランスレーション』のサウンドトラックで使用された[21]。
参加ミュージシャン
[編集]脚注・出典
[編集]- ^ a b ORICON STYLE
- ^ a b c MY BLOODY VALENTINE | Artist | Official Charts - 「Albums」をクリックすれば表示される
- ^ a b ultratop.be - My Bloody Valentine - Loveless
- ^ a b ultratop.be - My Bloody Valentine - Loveless
- ^ 日本初回盤(COCY-9243)には『愛なき世界』という邦題が付いていたが、1998年再発盤(ESCA 7703)より原題のカタカナ表記に変更された
- ^ a b c My Bloody Valentine's "Loveless" is a classic album - Las Vegas Music Shopping | Examiner.com - 2013年9月8日閲覧
- ^ Essentials: My Bloody Valentine 'mbv' | DEW MAGAZINE - 2013年9月8日閲覧
- ^ 100 Greatest Shoegaze Albums | Sounds Better With Reverb - 2013年9月8日閲覧
- ^ 『クリエイション・レコーズ物語』(パオロ・ヒューイット:著/伊藤英嗣:訳・監修/ 太田出版/2003年/ ISBN 4-87233-759-X)p.175
- ^ 『クリエイション・レコーズ物語』p.178
- ^ 『クリエイション・レコーズ物語』p.176
- ^ My Bloody Valentine - Loveless (CD, Album) at Discogs
- ^ MY BLOODY VALENTINE | Artist | Official Charts
- ^ Loveless - My Bloody Valentine | Awards | AllMusic
- ^ “ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選 | 2020年改訂版 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)”. Rolling Stone Japan (2020年9月23日). 2021年7月3日閲覧。
- ^ 100 Best Albums of the Nineties: My Bloody Valentine, 'Loveless' | Rolling Stone
- ^ The 40 Greatest Stoner Albums: My Bloody Valentine, 'Loveless' | Rolling Stone
- ^ Staff Lists: Top 100 Albums of the 1990s | Features | Pitchfork
- ^ Loveless – My Bloody Valentine | AllMusic - Review by Heather Phares
- ^ a b A love letter to guitar-based rock music - by Jim DeRogatis, Chicago Sun-Times, December 2, 2001 - 2013年9月8日閲覧
- ^ Lost in Translation (2003) - Soundtracks - IMDb